異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー

文字の大きさ
上 下
233 / 1,085
第三章 知令由学園 後編

第二百二話 それぞれの明日

しおりを挟む
「シュウさん、本当に毎度いいタイミングで」
「え? かなり遅くなったと思っていたんだが。何せ道に迷ってしまって」

 女性陣以外全員揃ったかなーというタイミングでシュウさんが来た。
 あまりの人の多さに驚いている。無論俺も驚いているわけだが。

「フー・トウヤさんにはあわれましたか? カッツェルの町は?」
「ああ。しっかり指導してくれている。何人かに才能があったようで
町の巡回警備は万全だ。今カルト兄弟が来ても返り討ちだろう」
「それはよかった。少々問題があったので心配してたんだけど」
「問題? 後で詳しく話してくれ。それと呼ぶときはシュウで構わない。
俺もルインと呼ぼう」
「わかった! よろしくシュウ!」
「こちらこそ、ルイン!」

 俺は拳を前に突き出し挨拶した。すると色んな奴らが同じく拳で挨拶してくる。
 ……いや、ここにいない女性陣以外全員か。嬉しいな。

 ほどなくして衣装直しを行った女性陣が来る。全員なんとも美しい衣装だが最も際立つのは
フェルドナージュ様だ。傍らにいるカドモスとピュトンも衣装をきている。威圧度が薄れて
少し可愛く見えた。

 大型のルーやミドーも出してあるので今日は外。びっしりと並べた料理に
 エールの樽やらが並んでいる。

「メルザ、一言だけ挨拶をたのめるか?」
「俺様が? ひっ……」

 フェドラートさんが物凄ーく嬉しそうに微笑んでいる。これは怖い! 

「み、みなさん。俺様達の町がでっかくなったのを祝って、たらふくくおーぜ!」
「海賊か!」

 いかんいかん、思い切り突っ込んでしまった。やばい一味の仲間入りだよおい。
 ……けど、主らしくていいか。食事は世界共通の楽しみだ。

「んじゃ、食事にするか! 新しく入ったメンバーも含めてよろしく! 
フェルドナージュ様もお越しいただきありがとうございます。お好きなだけ召し上がっていって
ください」
「うむ。メルザよ、もう少し手ほどきが必要なようじゃのう。フェドラートよ」
「申し訳ありません。まだまだ教育が必要ですので、指導役として傍にいようと思います」
「ああ。しかし妖魔国にも動きがあるやもしれぬ。その時は直ぐに」
「はっ」
「フェルドナージュ様、地上の件が片付いたら俺も……」
「よい、ルインよ。其方はまだ未熟ゆえ精進するのだ。それより其方、神話級アーティファクトを
入手したのであろう? 見せてくれぬか?」
「はい。剣戒! あ……剣戒! お願い今だけ消えないで! 剣戒!」
「……修練が必要じゃのう。心して励むとよい」

 あ、今カドモスとピュトンが鼻で笑った気がする。ちくしょう! 
頼みますよコラーださん……はぁ。

「こんなうまいもの一杯で幸せだ、俺様。しばらくここにいよーかな」
「ダメですよメルザさん。あなたは教養と術の勉強をみっちり叩き込みますからね」
「ひぃ……助けてくれー」

 そうだった。全員明日からどうするか確認しないとな。
「メルザとフェドラートさんは術と教養の勉強か。メルザ達と一緒に行動する者はほかにいるか?」
「私が行くわ。変身だけじゃなく術も使えればルインの手助けになると思うの」
「それならファナとメルザとフェドラートさんは一緒だな」
「僕とアルカーン先生、それにマーナとココットは一緒だよ!勉強沢山してくるね!」
「すまないが私は知令由学園へ行けるのだろうか?」
「シュウさん、恐らく行けますよ。試験を受ける必要はありますけどね」
「それなら僕が案内するね! シュウ兄ちゃん、よろしくね!」
「シュウ兄ちゃん……すまないがもう一度言ってくれるか?」
「? シュウ兄ちゃん?」
「おお、なんといういい響きだ。そう、俺はシュウ兄ちゃん。君のお兄ちゃんだ!」

 あ、シュウさんがニーメの癒しに落ちた。こいつぁちょろそうだ。

「……それじゃシュウとニーメ、アルカーンさんにマーナとココットは一緒……と」
「私とベルディスは新婚旅行に行ってくるわね。
ついでに王様の戻す方法とライデンとジムロをどうするか考えるわ」
「ついでが逆なんじゃ……」
「おい! 勝手に決めるんじゃねえ! 新婚旅行なんか行くか! 目的地は
ハーヴァルの野郎の場所だろうが」
「またまた、照れちゃって」
「えーと師匠とライラロさんは新婚旅行と……次は」
「おい待てルイン!」

 ほっとかないと先に進まないので次にいく。

「僕はカノンを連れて妖魔の町を案内してくるよ。あの大陸にはどのみち連れていけないしね」
「私もお兄ちゃんと一緒かな。本当は神話級アーティファクト探しもしたいんだけど」
「それなら俺とライラロに心当たりがあるっちゃある。そっちは後回しにした方がいいだろ」
「なんと、まことか。入手可能であれば童も出る事、やぶさかではない」
「それじゃリルとサラ、カノンは妖魔国ね」
「わらと王様、それからルーとレウス殿はここに残ろう。
あの大陸には居づらい」
「イーファとレウスさんとドーグル、ルーは町ね」
「僕らは君と行動を共にするつもりだ。まだあまり一緒に
行動していないからね」
「有難く思うっしょ。あんたの強さの秘密、見つける」
「わたくしも今度こそ一緒に行動しますわ! ルーはここならいつでも会えますし!」
「ルピィ?」
「パモはどうする? 俺と一緒なら一応行動出来るが、外にはそうそう出れないぞ?」
「パミュ!」
「一緒に行くか。後はベルローゼさんは?」
「俺は一度城へ戻る。用事を済ませたら図書館へ向かう予定だ」
「わかりました。それじゃ俺はベルド、ベルディア、ミリルと
しばらく行動を共にしよう。先にあの学園の武芸講義を受けたいんだがいいかな?」
「ああ、構わない。けど君の実力で物足りるかどうか」
「無駄っしょ。まぁ行ってみるのもいいけど」
「? 少しは戦い方を学べるならそれで構わないんだけどな」

 疑問を残しつつ、俺達の宴は続いた。
 ミリルは反省をいかして今日はジュースにしたようだ。

「さて、新しくなった温泉に入りたいから先にいくよ」
「童も参る。行くぞ、カドモス、ピュトン」
「フェルドナージュ様、彼ら用に大きい温泉施設を用意しといたので
カドモスとピュトンはそちらへ……」
「なんと、気が利くのう。こやつらすっかり温泉が気に入って
今じゃせがむようになりおったのだ」

 気を利かせたんじゃないよ! そうしないと落ち着いて入れないんだよ! 
 俺はルーたちが入れるようなモンスター用温泉を用意した。
 そちらでなら巨体で入っても問題ない大きさだ。

 そして俺はついに! 男湯を手に入れたはずだ。
 男女別の敷居を用意した温泉。
 上空にはプラネタリウムがあり、星々が見える美しい温泉だ。

 温泉に着くと、鼻歌まじりで身体を洗い流し
 湯につかる。満点の星空を見ながらの温泉。最高だ! 

「邪魔じゃのう。邪剣!」
「へ?」

 出来立ての敷居は粉々に破壊された。
 すいーと絶世の美女フェルドナージュ様がこちらへ来る。

「なんじゃあの敷居は。一緒に入れぬではないか。
温泉とは男女共に入り語らう場所なのだろう?」

 ……そう、俺は気付いてなかったんだ。
 みんなの認識が間違って定着していた事に。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

最弱引き出しの逆襲 ― クラス転移したのはいいけど裏切られたけど実は最強だった件

ワールド
ファンタジー
俺、晴人は普通の高校生。だけど、ある日突然、クラス全員と一緒に異世界に飛ばされた。 そこで、みんなは凄い能力を手に入れた。炎を操ったり、風を呼んだり。でも、俺だけが"引き出し"なんていう、見た目にも無様な能力を授かった。戦いになんの役にも立たない。当然、俺はクラスの笑い者になった。 だけど、この"引き出し"、実はただの引き出しではなかった。この中に物を入れると、時間が経つにつれて、その物が成長する。最初は、その可能性に気づかなかった。 でも、いつしか、この能力がどれほどの力を秘めているのかを知ることになる。 クラスメイトたちからは裏切られ、孤立無援。でも、俺の"引き出し"が、みんなが見落としていた大きな脅威に立ち向かう唯一の鍵だったんだ。知恵と工夫で困難を乗り越えて、俺は最弱から最強へと変貌する。 工夫次第で幾らでも強くなれる引き出し能力で俺は成りあがっていこう。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……

こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

成長チートと全能神

ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。 戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!! ____________________________ 質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。

処理中です...