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第二章 知令由学園 前編

第百八十九話 懐かしい顔ぶれ

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 会場の破壊神と化した俺たちは次の試験を受けるべく、紫色の本の形をした建物へ赴いた。

「お待ちしておりました。こちらの建物は壊さないでくださいね。
壊してもお金にはなるんですけど」
「はい、気を付けます……これ以上出費がかさむわけにはいかないので」

 今度先生にはきっちり仕事をこなしてもらおう。

「こちらでは知識と教養の深さを確認する試験が行われます。
誰しもが学ぶべき項目ですからまず落ちる心配はありません」
「よかった。早速お願いしてもいいですか? 日が暮れないうちに帰りたくて」

 カノンが封印されたままだしあまり遅いとメルザが空腹で騒ぎ立てるだろう。

「そうですね。皆さんはお食事もまだですし早めに済ませましょう。
ではまず知識から……」

 主に単純な算術や文字の読み書きの内容だった。教えておいて
よかった。全員すらすらと説いていく。

「大変結構です。では教養ですが礼儀作法や挨拶などを行います」
「これってメルザとフェドラートさん以外だれか受けるか?」
「僕は受けるよ。偉い人も来るようになるんでしょ?」
「ああ、そうだな。じゃあニーメとメルザとフェドラートさんで頼む」
「私は指導役ですけどね。出題をどうぞ」
「おほん。では私を皇帝と思って挨拶をしてみてください。挨拶は教養の基本ですからね」
「わかった! おっさん初めまして! よろしくな! にははっ」

 おっさんていうほど年取ってるようには見えないんだが。
 あ、砕け散った。精神的ダメージがでかい。

「わ、私はまだ二十代なのに……そんな」
「親分だめだよ! 様をつけないと! 皇帝なんだし!」
「おう、そうか! おっ様! よろしくな!」
「おっさんのおっは名前じゃない! 名前がおっだったら変だろ!」
「違うのか? 俺様こいつの名前しらねーしよ。フェル様だったらわかるのに」
「これはいけませんね。試験を受からせてみっちり教えていく必要がある。そう思いませんか?」

 あ、試験官とフェドラートさんががっつり握手してる。決まりだ。

「坊やの方は気遣いも出来てよろしい。お嬢さんはきっちりと教養を積んでもらいましょう!」

 け、結果オーライってやつだな。次に移ろう。
 俺たちは少し離れた場所にある製作技術用試験場所へ赴いた。

 ここではニーメとおつきのフェドラートさんが製作技術の試験を受け
楽々こなした。
 これで全行程終了。各自学ぶための準備がようやく終わった所。
 後は好きなタイミングでいつでも合格したジャンルの中から項目を選んで学ぶことができる。

 内容に関しては後日詳しく教えてくれるらしい。
 会場を出て中央にある食事処へようやく向かえる。そこでミリルと落ち合う予定だ。

 中央の食事処はナイフとフォークがクロスして入口を形成している。

「皆さんお待ちしておりましたわ」

 ミリルはまだ全員と馴染んでおらず、少し居心地が悪そうに思える。
 ファナとメルザにはよく馴染んでいるが、ベルローゼさんを少し苦手そうにしている
気がする。ツンデレはなれるまでに時間がかかるか。

「おいルイン! こっち空いてるぞ! 何くおーかな。種類がいっぱいあるぞ!」
「好きなものを選んで頼めるのか。まるでフードコートだな」
「フードコートってなんだ?」
「気にするな。好きなものを頼みなよ。みんなもお疲れ様。
ミリルは食事がまだなのか?」
「ええ、まだとっていませんわ。その、皆さんと早く打ち解けたいのですが
自信が無くて」
「俺やフェドラートの事なら気にするな。貴様は竜騎士だろう? 
竜はよかったのか?」
「いえ、よくはないのですが……」
「こちらの大陸に連れてこれればいいのですが、難しいですからね。
ドラゴンすら嫌うとは余程の事があったのでしょう」
「あーーー! あんたは!」

 会話していると突如後方から声があがる。こっちじゃないよな。

「見つけたっしょ。なんでここにいるし。やっぱり死んでなかった」
「おや。まさかこんなところで君たちと再会することになるとは。真っ二つにされたと聞いたんだけどね」

 どう考えても俺たちに後ろから話しかけられているように感じたので振り返ってみると……

 闘技大会で戦った、ベルドとベルディアがそこにいた。
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