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第二章 神と人
第三百三話 幻魔人形ジェネスト
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「随分と草臥れた人間ですね。二と三にかなり痛めつけられましたか」
「……ああ。ゴーレムとの戦闘なんて初めてなもんでね。勝手がわからなくて」
「へーえ。あなた一人で退けたんですか。これは愉快。それで、このジェネストに一人で挑もうと?」
「それが試練だからな。ティソーナを得るための」
「人間如きがティソーナを得ようなどと考えるのもおこがましい。モリアーエルフでもないあなたが
なぜここにいるのかは正直わかりませんが……散ってもらいましょうか」
「試練は殺す目的じゃないはずだろ?」
「人間相手では別に。そもそもエルフとは神に近しい存在。神の一端に触れる者たちです。
下劣なる人間とは違う」
「俺も一応妖魔なんだけどな」
「妖魔? なぜ妖魔がこのようなところに? ……まぁいいでしょう。
どのみちエルフ以外に渡すわけにはいかない!」
「……ふう。喋ってたら少し楽になってきたよ。んじゃこっちもいくぞ! 神魔解放!」
「妖魔が神魔形態ですって!? 信じられない……ですが負けるわけにはいかない!」
六剣を構えてこちらに飛翔してくるジェネスト。感覚が引き上げられたとはいえ、素の性能が
相当早い! まずは後方に……。
「ぐはっ」
「おや、拍子抜けですね。それでも神格化しているのですか? ただの虚勢でしょうか」
後ろに回られ蹴り飛ばされた。追撃がくる! すぐさま暗転して身構える……が、正面にはもういない。
背面蹴りをするが空を切る。
「さすがに二度同じ手はくうかよ」
「何を言っているのです? あまりに遅いので後ろから眺めていただけですが」
ジェネストは音を立てずゆっくり歩く……幾重にもぶれて見える……幻影か? いや、足の動きが
実直にそうさせているように見えるだけだ。こんな強敵初めてだ。
力がクリムゾンならジェネストは速さか。身体能力の中で最大に恐ろしいのは速さ。
器用さにも関わってくる。
まずい……まだ神魔の力をまるで使いこなせていない。このままだと殺られる!
「ツイン、落ち着いて。クリムゾン、同格」
「クリムゾンと同格だっていうのか? どうみても格上だぞ」
「……誰と喋っているのです? クリムゾンですって?」
「うるさいな。ブレディーと話てるんだよ」
「まさか。創造主様がこんなところにいるはずが……」
「ブレディー、ちょっと出てきて挨拶しなさい」
「いや。あの子、苦手」
「いいからでなさーい!」
ブレディーを無理やり封印から解放する。ジェネストは両手をダラーんと下げて驚いている。
そりゃそうか。地上の闇エリアにいるはずの人物がこんなところにいて、敵対していた
やつから出てくれば無理もない。
「ディーン様! 一体これはどういうことです? なぜそやつからディーン様が!」
「ジェネシー、久しぶり。これ、夫。ツイン」
「……まさかディーンン様をたぶらかしたとでも? この変態め! 許さない!」
「……おい、確実にあおったぞ。あいつ、絶対殺る気でくるぞ」
「あなた、頑張って!」
「お前絶対わざとやってるだろー!」
手を振りながら封印に戻るブレディー。
それを見届けてから恐ろしい速さで斬りかかってくるジェネスト。
確実に余計な事をした! 怒りの頂きに上りつめたジェネストは、凄まじい連続攻撃で圧倒してきた!
「ちょ、こいつ、まじかよ。六剣全部見事に使ってきやがる」
「早くディーン様を解放しなさい! その方は私の大切なお方! 誰にも渡したりしない!」
「って言っても解放すると消滅するんだよ……な! お前、ちょっと落ち着けって」
「っ! 貴様よくも! 深淵に落としてやる! シャル・ディー、ヘキサセイバー!」
「ぐっ、ああああー---! 押し返せ! カットラス!」
六つの剣をいかしての六連斬。くそ、どうにか押し返したが、またじり貧……そうだ。
新しい手を……神魔形態なら使えるはずだ。
これを使うのはティソーナを手に入れてからだと思ったんだが。
黙ってこのままやられるわけにはいかない。
「……ああ。ゴーレムとの戦闘なんて初めてなもんでね。勝手がわからなくて」
「へーえ。あなた一人で退けたんですか。これは愉快。それで、このジェネストに一人で挑もうと?」
「それが試練だからな。ティソーナを得るための」
「人間如きがティソーナを得ようなどと考えるのもおこがましい。モリアーエルフでもないあなたが
なぜここにいるのかは正直わかりませんが……散ってもらいましょうか」
「試練は殺す目的じゃないはずだろ?」
「人間相手では別に。そもそもエルフとは神に近しい存在。神の一端に触れる者たちです。
下劣なる人間とは違う」
「俺も一応妖魔なんだけどな」
「妖魔? なぜ妖魔がこのようなところに? ……まぁいいでしょう。
どのみちエルフ以外に渡すわけにはいかない!」
「……ふう。喋ってたら少し楽になってきたよ。んじゃこっちもいくぞ! 神魔解放!」
「妖魔が神魔形態ですって!? 信じられない……ですが負けるわけにはいかない!」
六剣を構えてこちらに飛翔してくるジェネスト。感覚が引き上げられたとはいえ、素の性能が
相当早い! まずは後方に……。
「ぐはっ」
「おや、拍子抜けですね。それでも神格化しているのですか? ただの虚勢でしょうか」
後ろに回られ蹴り飛ばされた。追撃がくる! すぐさま暗転して身構える……が、正面にはもういない。
背面蹴りをするが空を切る。
「さすがに二度同じ手はくうかよ」
「何を言っているのです? あまりに遅いので後ろから眺めていただけですが」
ジェネストは音を立てずゆっくり歩く……幾重にもぶれて見える……幻影か? いや、足の動きが
実直にそうさせているように見えるだけだ。こんな強敵初めてだ。
力がクリムゾンならジェネストは速さか。身体能力の中で最大に恐ろしいのは速さ。
器用さにも関わってくる。
まずい……まだ神魔の力をまるで使いこなせていない。このままだと殺られる!
「ツイン、落ち着いて。クリムゾン、同格」
「クリムゾンと同格だっていうのか? どうみても格上だぞ」
「……誰と喋っているのです? クリムゾンですって?」
「うるさいな。ブレディーと話てるんだよ」
「まさか。創造主様がこんなところにいるはずが……」
「ブレディー、ちょっと出てきて挨拶しなさい」
「いや。あの子、苦手」
「いいからでなさーい!」
ブレディーを無理やり封印から解放する。ジェネストは両手をダラーんと下げて驚いている。
そりゃそうか。地上の闇エリアにいるはずの人物がこんなところにいて、敵対していた
やつから出てくれば無理もない。
「ディーン様! 一体これはどういうことです? なぜそやつからディーン様が!」
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「……まさかディーンン様をたぶらかしたとでも? この変態め! 許さない!」
「……おい、確実にあおったぞ。あいつ、絶対殺る気でくるぞ」
「あなた、頑張って!」
「お前絶対わざとやってるだろー!」
手を振りながら封印に戻るブレディー。
それを見届けてから恐ろしい速さで斬りかかってくるジェネスト。
確実に余計な事をした! 怒りの頂きに上りつめたジェネストは、凄まじい連続攻撃で圧倒してきた!
「ちょ、こいつ、まじかよ。六剣全部見事に使ってきやがる」
「早くディーン様を解放しなさい! その方は私の大切なお方! 誰にも渡したりしない!」
「って言っても解放すると消滅するんだよ……な! お前、ちょっと落ち着けって」
「っ! 貴様よくも! 深淵に落としてやる! シャル・ディー、ヘキサセイバー!」
「ぐっ、ああああー---! 押し返せ! カットラス!」
六つの剣をいかしての六連斬。くそ、どうにか押し返したが、またじり貧……そうだ。
新しい手を……神魔形態なら使えるはずだ。
これを使うのはティソーナを手に入れてからだと思ったんだが。
黙ってこのままやられるわけにはいかない。
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