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第二章 知令由学園 前編
間話 過去の思い出 ガルドラ山脈
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そう、俺たちはベッツェンへ初めて赴くべく、三夜の街をライラロさんの乗り物
風斗車を用いて向かっていた。
「どう? 最高でしょ、私の風斗車」
「すんごい揺れる。も、もうちょっとゆっくり走ってください」
「すげー、これなら俺様も楽に移動できるな。ししょー、これほしいぞ」
「あげないわよ、まったく。自分で作りなさいよね」
「僕がそのうち親分のために作ってあげるよ! もうちょっと揺れないやつ……」
「ニーメ、こんなの作れるようになったの? すごいわね。さすがだわ」
そんな話をしながら三夜の町を出て俺たちはかっ飛んでいた。
ガルドラ山脈に差し掛かり山脈を風斗車で登り始めて数十分。
車輪に異様な音がするので気になった俺はライラロさんに注意するよう
呼びかけた。
「え、大丈夫よ。そんなやわには作ってないわ。平気平気。
一秒でも早く着いてベルディスに褒めてもらうんだから」
「でもこんなあぜ道をこの速さで移動するのは危険なんじゃ……」
「何言ってるのよ。こんな道大したことないわ。かかってこいってなもんよ」
「……嫌な予感がします」
バキっという音が聞こえたきがしたんだ。俺たち全員に。
「何か今変な音聞こえたよ、僕」
「ニーメ! お姉ちゃんにしっかり捕まって!」
「メルザ!ラーンの捕縛網でぐるぐるまきにするぞ!」
「え? 何でだ?」
「あれ、おかしいわね。いう事聞きなさいよ! 全く! えい!」
ぼっきりとハンドルが折れる。
「てへっ」」
「じゃねえだろーーーーー! うおーー! 崖、落ちる、落ちるぅー!」
「誰よこの女に運転任せたの! いやーーーー!」
「ファナ、俺に捕まれ! ぐえっ首が閉まる。ライラロさん!」
「ごめんなさーーーーーーい!」
俺たちは南方面へ落下した。
「げ、やべぇ。キメラがいる! くそ、メルザ!下に向けて思い切り
風斗を放ってくれ! ライラロさんも!」
「わかった! 風斗!」
全員を首やら体やらに巻き付け謎の生命体キメラと化した俺の体がふわりと浮く。
「うおお、どうにか掴まれた!」
「ギギイイーーー! フシャアアーー!」
本物のキメラにしがみつきどうにか落下しないようにする。
キメラは暴れるが俺も意地でも離さない。重みに耐えかねて地面に降りていくキメラ。
「水臥斗!」
「ギギイイーーーー!」
着地と同時にライラロさんが水で流した。まじであぶねぇ……どうするんだここから。
ガルドラ山脈の南側はキメラが大量に生息している。
この地を抜けていくのが困難なので、ベッツェンへのルートはほぼガルドラ山脈へ
集約されているというのに。
「どうにか上に戻れませんかね、これ」
「無理じゃないかしら。先に進みましょ。風斗車はまた作ればいいわ」
「そういう問題? 先に進むってキメラの生息するこの岩場をですか!? 無茶な」
「いけるわよ。私がいるのよ。さぁ行きましょう! 今すぐダーリンへ会いに!」
そういうとずんずん進んでいくライラロさん。全く人のいう事を聞いていない。
あれ、戻ってきた。引き返す気になってくれたのか?
「た、助けてー! 数が多いわ! 一時撤退よ!」
「うおわあああーーー、何匹に絡まれてるんだよ! メルザ、ファナ、ニーメ、我慢しろよ!」
「きゃあーー、ルイン、何処触ってるのよ!」
「お姉ちゃん、前見えないよ!」
「わあーー、凄い数のキメラだ。こえー」
数十匹のキメラが後ろから迫り、火を吹いたり氷を吹いたりしているが怖くて見れない。
三人を抱えて俺はとにかく走った。疾風の靴が無ければ到底無理な話だ。
「だめだ、追いつかれる!もう一段下に……いや、あそこに洞窟がある! 一旦あの中へ」
「わかったわ、土臥斗! 今よ、見えないうちに」
俺たちは洞窟へ転がり込みライラロさんが急ぎ土斗でフタをして見えなくする。
「はぁ……はぁ……どうにか助かった」
「まだガルドラ山脈に入って数十分よね、ここ」
「僕疲れたよ、ちょっと休憩しよう?」
「あら? 奥に道があるわ。行ってみましょう」
「え? キメラが去ったら一旦引き返して出直した方がいいんじゃ?」
「いえ、この先の道がきっとベッツェンへ続いてるわ。うん、思い出したの」
「本当ですか? よかった。それなら安全なところまで進んで休憩しましょう」
そう、俺はあさはかだった。相手はライラロさん。そんなうまい話しがあるわけない。
たまたま見つけた洞窟がベッツェンへ繋がる……わけはなかった。
「あのー、だいぶ歩きましたけど、ここどこでしょう。真っ暗なんですけど。
「る、ルイン何処触ってるんだ!」
「暗くて何も見えないよー」
「引き返したほうがよくない?」
「シュルシュルー」
「ん? 何か言ったかメルザ」
「だから変なとこ触るなって!」
「壁しか触ってないぞ、俺」
「シュルルー!」
「うわぁ、蛇だ! 燃斗! 燃斗!」
メルザの燃斗で明かりがつく。
そこら中に蛇がいるのがみえてしまった。
「うわあああああ! ラーンの捕縛網! ここ、蛇の巣じゃないか!」
「あれ、おかしいわね。また外れかしら」
「ルイン! 首に巻き付いてるぞ! 動くなよ! 燃斗!」
「あっつ! 首が燃える! うおおお」
俺たちは結局蛇から逃れ、キメラに追われた場所まで戻り一夜を過ごした。
それからというもの……再びキメラと対峙したり、崖崩れにあったり、大雨に見舞われ
這う這うの体でガルドラ山脈の入口に戻った。数週間かけて。
「てへっ。戻ってきちゃったわね」
『てへじゃなーい!』
ライラロさんを信じて突き進んだ結果、俺たちはベッツェンへたどり着くのに一か月を要することになった。
彼女こそトラブルメーカー、突撃のライラロなのだと。
風斗車を用いて向かっていた。
「どう? 最高でしょ、私の風斗車」
「すんごい揺れる。も、もうちょっとゆっくり走ってください」
「すげー、これなら俺様も楽に移動できるな。ししょー、これほしいぞ」
「あげないわよ、まったく。自分で作りなさいよね」
「僕がそのうち親分のために作ってあげるよ! もうちょっと揺れないやつ……」
「ニーメ、こんなの作れるようになったの? すごいわね。さすがだわ」
そんな話をしながら三夜の町を出て俺たちはかっ飛んでいた。
ガルドラ山脈に差し掛かり山脈を風斗車で登り始めて数十分。
車輪に異様な音がするので気になった俺はライラロさんに注意するよう
呼びかけた。
「え、大丈夫よ。そんなやわには作ってないわ。平気平気。
一秒でも早く着いてベルディスに褒めてもらうんだから」
「でもこんなあぜ道をこの速さで移動するのは危険なんじゃ……」
「何言ってるのよ。こんな道大したことないわ。かかってこいってなもんよ」
「……嫌な予感がします」
バキっという音が聞こえたきがしたんだ。俺たち全員に。
「何か今変な音聞こえたよ、僕」
「ニーメ! お姉ちゃんにしっかり捕まって!」
「メルザ!ラーンの捕縛網でぐるぐるまきにするぞ!」
「え? 何でだ?」
「あれ、おかしいわね。いう事聞きなさいよ! 全く! えい!」
ぼっきりとハンドルが折れる。
「てへっ」」
「じゃねえだろーーーーー! うおーー! 崖、落ちる、落ちるぅー!」
「誰よこの女に運転任せたの! いやーーーー!」
「ファナ、俺に捕まれ! ぐえっ首が閉まる。ライラロさん!」
「ごめんなさーーーーーーい!」
俺たちは南方面へ落下した。
「げ、やべぇ。キメラがいる! くそ、メルザ!下に向けて思い切り
風斗を放ってくれ! ライラロさんも!」
「わかった! 風斗!」
全員を首やら体やらに巻き付け謎の生命体キメラと化した俺の体がふわりと浮く。
「うおお、どうにか掴まれた!」
「ギギイイーーー! フシャアアーー!」
本物のキメラにしがみつきどうにか落下しないようにする。
キメラは暴れるが俺も意地でも離さない。重みに耐えかねて地面に降りていくキメラ。
「水臥斗!」
「ギギイイーーーー!」
着地と同時にライラロさんが水で流した。まじであぶねぇ……どうするんだここから。
ガルドラ山脈の南側はキメラが大量に生息している。
この地を抜けていくのが困難なので、ベッツェンへのルートはほぼガルドラ山脈へ
集約されているというのに。
「どうにか上に戻れませんかね、これ」
「無理じゃないかしら。先に進みましょ。風斗車はまた作ればいいわ」
「そういう問題? 先に進むってキメラの生息するこの岩場をですか!? 無茶な」
「いけるわよ。私がいるのよ。さぁ行きましょう! 今すぐダーリンへ会いに!」
そういうとずんずん進んでいくライラロさん。全く人のいう事を聞いていない。
あれ、戻ってきた。引き返す気になってくれたのか?
「た、助けてー! 数が多いわ! 一時撤退よ!」
「うおわあああーーー、何匹に絡まれてるんだよ! メルザ、ファナ、ニーメ、我慢しろよ!」
「きゃあーー、ルイン、何処触ってるのよ!」
「お姉ちゃん、前見えないよ!」
「わあーー、凄い数のキメラだ。こえー」
数十匹のキメラが後ろから迫り、火を吹いたり氷を吹いたりしているが怖くて見れない。
三人を抱えて俺はとにかく走った。疾風の靴が無ければ到底無理な話だ。
「だめだ、追いつかれる!もう一段下に……いや、あそこに洞窟がある! 一旦あの中へ」
「わかったわ、土臥斗! 今よ、見えないうちに」
俺たちは洞窟へ転がり込みライラロさんが急ぎ土斗でフタをして見えなくする。
「はぁ……はぁ……どうにか助かった」
「まだガルドラ山脈に入って数十分よね、ここ」
「僕疲れたよ、ちょっと休憩しよう?」
「あら? 奥に道があるわ。行ってみましょう」
「え? キメラが去ったら一旦引き返して出直した方がいいんじゃ?」
「いえ、この先の道がきっとベッツェンへ続いてるわ。うん、思い出したの」
「本当ですか? よかった。それなら安全なところまで進んで休憩しましょう」
そう、俺はあさはかだった。相手はライラロさん。そんなうまい話しがあるわけない。
たまたま見つけた洞窟がベッツェンへ繋がる……わけはなかった。
「あのー、だいぶ歩きましたけど、ここどこでしょう。真っ暗なんですけど。
「る、ルイン何処触ってるんだ!」
「暗くて何も見えないよー」
「引き返したほうがよくない?」
「シュルシュルー」
「ん? 何か言ったかメルザ」
「だから変なとこ触るなって!」
「壁しか触ってないぞ、俺」
「シュルルー!」
「うわぁ、蛇だ! 燃斗! 燃斗!」
メルザの燃斗で明かりがつく。
そこら中に蛇がいるのがみえてしまった。
「うわあああああ! ラーンの捕縛網! ここ、蛇の巣じゃないか!」
「あれ、おかしいわね。また外れかしら」
「ルイン! 首に巻き付いてるぞ! 動くなよ! 燃斗!」
「あっつ! 首が燃える! うおおお」
俺たちは結局蛇から逃れ、キメラに追われた場所まで戻り一夜を過ごした。
それからというもの……再びキメラと対峙したり、崖崩れにあったり、大雨に見舞われ
這う這うの体でガルドラ山脈の入口に戻った。数週間かけて。
「てへっ。戻ってきちゃったわね」
『てへじゃなーい!』
ライラロさんを信じて突き進んだ結果、俺たちはベッツェンへたどり着くのに一か月を要することになった。
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