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第三章 知令由学園 後編
第二百二十一話 王が成すべき事
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「世の言う通りであったろう。亜人を、逆らう者を投獄して生贄に捧げればこの大陸は安泰だ」
「はっ! 全ての産業場でモンスターに襲われにくくなったと報告を受けております!」
「我が民は忠実に世の言う事を聞いていればよい。さぁ全軍を上げてトリノポートへ攻める時期が近づいておる。
戦争じゃ。かの国におる亜人共を全て捕らえ、投獄して殺すのだ」
「父上、私が連れて来た者のお取立ての約束は?」
「投獄した。気に入らなかったのでな」
「……クッ。承知しました……」
「どうにもおかしな感じがしてな。お主もしばらくここへ来るのを禁じる」
「……そちらも承知した」
やはり父はもう、昔の父ではない。
この国の第一皇子として、僕が止めないとねぇ。
そのための協力者をどうにか集めないといけなかったが
、どういう術を使ったのか……彼らは一瞬で移動させられてしまった。
部屋に戻ると結界を張り一息つく。
「彼の仲間も頼りたい所だ。うまく操作者が強さを確認して説明をしてくれればいいんだけどねぇ……しかし、トリノポートへ進軍か。
まだ時間はあるはず。自分の国ながら呆れてしまうよ。
影武者の君もそう思うだろ?」
「はい。場内の様子は酷い有様です。王子もいつ狙われるかわかりません。
これ以上ここにいるのは危険かと。安全な場所へ避難してください」
「僕は瞬剣のジオだ。僕より強い者がこの国にいるとは思えないんだけどねぇ……だがあの父上は
……ひとまず二人で身を隠すとしよう」
「王子がジオと名乗る時はいつも企みじみてますね」
「そうかい? 僕はこっちの方が気に入ってるんだけどねぇ。
なんなら本名である、エッジマールウルキゾナは君にあげるよ」
「お戯れを。さ、参りましょう」
「ああ。情報屋の手配も頼む。彼らがそう簡単に死ぬたまじゃないと信じてるからねぇ」
「承知しました」
さて、この町で暗躍している奴らを一網打尽にするには
後何手必要かな……国王の強さは計り知れない。
本物の父上はもうこの世にいないのかもしれない。
瞬剣の僕でも歯がたたないような相手……か。
強い相手と戦えるなら散る覚悟で挑めるが、この国の命運がかかる以上、そうも言ってられない。
……昔を思い出すな。
「いいかエッジマールよ。この国は亜人に厳しい。人こそ崇高で絶対なる生き物という
教育が、根深く国民に浸透している。
霧神様の教えを忠実に守る村々も多々ある。
変えるのは容易ではない。だがお主ならきっと、この国を豊かに導いてくれる
賢王となろう。我が意志を継ぎ、民を導き、国を豊かにしてくれ」
「はい、父上! 誰よりも強く、賢くなって、僕はニンファと
結婚するんです!」
「はっはっは! エッジマールよ。其方、その年で恋をしているのか?」
「笑わないでくださいよ父上。すっごーーく可愛いんですよ、ニンファは」
「いやー、すまんすまん。女子がいいのはよーくわかるからな。おっと、これは母君には秘密の話ぞ?」
「はい! 父上と僕二人だけの秘密です!」
「ああ。二人が結ばれればこの国も大きく変わり、トリノポート、キゾナ双方に絆も生まれる。
わしも応援するからしっかりと射止めておくのだぞ」
「もちろんです! ニンファは誰にも渡しません!」
「うむ。それでは多いに学び励め。エッジマールよ」
……懐かしい父。優しくて偉大だった。この国の有様をあの父が見たらどう思うだろうか。
止められなかった不甲斐ない息子。
ニンファとも会えてはいない。
あのひたむきで真っ直ぐな青年のように、全力で
やってみようかねぇ。
この国の闇を振り払い、賢王として称えられるように。
「はっ! 全ての産業場でモンスターに襲われにくくなったと報告を受けております!」
「我が民は忠実に世の言う事を聞いていればよい。さぁ全軍を上げてトリノポートへ攻める時期が近づいておる。
戦争じゃ。かの国におる亜人共を全て捕らえ、投獄して殺すのだ」
「父上、私が連れて来た者のお取立ての約束は?」
「投獄した。気に入らなかったのでな」
「……クッ。承知しました……」
「どうにもおかしな感じがしてな。お主もしばらくここへ来るのを禁じる」
「……そちらも承知した」
やはり父はもう、昔の父ではない。
この国の第一皇子として、僕が止めないとねぇ。
そのための協力者をどうにか集めないといけなかったが
、どういう術を使ったのか……彼らは一瞬で移動させられてしまった。
部屋に戻ると結界を張り一息つく。
「彼の仲間も頼りたい所だ。うまく操作者が強さを確認して説明をしてくれればいいんだけどねぇ……しかし、トリノポートへ進軍か。
まだ時間はあるはず。自分の国ながら呆れてしまうよ。
影武者の君もそう思うだろ?」
「はい。場内の様子は酷い有様です。王子もいつ狙われるかわかりません。
これ以上ここにいるのは危険かと。安全な場所へ避難してください」
「僕は瞬剣のジオだ。僕より強い者がこの国にいるとは思えないんだけどねぇ……だがあの父上は
……ひとまず二人で身を隠すとしよう」
「王子がジオと名乗る時はいつも企みじみてますね」
「そうかい? 僕はこっちの方が気に入ってるんだけどねぇ。
なんなら本名である、エッジマールウルキゾナは君にあげるよ」
「お戯れを。さ、参りましょう」
「ああ。情報屋の手配も頼む。彼らがそう簡単に死ぬたまじゃないと信じてるからねぇ」
「承知しました」
さて、この町で暗躍している奴らを一網打尽にするには
後何手必要かな……国王の強さは計り知れない。
本物の父上はもうこの世にいないのかもしれない。
瞬剣の僕でも歯がたたないような相手……か。
強い相手と戦えるなら散る覚悟で挑めるが、この国の命運がかかる以上、そうも言ってられない。
……昔を思い出すな。
「いいかエッジマールよ。この国は亜人に厳しい。人こそ崇高で絶対なる生き物という
教育が、根深く国民に浸透している。
霧神様の教えを忠実に守る村々も多々ある。
変えるのは容易ではない。だがお主ならきっと、この国を豊かに導いてくれる
賢王となろう。我が意志を継ぎ、民を導き、国を豊かにしてくれ」
「はい、父上! 誰よりも強く、賢くなって、僕はニンファと
結婚するんです!」
「はっはっは! エッジマールよ。其方、その年で恋をしているのか?」
「笑わないでくださいよ父上。すっごーーく可愛いんですよ、ニンファは」
「いやー、すまんすまん。女子がいいのはよーくわかるからな。おっと、これは母君には秘密の話ぞ?」
「はい! 父上と僕二人だけの秘密です!」
「ああ。二人が結ばれればこの国も大きく変わり、トリノポート、キゾナ双方に絆も生まれる。
わしも応援するからしっかりと射止めておくのだぞ」
「もちろんです! ニンファは誰にも渡しません!」
「うむ。それでは多いに学び励め。エッジマールよ」
……懐かしい父。優しくて偉大だった。この国の有様をあの父が見たらどう思うだろうか。
止められなかった不甲斐ない息子。
ニンファとも会えてはいない。
あのひたむきで真っ直ぐな青年のように、全力で
やってみようかねぇ。
この国の闇を振り払い、賢王として称えられるように。
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