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第二章 神と人

第二百九十九話 海底神殿地下 モンスターの群れ

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 十分な休息を取り、改めて海底神殿地下最初の試練場所へ向かう。
 クリムゾンはすーっと消えていなくなり、ブレディーは俺の封印の中。
 つまり今は一人。ここは一気に駆け抜けてみようと思い、先ほどのジャングルのようなエリアに向けて
猛ダッシュしてみた。

「うおーーーーーーー! 千の風になってーーーー! 見守っていたーーーい!」

 一人の心細さを紛らわせるが如く迷セリフを吐きながら突撃する俺。
 そう、この選択は間違っていたのだ。後ろと上空と地中からモンスターが数百程襲ってきている。

「今の俺は風。風の森のルインとして誰も俺を止められない! だから見逃してくれませんかーーー!」
『ウギャウルルルルルルウウウウ!』
「そうですよねーー! くそ、範囲で大きく刈る練習しようとしたのにこんなに来るとは!」
「ツイン、遊んでる? 走る、練習? 特訓?」
「そーだよ! モンスターマラソン真っ最中だよ! 走りながら出来る後ろへの攻撃……地上と空中を
別々に……そうか! 妖氷造形術、氷柱! 氷柱! 氷柱!」

 次々と氷柱を立てていく。モンスターたちは当然それを避けていく。十本程の氷柱を立て終えた。

「ツイン、柱、何する?」
「よっと。柱の上からまずは上空のを仕留める! ああ!? 俺の柱が!」

 簡単になぎ倒されてしまった。なんて酷い事を……ええい、仕方ない! 

【妖真化】

「ツイン、結局、真化」
「くっ……これも真化の練習のためなのだ」
「嘘。もう、通常真化、割と使える」
「ギクリ。ま、まぁいい。高ぶる精神を抑えるぞ。走りながら……いや、そう悠長にしてられないか……
やっぱり大群相手にはこの形態だな……赤海星の殺戮群レッディスローターズ

 赤いヒトデ形の化け物が降り注ぎ、あたり一面を喰いつくし始める。操られた時に使用した
イメージそのものだが、かなり気持ち悪い……俺好みじゃなくブネ好みの技なのだろう。
 こんなの俺なら想像しないよ! ああ、だがこの形態の時は殺戮したい感情が湧いてくる。抑えるので
まだまだ必至だ。

「それ、凄い。ブレディー、使いたい」
「無理だな。赤星の技だぞ。しかもこいつは消耗が激しい。複数体生成するからな」
「確かに。生成術、近い。意思、ある?」
「いや、ないな。こいつらには食らいつくす思想しかないようだ。あいつに喰われたモンスターは
封印も出来ん」
「ツイン。雰囲気、大分、変わる。そっちも、いい」
「衝動を抑えるのに必死だ。ブレディー、少し静かにして待ってろ。上空のを殺る……
赤星の彗星・蒸」

 空間から赤い隕石が降り注ぎ、上空および地上で喰らっている赤海星の殺戮群ごと撃ち落とす。
上空にはまだ敵が散らばっている。少し無駄打ちだな。

「剣戒、驚、懼。赤海星……巨爆烈牙剣ギガバースソード

 コラーダを二本生み出し、二つの分厚い斬撃を上空正面に放つ。前方を飲み込むそれは、一気に
敵を殲滅した。

「やはり真化は火力が段違いだ。思考や素早さ、行動のしやすさは神魔形態、圧倒的な火力は真化。
これが合わされば……」
「でも、危険。殺戮、破壊衝動、更に、加速する」
「……やっぱりそうなるか。誰も人がいない、周りに何もないところで、かつ止める術があれば
特訓出来るんだが……」
「今は、ティソーナ、手に入れよう?」
「そうだな。しかし、その前に……」

 真化を解除し膝をつく。といってもこれで済んでるだけ相当成長しただろう。
 毎回真化の後はぶっ倒れてた。地上にいたあの頃とはもう違う。
 みんな、元気にしてるかな。師匠、ライラロさん、イビンにベルド、シュウ、ハーヴァルさんに
セフィアさん。ムーラにカカシにココット。ニーメ、マーナ、フェドラートさんやアネスタさん。
フェルドナージュさん。
 必ず、もっともっと強くなって戻るから、みんな待っていてくれ。

 よろけながら立ち上がり、奥への道を探す。ここからどういけばいいのかわからない。

「なぁブレディー、次はどういけばいいんだ? 入口とは反対方向に進んだはずなんだけど、次へ
進む場所がわからないんだ」
「ツイン。ここ、敵、全滅。そこから、先、進める」
「そうだったのか。あながち俺の行動は正しかったのか?」
「全然。ツイン、走ってた。マラソン? してた、だけ」
「やっぱりブレディーのツッコミは殺傷力が高いな……それはいいとして、今ので全部じゃないのか?」
「違う。雑魚敵、倒した、だけ。もうすぐ、来る」
「来る? 何がだ」

 ここから何か現れて攻撃してくるってのか。真化使っちゃったしどうしたもんか……手こずる相手
だとまずいな。
 そう考えていると、地響きがしてきた。いやな予感がする――――。
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