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第二章 知令由学園 前編
第百九十二話 新たな仲間の歓迎会をしたい
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俺たちは訓練を終えた後、これまでの経緯をベルドとベルディアに話した。
あの時常闇のカイナに襲われた事やギルドグマの事。
キャットマイルドの事などは父親のバルドスから聞いていたようだ。
「まさか君が妖魔だったとは。一度力を失ったってのは本当かい?
その割にはどう見ても強いんだけど」
「何せ俺には指導してくれるシーザー師匠や、術などを指導してくれる
ベルローゼ先生がいるからな」
「そうか。いい師に恵まれているんだね。僕は父上に教わったが
今では忙しい身の上。こうしてはるばるこの学園に強さを求めて来ているんだけど
相手になる人がほとんどいなくてね」
「それなら二人とも、うちの傭兵団に入らないか? 戦う相手に困ることは無いと
思うぞ」
「いいのかい? 僕ら二人とも?」
「本当っしょ? うちらまだまだ強くなれる?」
「ああ。メルザなら直ぐ了承してくれると思う。幻妖団メルの一員として」
「それは願ったりだね。ハーヴァルさんにも傭兵団に誘われて迷っていたんだけど
君の所なら安心だ。
その前にちゃんと身の上話とか僕とベルディアが安心できる人物なのかは
君に知っておいてもらいたいな」
「当然っしょ。あんた簡単に人信用しすぎ」
痛いところを突かれた。その通りだ。今イーファの事で色々人に話せない
状況でもある。バルドスが信用なる人物かはベルドを
見てればなんとなくわかるが……誰が敵になるかわからないし、ちゃんと確認をしよう。
「なぁルイン。二人の歓迎会をしないかい? できればその……カノンも入れて。
どうにか出来ないかな」
「俺も考えていたんだ。ドーグルもカノンもイーファも。それにベルドやベルディア。
本当はシュウさんも入れたいんだけどな。この旅で仲間が凄く増えた。
一人捨てられたあの頃には、こうなるなんて考えもしなかったな」
「そういえば僕らは君の事をよく知らない。宿は同じだろう? 向かいながら色々教えてくれないか」
「ああ。そんな面白い話じゃないけどいいか?」
そういうと、俺の生い立ちを宿に向かいながら話した。メルザとの面識がない二人でも
メルザの優しさは十分伝わったようだ。
「そうか。ビスタが初戦で負けたと聞いて驚いたが、君の主だったんだね。
ブルネイもギリギリ倒せたと言っていた。余程の術使いなんだろうな」
「今じゃ飛んでもない怪物だろう。臨戦状態で対峙したら俺でも勝てる自信はない。
まぁその辺は俺たちと行動するようになればわかるさ」
会話しながら歩いていると目的地にあっという間に着いた。
宿に着くとライラロさんもいたのでちょうどいい。
「あら、ベルドちゃんにベルディアちゃんじゃない! 大きくなったわね!」
「ら、ライラロさん。お久しぶりです。ベルディアです。あの、お元気ですか?」
ん? 誰だ? このキラキラしているベルディアっていう女性は。知らない人です。
「相変わらず可愛いわね。名前がいいものね。ベルディスと一文字違いだなんて。
綺麗にもなるわよ。うふふ」
「ええ。光栄ですわ。ベルディス様はこちらには?」
「来てないわ。今頃どこで何してるのかしら、まったくもう」
「妹は大のライラロさんファンでね。話し言葉を変えてしまうくらい好きなんだよ。
変わってる自覚はないらしいんだけどね」
ああ、突撃していく感じを見習ったのか。そこは見習わないで欲しかったな。
「んで、あんたたちはここで何してるわけ?」
「実は俺たちの団に勧誘したんですよ。ライラロさん、今日はこちらに?」
「へぇ、いいじゃない。また賑やかになるわね。バルドスとメディルの子供は平気よ。
それと今日は宿でゆっくりするつもりよ」
「それなら、二人……いや大勢の歓迎会をしたいと思ってるんです。何か方法はないでしょうか?」
「ああ……あるわ。というよりフェドラートと話して試したい事が出来たのよ。
全員で古代樹の図書館裏に来てもらえるかしら。今すぐ」
「全員で、今すぐ? まぁライラロさんとフェドラートさんお二人の案なら」
「私だけの案でもちゃんと来なさいよね!」
「それはちょっと……ガルドラ山脈の件が」
「あ、うん。そうね。わ、わかったわ。おほほほ」
俺は再びトラウマを思い出していた。
そうだな。そろそろあの物語を語ってもいいのかもしれない。
あの時常闇のカイナに襲われた事やギルドグマの事。
キャットマイルドの事などは父親のバルドスから聞いていたようだ。
「まさか君が妖魔だったとは。一度力を失ったってのは本当かい?
その割にはどう見ても強いんだけど」
「何せ俺には指導してくれるシーザー師匠や、術などを指導してくれる
ベルローゼ先生がいるからな」
「そうか。いい師に恵まれているんだね。僕は父上に教わったが
今では忙しい身の上。こうしてはるばるこの学園に強さを求めて来ているんだけど
相手になる人がほとんどいなくてね」
「それなら二人とも、うちの傭兵団に入らないか? 戦う相手に困ることは無いと
思うぞ」
「いいのかい? 僕ら二人とも?」
「本当っしょ? うちらまだまだ強くなれる?」
「ああ。メルザなら直ぐ了承してくれると思う。幻妖団メルの一員として」
「それは願ったりだね。ハーヴァルさんにも傭兵団に誘われて迷っていたんだけど
君の所なら安心だ。
その前にちゃんと身の上話とか僕とベルディアが安心できる人物なのかは
君に知っておいてもらいたいな」
「当然っしょ。あんた簡単に人信用しすぎ」
痛いところを突かれた。その通りだ。今イーファの事で色々人に話せない
状況でもある。バルドスが信用なる人物かはベルドを
見てればなんとなくわかるが……誰が敵になるかわからないし、ちゃんと確認をしよう。
「なぁルイン。二人の歓迎会をしないかい? できればその……カノンも入れて。
どうにか出来ないかな」
「俺も考えていたんだ。ドーグルもカノンもイーファも。それにベルドやベルディア。
本当はシュウさんも入れたいんだけどな。この旅で仲間が凄く増えた。
一人捨てられたあの頃には、こうなるなんて考えもしなかったな」
「そういえば僕らは君の事をよく知らない。宿は同じだろう? 向かいながら色々教えてくれないか」
「ああ。そんな面白い話じゃないけどいいか?」
そういうと、俺の生い立ちを宿に向かいながら話した。メルザとの面識がない二人でも
メルザの優しさは十分伝わったようだ。
「そうか。ビスタが初戦で負けたと聞いて驚いたが、君の主だったんだね。
ブルネイもギリギリ倒せたと言っていた。余程の術使いなんだろうな」
「今じゃ飛んでもない怪物だろう。臨戦状態で対峙したら俺でも勝てる自信はない。
まぁその辺は俺たちと行動するようになればわかるさ」
会話しながら歩いていると目的地にあっという間に着いた。
宿に着くとライラロさんもいたのでちょうどいい。
「あら、ベルドちゃんにベルディアちゃんじゃない! 大きくなったわね!」
「ら、ライラロさん。お久しぶりです。ベルディアです。あの、お元気ですか?」
ん? 誰だ? このキラキラしているベルディアっていう女性は。知らない人です。
「相変わらず可愛いわね。名前がいいものね。ベルディスと一文字違いだなんて。
綺麗にもなるわよ。うふふ」
「ええ。光栄ですわ。ベルディス様はこちらには?」
「来てないわ。今頃どこで何してるのかしら、まったくもう」
「妹は大のライラロさんファンでね。話し言葉を変えてしまうくらい好きなんだよ。
変わってる自覚はないらしいんだけどね」
ああ、突撃していく感じを見習ったのか。そこは見習わないで欲しかったな。
「んで、あんたたちはここで何してるわけ?」
「実は俺たちの団に勧誘したんですよ。ライラロさん、今日はこちらに?」
「へぇ、いいじゃない。また賑やかになるわね。バルドスとメディルの子供は平気よ。
それと今日は宿でゆっくりするつもりよ」
「それなら、二人……いや大勢の歓迎会をしたいと思ってるんです。何か方法はないでしょうか?」
「ああ……あるわ。というよりフェドラートと話して試したい事が出来たのよ。
全員で古代樹の図書館裏に来てもらえるかしら。今すぐ」
「全員で、今すぐ? まぁライラロさんとフェドラートさんお二人の案なら」
「私だけの案でもちゃんと来なさいよね!」
「それはちょっと……ガルドラ山脈の件が」
「あ、うん。そうね。わ、わかったわ。おほほほ」
俺は再びトラウマを思い出していた。
そうだな。そろそろあの物語を語ってもいいのかもしれない。
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