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第四章 戦いの果てに見出すもの
第二百四十五話 真なる夜エリアへ向けて
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イーファは明かりつきの夜を越え、賑わい祭りの夜に入った。道中何人かの亜人、獣人に声をかけ
入口の兵士の元へ向かうよう指示する。
現在は王と気付かれぬようナラシンハの仮面を被っているままだ。
「なんという酷い惨状。殺意の念ばかりだ。一体なぜここが狙われるというのだ。
結界を内から破られたか?」
「イーファよ。ちみらしくない。落ち着くのだ」
「私の先生は無事かしら。最近会いに行ってなかったから心配だわ。
そうそう倒されるような方ではないけれど」
「べっぴんさんはここに先生がいるのか? 俺様の先生もいるかな? な?」
「知らないわよそんなの! 私の先生は真なる夜のエリアに住むディーン先生よ」
「ブレアリア・ディーン。まさか弟子をとっているとは。シャドー形態では喋れぬが
ファナが見た時はどのような形態だったのだ?」
「……骨よ。せーちゃんに教えてもらったの。いい骨がいるから紹介するって」
「そうか。シャドーダインの中でも闇の部類に関する術を多く扱う者。
闇賢者ブレアリア・ディーン。死ぬことはまずあり得ぬ。アンデッド系モンスターよりもっとレア。
ディグニティーシャドーダイン。長すぎるのでシャドーダインとしか呼ばれないがね」
「え? 先生は骨に変身して生活してるってこと?」
「骨だけではない。あらゆる形に変身可能。それこそ妖魔や人、亜人や獣人にも。影さえ真似出来れば
常時そうしていられる。ドルドロスにも会ったか?」
「まさか、あの犬がドルドロスだっていうの? あれも変身? やられた……今度あったら蹴り飛ばしてやるわ!」
「ドルドロスは少し困った性格で、無類の女好きだ。蹴り飛ばすとむしろ喜ぶぞ」
「はぁ……構わないわ。一発ぶん殴る!」
「俺もやっていいか? な? いいだろ? 楽しそうだ。ん? 何だあいつら弱い者いじめしてるな。
行け! 死神の使い!」
「ふわー」
「いけ!」
「ふわー」
相変わらずいう事をあまり効かない死神の使い。目の前に常闇のカイナ三人が亜人を襲っている!
一人はもう助けられそうにない。
「やめよ! 民衆を傷つけおって。許せぬ! 氷風の潜血」
「おのれ人間。我が同胞の恨みを今こそ。念動力、木壁倒壊!」
「私だって頭にきてるのよ! 大切な三夜の町をよくも! 変身、サイクロプス!」
イーファの放つ氷風の潜血が、常闇のカイナ一匹を氷漬けにし、風で舞い上がり砕け散った。
潜血が当たり一面に吹き飛ぶ。
ドーグルの術により突如倒壊した壁に押しつぶされ下敷きになる。
ファナは大型のサイクロプスに変身して、レウスさんをぶん投げた。
それと同時に近くにある家の屋根などをつぎつぎと投げつけて、逃げようとする
残りの一匹を逃げられなくさせる。
「お前よくもやったな。燃えろ!」
「ぎゃあーーー」
襲われていた人たち数名は何とか助け出せた。先を急ぐ四人。
道中何人も常闇のカイナがいるが、レウスさんが釣って、と三人が次々と攻撃して倒すを繰り返した。
ようやく真なる闇のエリアへ差し掛かる。
「ここまで入り込んでいるとは。だがここから先は普通に通る事は出来ん。ファナはいけるか?」
「ええ、私はバットで通ってたの。感覚でわかるのよ」
「確かにバットも夜適性がある。ドーグルとレウス殿はどうだ?」
「問題ない。わらは元々穴倉暮らしだ」
「骨だからな。夜じゃないと浄化するかもな? な?」
「嘘おっしゃい。あんたちっとも浄化しないじゃないの。ルインに封印されてるから平気なんでしょ。
死なない上に浄化されないとか卑怯よ。無敵じゃない」
「俺は無敵のレウスさんだ。かっこいいだろ? ベッピンさん惚れるだろー?」
「全然惚れないわよ……おじさんは放っておいてさっさと行きましょ」
バットに変身したファナはどんどん進んで行く。道がおぼろげだったイーファは少し安心した。
ドーグルとレウスも後に続く。
真なる夜のエリアは一面明かりがない。そして静寂に包まれている。数十メートル先で
爆音がおころうともまったく聞こえる事が無い。至近距離までの音しか聞こえない……はずなのだが
「おかしい。結界防壁が完全に打ち砕かれている。これでは姿を消す闇魔法が展開されない。
まさか狙い撃ちされたのか?」
「まさか、三夜の町を維持してるのって、ディーン先生がやってるの?」
「その通りだ。祖先が造ったこの町を、隠すのもエリア分けしているのも、ブレアリア
ただ一人で行っている。変わり者でもあるが、町から一歩も外へ出ないのは
莫大な結界を維持するためだ」
「そっか。だからルーンの町に誘っても、来てくれなかったんだ……私、まだ恩返しもできてない!」
「安心するのだ、ファナよ。彼はディグニティーシャドーダイン。
捕らわれる事はあっても死にはすまい」
「どうやら戦っているようだぞ。ファナ、変身を別のものに変えるのだ。
素早く移動できる変身形態はあるか? もう真なる夜の効果は無いから見えるはずだ」
「藍色ペンギンになるわ!」
ファナは藍色ペンギンになり移動を開始する。
「俺浮いてるしみてくるわ! あいつら許せん!」
「気をつけよ。ここに攻めてくるということは、対アンデッド、対闇族の攻防手段
を持つという事だろう。手前にいたのは先兵の雑兵にすぎぬ」
レウスさんが突っ込んでいく方面に、三人も急いで向かった。
入口の兵士の元へ向かうよう指示する。
現在は王と気付かれぬようナラシンハの仮面を被っているままだ。
「なんという酷い惨状。殺意の念ばかりだ。一体なぜここが狙われるというのだ。
結界を内から破られたか?」
「イーファよ。ちみらしくない。落ち着くのだ」
「私の先生は無事かしら。最近会いに行ってなかったから心配だわ。
そうそう倒されるような方ではないけれど」
「べっぴんさんはここに先生がいるのか? 俺様の先生もいるかな? な?」
「知らないわよそんなの! 私の先生は真なる夜のエリアに住むディーン先生よ」
「ブレアリア・ディーン。まさか弟子をとっているとは。シャドー形態では喋れぬが
ファナが見た時はどのような形態だったのだ?」
「……骨よ。せーちゃんに教えてもらったの。いい骨がいるから紹介するって」
「そうか。シャドーダインの中でも闇の部類に関する術を多く扱う者。
闇賢者ブレアリア・ディーン。死ぬことはまずあり得ぬ。アンデッド系モンスターよりもっとレア。
ディグニティーシャドーダイン。長すぎるのでシャドーダインとしか呼ばれないがね」
「え? 先生は骨に変身して生活してるってこと?」
「骨だけではない。あらゆる形に変身可能。それこそ妖魔や人、亜人や獣人にも。影さえ真似出来れば
常時そうしていられる。ドルドロスにも会ったか?」
「まさか、あの犬がドルドロスだっていうの? あれも変身? やられた……今度あったら蹴り飛ばしてやるわ!」
「ドルドロスは少し困った性格で、無類の女好きだ。蹴り飛ばすとむしろ喜ぶぞ」
「はぁ……構わないわ。一発ぶん殴る!」
「俺もやっていいか? な? いいだろ? 楽しそうだ。ん? 何だあいつら弱い者いじめしてるな。
行け! 死神の使い!」
「ふわー」
「いけ!」
「ふわー」
相変わらずいう事をあまり効かない死神の使い。目の前に常闇のカイナ三人が亜人を襲っている!
一人はもう助けられそうにない。
「やめよ! 民衆を傷つけおって。許せぬ! 氷風の潜血」
「おのれ人間。我が同胞の恨みを今こそ。念動力、木壁倒壊!」
「私だって頭にきてるのよ! 大切な三夜の町をよくも! 変身、サイクロプス!」
イーファの放つ氷風の潜血が、常闇のカイナ一匹を氷漬けにし、風で舞い上がり砕け散った。
潜血が当たり一面に吹き飛ぶ。
ドーグルの術により突如倒壊した壁に押しつぶされ下敷きになる。
ファナは大型のサイクロプスに変身して、レウスさんをぶん投げた。
それと同時に近くにある家の屋根などをつぎつぎと投げつけて、逃げようとする
残りの一匹を逃げられなくさせる。
「お前よくもやったな。燃えろ!」
「ぎゃあーーー」
襲われていた人たち数名は何とか助け出せた。先を急ぐ四人。
道中何人も常闇のカイナがいるが、レウスさんが釣って、と三人が次々と攻撃して倒すを繰り返した。
ようやく真なる闇のエリアへ差し掛かる。
「ここまで入り込んでいるとは。だがここから先は普通に通る事は出来ん。ファナはいけるか?」
「ええ、私はバットで通ってたの。感覚でわかるのよ」
「確かにバットも夜適性がある。ドーグルとレウス殿はどうだ?」
「問題ない。わらは元々穴倉暮らしだ」
「骨だからな。夜じゃないと浄化するかもな? な?」
「嘘おっしゃい。あんたちっとも浄化しないじゃないの。ルインに封印されてるから平気なんでしょ。
死なない上に浄化されないとか卑怯よ。無敵じゃない」
「俺は無敵のレウスさんだ。かっこいいだろ? ベッピンさん惚れるだろー?」
「全然惚れないわよ……おじさんは放っておいてさっさと行きましょ」
バットに変身したファナはどんどん進んで行く。道がおぼろげだったイーファは少し安心した。
ドーグルとレウスも後に続く。
真なる夜のエリアは一面明かりがない。そして静寂に包まれている。数十メートル先で
爆音がおころうともまったく聞こえる事が無い。至近距離までの音しか聞こえない……はずなのだが
「おかしい。結界防壁が完全に打ち砕かれている。これでは姿を消す闇魔法が展開されない。
まさか狙い撃ちされたのか?」
「まさか、三夜の町を維持してるのって、ディーン先生がやってるの?」
「その通りだ。祖先が造ったこの町を、隠すのもエリア分けしているのも、ブレアリア
ただ一人で行っている。変わり者でもあるが、町から一歩も外へ出ないのは
莫大な結界を維持するためだ」
「そっか。だからルーンの町に誘っても、来てくれなかったんだ……私、まだ恩返しもできてない!」
「安心するのだ、ファナよ。彼はディグニティーシャドーダイン。
捕らわれる事はあっても死にはすまい」
「どうやら戦っているようだぞ。ファナ、変身を別のものに変えるのだ。
素早く移動できる変身形態はあるか? もう真なる夜の効果は無いから見えるはずだ」
「藍色ペンギンになるわ!」
ファナは藍色ペンギンになり移動を開始する。
「俺浮いてるしみてくるわ! あいつら許せん!」
「気をつけよ。ここに攻めてくるということは、対アンデッド、対闇族の攻防手段
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