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第四章 戦いの果てに見出すもの

第二百四十三話 欲しい物は

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 無事にルーンの町に戻り、パモに吸い込んでもらった宝箱を全て出す。
 通常宝箱二つに罠があるのを確認し、いずれもイーファが罠を解除した。
 高い知識と経験があるのだろう。いくつなのかは怖くて聞けない。

「罠はブラスターと毒ガスが噴き出る罠だった。双方解除済みだ」
「早く開けましょ! いいのが入ってるのかなー」
「アナライズしながら開けるから待っててくれ。どれがどれだかわからなくなる
といけないし」

 通常宝箱の中身は三つ。それなりのアイテムが入っているといいんだが。





 スウォロー・アーシャ(土斗付与III 土砂流付与 土の守り付与)【モアユニークウェポン】

 大いなる土の力が付与された両手斧
 装備者は土術の扱いがうまくなる他守りも固められる
 頑丈だが扱いが悪いと壊れる可能性がある
 
 ブリッツ・カレ(雷斗付与II 麻痺付与I)【ユニークウェポン】

 装備者に稲妻をまとい攻撃する力を与えるとされる格闘爪
 攻撃を受けた者は麻痺して動けなくなる可能性がわずかにある
 扱いが悪いと壊れる可能性がある


 バウンディナイフ(跳躍上昇付与II 着地衝撃軽減)【セミユニークウェポン】

 装備者が高く跳躍する事が出来るようになる剣
 それと同時に着地への衝撃を抑え弾むように着地することができる
 扱いが悪いと壊れる可能性がある


 三節混 【ノーマルウェポン】 

 三つ折りで持ち運びやすいこん棒
 紐などでくくられておりばらけないようになっている
 壊れやすいので扱いには注意が必要


 ナラシンハの仮面(獣人変化付与 奇襲付与)【ユニークアイテム】

 ライオンの頭を象った面
 柱の陰などから攻撃を開始すると必ず奇襲が成功する
 扱いが悪いと壊れる可能性がある

 未練の鎖 (呪い付与II 精神的苦痛I) 【ユニークアイテム】

 牢獄で閉じ込められ死んだ者の未練が宿った鎖
 装備者は後悔と生者への嫉妬が沸き起こる
 装備すると解呪されるまで外せない
 また解呪されるまで壊れない

 ジルコンリング(魔吸I 術抵抗I)【セミユニークアイテム】

 第四族元素ジルコンをあしらった指輪
 埋め込まれたジルコンの品質によって価値は大きく異なる
 扱いが悪いと壊れる可能性がある

 空冷節蔵器(冷却付与) 【セミユニークアイテム】

 不思議な箱で中に入れた物を冷却できる
 どのような環境でも適切な温度を保てるが
 長く使い続けると壊れる
 扱いが悪いと壊れる可能性がある
 
 シルバーインゴット【セミマジックアイテム】

 精錬された銀をインゴット化したもの
 見た目の美しさから人気の高い素材だがあり触れている
 扱いが悪いと壊れる可能性がある

 紅色持ち紐袋 【ノーマルアイテム】

 可愛らしい持ち手の収納袋
 女子の間で人気沸騰中
 壊れやすいので扱いには注意が必要

 カボチャの種(成長促進II) 【マジックアイテム】

 不思議なカボチャの種
 育ちが通常の種より早いが味は格別
 扱いが悪いと壊れる可能性がある

 西瓜の種(成長促進II) 【マジックアイテム】

 不思議な西瓜の種
 育ちが通常の種より早いが味は格別
 扱いが悪いと壊れる可能性がある

 メロンの種(成長促進II) 【マジックアイテム】

 不思議なメロンの種
 育ちが通常の種より早いが味は格別
 扱いが悪いと壊れる可能性がある

 以上の物と、幻薬が複数入っていた。アイテムより底をついていた
幻薬が助かる。後で各々に振り分けよう。
 ……調べてなかったら未練の鎖で呪われていた。


 一つだけある赤雷の宝箱を開けてみる。

 西王母の羽衣(憑依可能 虎体変化)【レジェンダリーアイテム】

 仙女の最高位の女神が着衣していたとされる羽衣
 対象に憑依することが可能となり下半身を虎に変えることが出来る
 非常に頑丈だが壊れる可能性がある

 フレイマリーハンマー(燃臥斗III 加工技術)【モアユニークアイテム】

 高温を発しながら加工が出来る金づち
 扱うのに相当な技術が必要だが火入れがとても楽になる
 扱いが悪いと壊れる可能性がある

 アメジストの原石【セミユニークアイテム】

 それなりの純度があるアメジストの原石
 加工が難しく特別な技術を必要
 扱いが悪いと壊れる可能性がある

 大根の種 【ノーマルアイテム】

 白くておいしい大根が出来上がる種
 壊れやすいので扱いには注意が必要

 
 こちらには幻薬(中)が三つも入っていた。
 アーティファクトこそないものの、赤雷は当たりのようだ。

「未練の鎖は土にでも埋めるとして、みんな欲しいものあるか? 
羽衣はファナかイーファがよさそうだけど、イーファは既に憑依できるからファナかな?」
「そうね、みんながいいなら羽衣はもらおうかしら」
「ハンマーはニーメちゃんに上げると喜ぶわね、きっと。
火術は使えないみたいだし」
「このブリッツ・カレとかいう爪がほしいっしょ。
格闘爪使うの私だけだよね?」
「そうだな。ベルディアにはその爪があっているかも。
リルも構わないか?」
「僕はウガヤの洞窟に行ってみたかっただけだから、何もいらない……と思ったけど
もしよかったらその……アメジストの原石をもらってもいいかい?」
「カノンへのプレゼント用か? ニーメにでも加工してもらえるか頼んでみるといいぞ」
「そうだね。彫金細工師ではないからどうなのかな。
もしかしたらアネスタの方が出来るかもしれない」
「そういえばアネさんは氷造形に雪造形出来るんだったな。
今は忙しいだろうから一旦は保留か」
「なぁ、俺様この紐袋もらっていいか?」
「私は素性を隠すため、ナラシンハの仮面を頂こう。安心して表を歩ける。

 いや、安心しては歩けないだろ! どう見ても不審者だぞ? 

「サラはどうだ? だいぶみんな欲しいもの決まっちゃったけど」
「はいルイン、これ持って」
「うん? これってジルコンリングか?」

 左手の薬指にさすサラ。

『何やってんのよあんた!』
「えっへへー、一番のり! やったわ!」
「自分で持たせて自分ではめたじゃない、今!」
「そうだったかしら? 事実は私の左薬指にはまっているって事だけよ。ふふん」
「ぶっこわしてやるわ! 牛鬼変身!」
「おいファナ! 落ち着けって。それよりみんなに帰った報告をだな……」

 結局暴れ出したので、残ったアイテムを回収して種をカカシに預け、栽培をお願いした。
 メロンや西瓜が出来るの、楽しみだなぁ……と現実逃避する。
 ルーンの安息所まで戻ると、明日の出発に備えてか、マーナとココット以外は
誰もいなかった。
 
「んじゃ温泉にでも行くとするか。ファナたちはしばらくやりあってそうだし」
「うん。温泉に入り終わったら僕も準備しないと」
「あらおかえりなさい。どうだった? いいもの手にはいった?」

 リルと話しているとカノンが入って来た。明日はカノンもリルについていくんだったな。

「以前の当たり洞窟ではなかったからそうでもないかな。
カノンとはしばらく行動していないけど、もうこの町にはなれたか?」
「うん、私は大丈夫。本当はルインとも一緒にいたいんだけど、地上より妖魔の国
の人たちの方が慣れ親しみやすくて。他人に興味が薄いっていうところがね」
「今はそうかもしれない。でもこの町に変なやつを永住させるつもりはないから、慣れて
くればきっと住みやすくなるさ。ここにはリルも、それに兄妹もいるからな」
「そういえばアルカーンさんは少し苦手かも。サラさんはとっても好きよ。
さっきも大はしゃぎしてるの見てたら、元気になったの」

 そういって少し笑うカノンを見つめるリルの表情は少し険しい。
 やっぱり無理してるんだろうな。
 だがその一件を解決できるかもしれない明日の戦いを、みんなで乗り切ろう。

「カノン、俺たちは温泉行ってくるから、また夕食時にでも」
「あら、私も行こうと思ってたの。その……一緒に行ってもいい?」
「ああ。他にも先客がいるかもしれないけどいいか?」
「ええ。行きましょ、リルさん」
「うん、それじゃ僕は先に……」
「リル、先に行ってるからカノンと二人で来なよ」

 さりげなく気を遣う俺。ここでつかわなきゃ野暮ってもんだ。
 リルとカノンにはメルザをしっかり守ってもらいたい。
 ジムロの奴は俺が決着をつける。円陣の方は任せたぞ。

 ――――

 温泉に入りにいくと、みんなここに集まっていた。
 やっぱり温泉以上に疲れが取れるものはないな。
 しかもここはプラネタリウム温泉。満点の夜空に浮かぶ星々を見ながら
 いつでも入浴出来る施設。
 これほどの贅沢はないだろう。
 空冷節蔵器をここに持ってきて飲み物をいつでも
 飲めるようにしよう。湯上り一杯はお決まりだ。

 温泉で十分に休んだ後、ルーンの安息所で休みを取っている、その時だった。

「大変だ、三夜の町が!」

 突如訪れたブルザさん。かなり慌てている様子だ。どうしたんだろうか。
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