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第三章 知令由学園 後編
第二百七話 兵器ココット
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ミリルと休憩した俺は、次にココットに関する書物を
見るため受付に赴いた。以前アナライズした時に、兵器と表示されて以来ずっと気になっていた。
見た目はただのブリキの玩具でココットとしか喋らない。朝の目覚まし並みの賑やかさだ。
「ケンサ―、古代の戦闘兵器に関する書物が見たいんだが」
「御案内イタシマス。コチラデス」
ケンサーに案内され別の棚へ。今更だがどれも新品の本のように綺麗だ。
間違いなくマジックアイテムだろうな。書物は劣化しやすいし。
「古代ゲンドール兵器……これか」
本を持ちミリルの元へ戻ると、再びセットする。
トップに表示されるのは各大陸の映し絵だ。
場所事に兵器一覧が見れるのか? 目次からココットを探すと……あった!
「ミリル、これ見てくれ。驚きだ」
「……かつて世界を半壊させた古代兵器、ココット。その力はあまりにも強大が故、制御できる
者はいなかった。七十二の守護者が、それぞれの体内に一つずつ兵器のパーツを
封印した。七十二の守護柱はそれぞれ、兵器の力の一端を受け継ぎ行動に制限が掛けられて封印された。
これによりココットの力は失われ、世界は崩壊を免れる事が出来たのである……これって
あのココットちゃんの事ではないですわよね?」
「そう思いたいが、古代兵器のココットなんてそうそういるもんじゃないだろ……見なかった
事にしておきたいが見てしまったな。はぁ……」
世界を半壊させる力を復活なんてさせたらそれこそ俺は大罪人の仲間入りだろうな。
まぁココットが悪さするとは思えないけど、七十二守護柱なんて知らないし。
守護者ねぇ。これについても調べる必要があるな。この本には……載ってないか。
ひとまず置いておいて次の目的を調べよう。
「ココットの事はさておき、次は神についてだ。イネービュと霧神とやらについて知りたいな」
「今度はわたくしがケンサーに聞いて持って参りますわね」
そういうとミリルが席を立つ。
しばらくして戻ってきたミリルはゲンドールの神々という本を持ってきた。
「こちらの書物にきっと載っていますわ。見てみましょうルインさん」
「ああ。恐らく殆どわからないと思うけど見てみたい」
ミリルがセットして本の目次が開くと同時に、小さく表示される神々と思われる
者が映し出される。
どれも神々しく描かれているが……水ないし海にまつわる
のはこれか? 両手に水を巻いた美しい造形のそれは
時折渦を上空に巻き上げている。
海星神イネービュ……間違いない。
四海神の一柱。海の星を司る。海底神スキアラ、海冥神ネウスーフォ、海炎神ウナスァー
と並びゲンドールの海を司る。
遥か昔、海に星を呼び込み、海宇宙を作り異世界を繋げたとされるが
海の星に届いた者は発見されておらず、実在したとされる文献は存在しない。
「……よくわからないな。四海神ってことは海にも様々な場所があって司る神が違うってのか?」
「わたくしもよくわかりませんわ。封印のイーファさんなら御存知ではなくて?」
「ドーグル、頼む。……イーファ、わかるか? 俺には難しすぎてよくわからないんだが」
「場所というよりは海の層による違いだ。私が封印したティソーナは海底の領域。
海星神や海底神はその層の話だろう。海冥神や海炎神はよくわからぬ。
エルフといえど海をくまなく調べられる種族ではない。私に比べればまだ
モラコ族の方が詳しいだろう」
……そうするとティソーナを得る過程でイネービュってのに遭遇する可能性はあるか。
先生には結局知らんと一瞥された。知ってる感じだったんだけどな。
自分で調べ考えろってことだろう。頭で考えないやつを先生は嫌う。
ムーラさんにも話を聞いてみようかな。
「次は霧神について調べよう。この大陸の神だから載ってるよな」
「霧神という項目はありませんわね。名称が違うのかしら」
「本当だ。参ったな、霧関連の神を調べたいんだが。そうだ! 災厄や祟りに関する神は
わかるか?」
「災厄をもたらす神……ありましたわ! これですわね」
ミリルが目次から選択すると、小さなそれが映し出された。
モヤがかかっていてよくわからない。これを霧にみたてたのか?
「マガツヒ……二神一対。ヤソマガツヒとオホマガツヒ。
悪しき心に忠実なる神と、悪しき行動を悪とする心の神。
一神は不合理で大いなる災いをもたらし、一神は断じる者の手助けとなる。
両神は反発する原理で、禍いの平行を保っている。
祈りを捧げ祀る事で、その者たちへ降り注ぐ災いを退けるとされる……書き方が難しいが
恐らく当たりだろう。カノンが話していた村が祀っている一神は、恐らくマガツヒのどちらか……」
「けれど神というのは逸話ではないのでしょうか? わたくし、未だに信じられません」
「俺はこの世界に来るまで別の世界で生きていたと言ったら信じるかい?」
「……わたくしルインさんが嘘をつく人だとは思いませんわ。
信じられない話ですけれど、信じるしかありませんわね」
ミリルは俺を信用してくれている。それだけで十分嬉しい。
こんな話、仲間じゃなければ信じないだろうしな。
「つまり、俺がここにこうしているってことは、神がいてもおかしくないってことだ。
前世でも散々神の逸話がある。人が想像したものでもあり、人の領域を超えたものでもある。
この世界であれば、そういった存在がいてもおかしくないと考えている。
何せ地底にまで世界があり、モンスターなんてのまでいるくらいだしな」
それにしてもここでは多くの事を学べた。有意義な時間だった。
後は守護者に関して斗、もう一つ……
「スライムになってしまった人をもとに戻す方法とか、探せないか?」
「そちらはライラロが調べたはずだ。恐らく見つかってはいないのだろう」
「そうするとライデンから直に聞き出すしかないのか?」
「いや、アグリコラという人物がもしかしたら私の身体を戻す術を知っているかもしれぬようだ。
宴の際にライラロと意思疎通で確認した。其方がここでの用事を優先出来るよう
話すべきではないと判断した。
其方は自分より他者を大事にしすぎる。
今は成すべき事を成し、その後でよい」
「……ありがとうイーファ。じゃあついでに馬語を話す方法を調べるか」
「それは難しいと思いますわよ。ドーグルさんでも意思疎通が出来ないのでしょう?」
「やっぱりそうか。どうしたら天馬と話が出来るんだろう……」
「ヒヒーン!」
「そう、お前と話したいんだよ、俺は! はぁ……宝の持ち腐れだよな。これ」
「それでしたら、ドラディニア大陸でしたら何かわかるかもしれませんわ。
何せ竜の聖地。飛翔する生物が多く存在します。わたくしの
故郷ですし、その……一度はいらしていただきたいですわ」
「キゾナ大陸からも近いんだったな。やることは多いが、向かう先としてはアリだ。
だがまずは常闇のカイナ、ライデン、それにイーファの件を片付けてからだ。
トリノポート大陸の未来がかかってるし」
ライデンとケリをつけるためには戦力を上げる必要があるだろう。
イーファの事はそうそうばれようがないし、常闇のカイナとも出会ってはいない。
やつらのたくらみが何なのかだな。それよりトリノポートのジムロ。
あいつには注意しないといけない。現状トリノポートを支配しているのは奴だろう。
俺たちの領域周辺に常闇のカイナが出たら大変だ。用心しないとな。
守護者に関して調べようとしたが、書物は結局見つからなかった。
調べ方がわからないっていう方が正しいのかもしれない。
俺たちは調べものを終えて外に出ると、もう真っ暗だった。
書物を見ていると時間の経過が本当に早い。
明日はジオと会う。領域へ戻り休みをとろう。
見るため受付に赴いた。以前アナライズした時に、兵器と表示されて以来ずっと気になっていた。
見た目はただのブリキの玩具でココットとしか喋らない。朝の目覚まし並みの賑やかさだ。
「ケンサ―、古代の戦闘兵器に関する書物が見たいんだが」
「御案内イタシマス。コチラデス」
ケンサーに案内され別の棚へ。今更だがどれも新品の本のように綺麗だ。
間違いなくマジックアイテムだろうな。書物は劣化しやすいし。
「古代ゲンドール兵器……これか」
本を持ちミリルの元へ戻ると、再びセットする。
トップに表示されるのは各大陸の映し絵だ。
場所事に兵器一覧が見れるのか? 目次からココットを探すと……あった!
「ミリル、これ見てくれ。驚きだ」
「……かつて世界を半壊させた古代兵器、ココット。その力はあまりにも強大が故、制御できる
者はいなかった。七十二の守護者が、それぞれの体内に一つずつ兵器のパーツを
封印した。七十二の守護柱はそれぞれ、兵器の力の一端を受け継ぎ行動に制限が掛けられて封印された。
これによりココットの力は失われ、世界は崩壊を免れる事が出来たのである……これって
あのココットちゃんの事ではないですわよね?」
「そう思いたいが、古代兵器のココットなんてそうそういるもんじゃないだろ……見なかった
事にしておきたいが見てしまったな。はぁ……」
世界を半壊させる力を復活なんてさせたらそれこそ俺は大罪人の仲間入りだろうな。
まぁココットが悪さするとは思えないけど、七十二守護柱なんて知らないし。
守護者ねぇ。これについても調べる必要があるな。この本には……載ってないか。
ひとまず置いておいて次の目的を調べよう。
「ココットの事はさておき、次は神についてだ。イネービュと霧神とやらについて知りたいな」
「今度はわたくしがケンサーに聞いて持って参りますわね」
そういうとミリルが席を立つ。
しばらくして戻ってきたミリルはゲンドールの神々という本を持ってきた。
「こちらの書物にきっと載っていますわ。見てみましょうルインさん」
「ああ。恐らく殆どわからないと思うけど見てみたい」
ミリルがセットして本の目次が開くと同時に、小さく表示される神々と思われる
者が映し出される。
どれも神々しく描かれているが……水ないし海にまつわる
のはこれか? 両手に水を巻いた美しい造形のそれは
時折渦を上空に巻き上げている。
海星神イネービュ……間違いない。
四海神の一柱。海の星を司る。海底神スキアラ、海冥神ネウスーフォ、海炎神ウナスァー
と並びゲンドールの海を司る。
遥か昔、海に星を呼び込み、海宇宙を作り異世界を繋げたとされるが
海の星に届いた者は発見されておらず、実在したとされる文献は存在しない。
「……よくわからないな。四海神ってことは海にも様々な場所があって司る神が違うってのか?」
「わたくしもよくわかりませんわ。封印のイーファさんなら御存知ではなくて?」
「ドーグル、頼む。……イーファ、わかるか? 俺には難しすぎてよくわからないんだが」
「場所というよりは海の層による違いだ。私が封印したティソーナは海底の領域。
海星神や海底神はその層の話だろう。海冥神や海炎神はよくわからぬ。
エルフといえど海をくまなく調べられる種族ではない。私に比べればまだ
モラコ族の方が詳しいだろう」
……そうするとティソーナを得る過程でイネービュってのに遭遇する可能性はあるか。
先生には結局知らんと一瞥された。知ってる感じだったんだけどな。
自分で調べ考えろってことだろう。頭で考えないやつを先生は嫌う。
ムーラさんにも話を聞いてみようかな。
「次は霧神について調べよう。この大陸の神だから載ってるよな」
「霧神という項目はありませんわね。名称が違うのかしら」
「本当だ。参ったな、霧関連の神を調べたいんだが。そうだ! 災厄や祟りに関する神は
わかるか?」
「災厄をもたらす神……ありましたわ! これですわね」
ミリルが目次から選択すると、小さなそれが映し出された。
モヤがかかっていてよくわからない。これを霧にみたてたのか?
「マガツヒ……二神一対。ヤソマガツヒとオホマガツヒ。
悪しき心に忠実なる神と、悪しき行動を悪とする心の神。
一神は不合理で大いなる災いをもたらし、一神は断じる者の手助けとなる。
両神は反発する原理で、禍いの平行を保っている。
祈りを捧げ祀る事で、その者たちへ降り注ぐ災いを退けるとされる……書き方が難しいが
恐らく当たりだろう。カノンが話していた村が祀っている一神は、恐らくマガツヒのどちらか……」
「けれど神というのは逸話ではないのでしょうか? わたくし、未だに信じられません」
「俺はこの世界に来るまで別の世界で生きていたと言ったら信じるかい?」
「……わたくしルインさんが嘘をつく人だとは思いませんわ。
信じられない話ですけれど、信じるしかありませんわね」
ミリルは俺を信用してくれている。それだけで十分嬉しい。
こんな話、仲間じゃなければ信じないだろうしな。
「つまり、俺がここにこうしているってことは、神がいてもおかしくないってことだ。
前世でも散々神の逸話がある。人が想像したものでもあり、人の領域を超えたものでもある。
この世界であれば、そういった存在がいてもおかしくないと考えている。
何せ地底にまで世界があり、モンスターなんてのまでいるくらいだしな」
それにしてもここでは多くの事を学べた。有意義な時間だった。
後は守護者に関して斗、もう一つ……
「スライムになってしまった人をもとに戻す方法とか、探せないか?」
「そちらはライラロが調べたはずだ。恐らく見つかってはいないのだろう」
「そうするとライデンから直に聞き出すしかないのか?」
「いや、アグリコラという人物がもしかしたら私の身体を戻す術を知っているかもしれぬようだ。
宴の際にライラロと意思疎通で確認した。其方がここでの用事を優先出来るよう
話すべきではないと判断した。
其方は自分より他者を大事にしすぎる。
今は成すべき事を成し、その後でよい」
「……ありがとうイーファ。じゃあついでに馬語を話す方法を調べるか」
「それは難しいと思いますわよ。ドーグルさんでも意思疎通が出来ないのでしょう?」
「やっぱりそうか。どうしたら天馬と話が出来るんだろう……」
「ヒヒーン!」
「そう、お前と話したいんだよ、俺は! はぁ……宝の持ち腐れだよな。これ」
「それでしたら、ドラディニア大陸でしたら何かわかるかもしれませんわ。
何せ竜の聖地。飛翔する生物が多く存在します。わたくしの
故郷ですし、その……一度はいらしていただきたいですわ」
「キゾナ大陸からも近いんだったな。やることは多いが、向かう先としてはアリだ。
だがまずは常闇のカイナ、ライデン、それにイーファの件を片付けてからだ。
トリノポート大陸の未来がかかってるし」
ライデンとケリをつけるためには戦力を上げる必要があるだろう。
イーファの事はそうそうばれようがないし、常闇のカイナとも出会ってはいない。
やつらのたくらみが何なのかだな。それよりトリノポートのジムロ。
あいつには注意しないといけない。現状トリノポートを支配しているのは奴だろう。
俺たちの領域周辺に常闇のカイナが出たら大変だ。用心しないとな。
守護者に関して調べようとしたが、書物は結局見つからなかった。
調べ方がわからないっていう方が正しいのかもしれない。
俺たちは調べものを終えて外に出ると、もう真っ暗だった。
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