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第四章 戦いの果てに見出すもの
第二百五十四話 無慈悲なる者たち
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三夜の町急襲から一夜明け、妖魔軍側は大きく動き出す。
「キゾナ大陸方面より出陣する。目指すは情報通り、移動牢。いや、既にスターベルとなっている可能性が高い」
「もともと国宝だったんだけどねぇ。最近じゃ誰彼構わずあそこに放り込んでいる。
おかしく感じても潜入するのは難しい」
「ルインが捕まってたって場所か? そんな場所、俺様が破壊してやる!」
「大きさの規模が違うようです。あれを破壊しつくすのは困難でしょうね」
「では全軍、参るぞ! 多くの飛行形モンスターがおる! 封印出来るものは封印し、さらなる力とせよ!
妖魔国の強さを存分にみせつけるのじゃ!」
知令由学園側から出ると、ジオにそっくりな者が四人膝をつき控えていた。
「ご苦労、情報はどうなっている」
「エッジマール様の情報とすり合わせました所、やはり通常の兵士は全てアンデッドに変えられた模様。
我が城の兵士はもう……」
「……許せないねぇ。僕らも離脱していなければ今頃アンデッド化していたのかもねぇ……」
「これからどうなさいましょうか。我々も共に?」
「君らは泉の中でニンファや亜人の子らを守ってくれないかい? 僕は王としての務めを果たす」
「承知。中には入れるのでしょうか?」
「メルザちゃんにお願いした。あんまりまだ信用されていないけど、大丈夫だ」
「行くぞ、ジオよ。お主には城を取り戻す分隊を任せる。自分たちの城、取り戻してみせい」
「ああ。助かるねぇ。事が片付いたら必ず、フェルス皇国と国交を開こう。では」
妖魔軍団の一部を率いて別行動を開始するジオ。
「変幻、カドモス」
フェルドナージュ様がそう告げると、みるみるうちにカドモスが巨大な邪剣空中戦艦へと変わる。
「みな、参るぞ! まずは移動牢を落とす!」
『はっ!』
――――――――――――
「なぁフェル様。俺様どーすればいいんだ? そのベルータスって奴、よくしらねーしよ」
「残虐のベルータス。妖魔として十全に強いあの男は、残虐を内にため込めばため込むほど力を発揮する。
残虐性を消費すれば、しばらく残虐行為を繰り返さねば弱まる。あやつが敗れた後、しばらく
行動しなかったのはそのためじゃ」
「フェル様の話はむつかしくて、俺様にはよくわからねーけど、とにかく悪い奴なんだよな?」
「そうじゃな。あやつが生み出す残虐は無情。そのためなら何とでも手を組む」
「そーなのか。でも地上で組んでくれる奴なんているのかな」
「……どうやらおるらしい。早速目の前に敵じゃ。ゆくぞ、メルザ」
「えっ……あれ、なんだ? 気持ち悪い」
「浮遊爆霊と特殊キメラ……モンスターと人型の混合体です! 用心しなさい、メルザさん!
殺せば爆発します!」
カドモスの前に現れたのは、空中に浮かぶ人型モンスター千匹。
それらは一斉にカドモスを攻撃し始める。
「リル、フェドラート。まだよい、この程度であれば兵団に一任せよ」
「はっ……遠方よりモンスターの大群です。一直線にこちらへ向かってくる所をみると、あれも……」
「事前に察知していたような動きじゃ。フェドラートの情報通り、クルエダから動きを察したか。
本人が知らぬ囮をまんまとつかまされたようじゃな」
「兵団は特殊キメラの相手をなさい! モンスターは我々が対応する! いきますよ、リル」
「うん。ドラゴンもいるね。僕もそろそろつかわなきゃいけない時がきたみたい。カノン、行ってくる」
「リルさん。無茶しすぎちゃだめよ。ちゃんと戻ってきてね」
「平気さ。妖魔としてこれだけの力が戻れば、そうはやられない。僕の真化は特殊だからね」
「アネスタはカドモスに結界を。ダメージを回復させる」
「はい。妖氷結界術、アイスメイデン」
美しい氷の乙女がカドモスの周りを無数取り囲むように回り、攻撃を防ぎだす。
同時にカドモスを薄い膜が覆った。
【妖真化】
氷の結界が張られると、リルとフェドラートは妖魔の切り札、真化を行う。
フェドラートは緑の長髪を靡かせ、眼光から鋭い緑の光を発し、一本の長いナタを携え身構える。
リルカーンは……その身を空中に浮かせ、右手に蛇を纏い、左手に無数の邪眼を光らせ
目は正気を失っているかのように真っ黒だった。
二人の妖魔は飛翔してモンスター軍の中に突き進んでいく。
「グ、アアアアアアアア!」
「リル。正気を戻せ。乱術鎮静収束」
「く……すまん。余とした事が」
「気にするな。お前は本来なら妖魔皇主となるべき男。力を制御するにはまだまだ若い」
「抑えきれん。殲滅してやる……エビルパンデモニウム」
灰色の空缶が広がり、モンスターが次々と吸い込まれていく。ドラゴンやホークフレイムなど
お構いなしに吸い込んだ後、一気に爆発して飛散した。
「そちらは任せる。私は移動牢を攻撃する。ここからなら両断できるか」
ナタを構え、その場で静止する。ただ構えるのではなく力を収束して一気に放つ技。
「「蓄積暴撃」
蓄積されたエネルギーが一気に放出され、目の前にある移動牢に大きな風穴を開ける。
その間にリルはモンスター軍団を全滅させていた。
「……一旦戻る。今はこれが余の限界らしい」
「わかった。こちらの役目は完了した」
二人が真化を解き、カドモスに戻って現状を報告する。
「あちらのモンスターは操られているというより何者かに追い立てられたという気配でした」
「そうか。こちらも目立った動きはみられぬ。どうにもおかしい」
「やはり何か狙っている動きでしょうか。一体何を……」
「これだけ近づけば十分だな。スターベル、一斉爆破」
「何?」
かなり近づいていた移動牢が一気に爆発してカドモスを吹き飛ばした!
吹き飛ぶカドモスからカノンが振り落とされそうになり、慌ててクインとニーナに分かれる。
リルはかなり疲弊していたが、急ぎカノンの元へ。
メルザはフェルドナージュがぎゅっと抱きしめていた。額からは大きく血が流れる。
「ラート、そいつよ! その兵士!」
「ぐっ……まさか! お前がベルータスだとでもいいたいのか?
「クックックック、アーッハハハハハハ! いいぜぇ、ずっと我慢させられた。てめぇのその歪むツラ
見るのによぉ。おっと、すぐにやらねーとやべえな。ヤソマガツヒとやら、肉体を好きに改造しやがれ。
この残虐の意思だけはやらねぇがな。クックック、これでこの世は俺のものだぜぇ」
一人の妖魔兵士を取り囲むように霧が包み、姿を消した!
それと同時に周囲に大爆発が起こり、カドモスは地面へと落下していった。
「キゾナ大陸方面より出陣する。目指すは情報通り、移動牢。いや、既にスターベルとなっている可能性が高い」
「もともと国宝だったんだけどねぇ。最近じゃ誰彼構わずあそこに放り込んでいる。
おかしく感じても潜入するのは難しい」
「ルインが捕まってたって場所か? そんな場所、俺様が破壊してやる!」
「大きさの規模が違うようです。あれを破壊しつくすのは困難でしょうね」
「では全軍、参るぞ! 多くの飛行形モンスターがおる! 封印出来るものは封印し、さらなる力とせよ!
妖魔国の強さを存分にみせつけるのじゃ!」
知令由学園側から出ると、ジオにそっくりな者が四人膝をつき控えていた。
「ご苦労、情報はどうなっている」
「エッジマール様の情報とすり合わせました所、やはり通常の兵士は全てアンデッドに変えられた模様。
我が城の兵士はもう……」
「……許せないねぇ。僕らも離脱していなければ今頃アンデッド化していたのかもねぇ……」
「これからどうなさいましょうか。我々も共に?」
「君らは泉の中でニンファや亜人の子らを守ってくれないかい? 僕は王としての務めを果たす」
「承知。中には入れるのでしょうか?」
「メルザちゃんにお願いした。あんまりまだ信用されていないけど、大丈夫だ」
「行くぞ、ジオよ。お主には城を取り戻す分隊を任せる。自分たちの城、取り戻してみせい」
「ああ。助かるねぇ。事が片付いたら必ず、フェルス皇国と国交を開こう。では」
妖魔軍団の一部を率いて別行動を開始するジオ。
「変幻、カドモス」
フェルドナージュ様がそう告げると、みるみるうちにカドモスが巨大な邪剣空中戦艦へと変わる。
「みな、参るぞ! まずは移動牢を落とす!」
『はっ!』
――――――――――――
「なぁフェル様。俺様どーすればいいんだ? そのベルータスって奴、よくしらねーしよ」
「残虐のベルータス。妖魔として十全に強いあの男は、残虐を内にため込めばため込むほど力を発揮する。
残虐性を消費すれば、しばらく残虐行為を繰り返さねば弱まる。あやつが敗れた後、しばらく
行動しなかったのはそのためじゃ」
「フェル様の話はむつかしくて、俺様にはよくわからねーけど、とにかく悪い奴なんだよな?」
「そうじゃな。あやつが生み出す残虐は無情。そのためなら何とでも手を組む」
「そーなのか。でも地上で組んでくれる奴なんているのかな」
「……どうやらおるらしい。早速目の前に敵じゃ。ゆくぞ、メルザ」
「えっ……あれ、なんだ? 気持ち悪い」
「浮遊爆霊と特殊キメラ……モンスターと人型の混合体です! 用心しなさい、メルザさん!
殺せば爆発します!」
カドモスの前に現れたのは、空中に浮かぶ人型モンスター千匹。
それらは一斉にカドモスを攻撃し始める。
「リル、フェドラート。まだよい、この程度であれば兵団に一任せよ」
「はっ……遠方よりモンスターの大群です。一直線にこちらへ向かってくる所をみると、あれも……」
「事前に察知していたような動きじゃ。フェドラートの情報通り、クルエダから動きを察したか。
本人が知らぬ囮をまんまとつかまされたようじゃな」
「兵団は特殊キメラの相手をなさい! モンスターは我々が対応する! いきますよ、リル」
「うん。ドラゴンもいるね。僕もそろそろつかわなきゃいけない時がきたみたい。カノン、行ってくる」
「リルさん。無茶しすぎちゃだめよ。ちゃんと戻ってきてね」
「平気さ。妖魔としてこれだけの力が戻れば、そうはやられない。僕の真化は特殊だからね」
「アネスタはカドモスに結界を。ダメージを回復させる」
「はい。妖氷結界術、アイスメイデン」
美しい氷の乙女がカドモスの周りを無数取り囲むように回り、攻撃を防ぎだす。
同時にカドモスを薄い膜が覆った。
【妖真化】
氷の結界が張られると、リルとフェドラートは妖魔の切り札、真化を行う。
フェドラートは緑の長髪を靡かせ、眼光から鋭い緑の光を発し、一本の長いナタを携え身構える。
リルカーンは……その身を空中に浮かせ、右手に蛇を纏い、左手に無数の邪眼を光らせ
目は正気を失っているかのように真っ黒だった。
二人の妖魔は飛翔してモンスター軍の中に突き進んでいく。
「グ、アアアアアアアア!」
「リル。正気を戻せ。乱術鎮静収束」
「く……すまん。余とした事が」
「気にするな。お前は本来なら妖魔皇主となるべき男。力を制御するにはまだまだ若い」
「抑えきれん。殲滅してやる……エビルパンデモニウム」
灰色の空缶が広がり、モンスターが次々と吸い込まれていく。ドラゴンやホークフレイムなど
お構いなしに吸い込んだ後、一気に爆発して飛散した。
「そちらは任せる。私は移動牢を攻撃する。ここからなら両断できるか」
ナタを構え、その場で静止する。ただ構えるのではなく力を収束して一気に放つ技。
「「蓄積暴撃」
蓄積されたエネルギーが一気に放出され、目の前にある移動牢に大きな風穴を開ける。
その間にリルはモンスター軍団を全滅させていた。
「……一旦戻る。今はこれが余の限界らしい」
「わかった。こちらの役目は完了した」
二人が真化を解き、カドモスに戻って現状を報告する。
「あちらのモンスターは操られているというより何者かに追い立てられたという気配でした」
「そうか。こちらも目立った動きはみられぬ。どうにもおかしい」
「やはり何か狙っている動きでしょうか。一体何を……」
「これだけ近づけば十分だな。スターベル、一斉爆破」
「何?」
かなり近づいていた移動牢が一気に爆発してカドモスを吹き飛ばした!
吹き飛ぶカドモスからカノンが振り落とされそうになり、慌ててクインとニーナに分かれる。
リルはかなり疲弊していたが、急ぎカノンの元へ。
メルザはフェルドナージュがぎゅっと抱きしめていた。額からは大きく血が流れる。
「ラート、そいつよ! その兵士!」
「ぐっ……まさか! お前がベルータスだとでもいいたいのか?
「クックックック、アーッハハハハハハ! いいぜぇ、ずっと我慢させられた。てめぇのその歪むツラ
見るのによぉ。おっと、すぐにやらねーとやべえな。ヤソマガツヒとやら、肉体を好きに改造しやがれ。
この残虐の意思だけはやらねぇがな。クックック、これでこの世は俺のものだぜぇ」
一人の妖魔兵士を取り囲むように霧が包み、姿を消した!
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