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第二章 知令由学園 前編
第百八十七話 学園試験 武芸編
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夢を見ていた。土偶とスライムが俺の体の上で飛び跳ねて、カノンがあきれ顔で見る夢だ。
夢の中でドーグルの声がする。もう起きろ、いつまで寝ている。ちみは寝坊助だなと。
寝起きはいい方だと俺は言っているところで目が覚めた。
「もうみんな試験会場に向かった頃だぞ。いくら声をかけても全くおきんのだなちみは。
スライム王以外であればお主の意思で会話出来るようにしたぞ。双方喋る必要はない。
安心して話すがいい」
「あれ、まだ夢か? 声聞こえないけど声がするな。何言ってるかわからないけど」
「聞こえるわ。というより聞く方はいつでも聞こえるのだけど、喋らないのに喋れるのは有難いわ。
リルさんとお話したいな……」
「リルは封印だからな。夜寝る間なら封印してもいいと思うけど」
「本当!? 明日はお願いね。その……少し寂しくて」
「窮屈にさせて済まないな。何か伝えたい事があったら俺と念話してくれ。
ドーグルも有難う。さて、いくか!」
宿屋受付の前へ行くと、ライラロさん以外は全員いた。眠そうなメルザを見るに
まだ寝ぼけているようだ。
「みんなお早う。よく休めたか?」
「やあ。一人で寝るのは久しぶりだけどよく休めたよ」
「ええ、準備は万端よ。ミリルは試験終ってるから図書館に行ってるみたいよ。
先をだいぶ越されちゃったわね」
「主ちゃん、ねむそー。私がおぶっていってあげるね」
「親分は寝たらなかなか起きないからなぁ」
「んあー、もっと寝たい……」
「ふっ。その状態で教養試験など受けれるのか?」
「メルザさん。朝はどのように挨拶するかお忘れではありませんよね……?」
フェドラートさんにそう言われ突然しゃきっとなるメルザ。
しかし目が開いていない。身体だけ起きたようだ。
……しゃっきっとするのを待ってても時間がかかるし、向かうとするか。
サラが妹でも出来てはしゃぐようにメルザをおぶる。一番下だからきっと妹か弟が
欲しいんだろうな。ニーメもたまにおんぶしてるし。
俺たちは試験を受ける予定の場所へと向かった。
昨日受付を行った建物の左隣にある紫色の本の建物。この中で試験を行うらしい。
「ラインバウト一家の方ですね。お待ちしてました。
試験の説明を致します。試験分類は全部で五つ。全て受ける必要はありません。
武芸、術、知識、教養、製作技術の順番に行います。
まずは武芸からですが、受講される方はどなたでしょうか?
「ほぼ全員かな? ニーメとメルザは受けないだろう?」
「ううん、僕も弓で参加したいな」
「俺様は武器使えないから杖で殴るくらいしかできない……」
「棍技というものがありますが受けてみますか? 試験内容はさほど難しくはありません」
「おお、受けるぞ!」
「では全員参加でよいですね。武器はこちらでご用意いたしますのでそちらをご利用ください。
もし自分に適正がない武器しか無いと思いましたら、ご自身の武器でも構いません。
体術の方は試験時、事前にご申告くださいね。ではこちらへどうぞ」
そういわれ、本の建物の一角へ案内される。かなり広大な空間に、試験管らしき人物が複数いる。
「それぞれ戦ってもらう相手は達人クラスの方々です。勝利する必要はありませんので、実力などを
見せてください。初心者の方でも見込みがあれば全く戦えていなくても問題ありません。
ではまずこちら側でルインさん、隣でリルカーンさん。その隣でサラカーンさんどうぞ」
「武器は曲刀と格闘武器がいい」「僕は格闘二つ」「私も格闘二つね」
「皆さんこちらをどうぞ」
武器を受け取ると、試験官の前に対峙する。強面だが脅威は感じられない。
闘技大会選手レベルか。
「よろしくお願いします」
「ああ。怪我させないようにするから気楽にな」
「はじめ!」
俺は右周りに移動して様子を伺う。試験官は目で追えてはいるが速度に驚いているようだ。
装備は外されているから生身の速度。妖魔装備もプログレスウェポンにも頼ってはいない。
だが……俺とリルは地獄を味わいすぎた気がする。この試験官では相手にならないだろう。
「ふっ!」
右手に持った曲刀を試験監に打ち込む。刃は無いが金属だ。まともに受ければ骨が折れる。
「ぐっ、重い!」
剣で受けた試験監が後ろへ吹き飛ぶ。すぐさま跳躍してナックルを顔面に叩き込む形だけとる。
「……文句なく合格だ。流派を伺っても?」
「え? 流派? 先生、流派はなんですか?」
「おお、そちらの方が師範でしたか! 私をぜひ弟子に!」
「弟子をこれ以上取るつもりはない。流派か……そうだな。星流とでもしておけ」
「……だそうです」
「……無念。師範の方は武芸試験免除で構いません」
「相手が務まるものはいないか」
「一人いると思いますが今はこちらにいないので、気になるなら後日に」
「……わかった。そうさせてもらおう」
ベルローゼ先生は免除になりました。会場を破壊されてもこまるからな……リルと
サラもとっくに合格している。
次はニーメとフェドラートさん、ファナの出番か。
ニーメはマトを射る試験で的確にマトをとらえている。合格できるだろう。
ファナもナイフさばきに磨きがかかっている。誰に教わったんだ、本当。
足はニーメの具足に履き替えているが、問題なく歩けている。苦労したんだろうな。
あ、フェドラートさんの試験が始まる。しっかり見てみよう。
フェドラートさんが持っているのは……ナタか? あんなの使えたのか。
「あいつが武器を持つと少々危険だ。下がっていろ」
「まさか……」
「試験開始!」
ナタを振り回しながら試験官と対峙するフェドラートさん。
時折ナタが止まっているようにも見える。目の錯覚か?
いや、明らかに止まっている! なんだこれは。術なのか?
「どう見えた?」
「ナタが止まっている用に見えます。たまにですが」
「あの止まったタイミングに爆発的な力が収縮されている。撃つぞ」
「蓄積暴撃」
蓄積されたエネルギーが一気に放出され試験官を吹き飛ばした。
「相当軽く撃ってあれだ」
「僕、あれ模倣できないんだよね。邪眼すら模倣したっていうのにさ」
「フェドラートが持つ本来の武器で撃てば地上の戦艦一つくらいは落とせるだろうな。
地底に置いていったままだが」
フェドラートさんのやばさを目の当たりにしてしまった。リルも元々はこれくらいの実力者
だったんだよな……恐ろしい。
残りはメルザだ。杖を持って必死にたたきに行くが全く当たらないというか
すぐ息切れしてしまう。あ、杖を奪われた。
「残念ながら適正はなさそうですね。次の試験へ進みましょう」
メルザは残念そうに肩を落としていたが、次の試験こそメルザが猛威を振るう番だろう。
夢の中でドーグルの声がする。もう起きろ、いつまで寝ている。ちみは寝坊助だなと。
寝起きはいい方だと俺は言っているところで目が覚めた。
「もうみんな試験会場に向かった頃だぞ。いくら声をかけても全くおきんのだなちみは。
スライム王以外であればお主の意思で会話出来るようにしたぞ。双方喋る必要はない。
安心して話すがいい」
「あれ、まだ夢か? 声聞こえないけど声がするな。何言ってるかわからないけど」
「聞こえるわ。というより聞く方はいつでも聞こえるのだけど、喋らないのに喋れるのは有難いわ。
リルさんとお話したいな……」
「リルは封印だからな。夜寝る間なら封印してもいいと思うけど」
「本当!? 明日はお願いね。その……少し寂しくて」
「窮屈にさせて済まないな。何か伝えたい事があったら俺と念話してくれ。
ドーグルも有難う。さて、いくか!」
宿屋受付の前へ行くと、ライラロさん以外は全員いた。眠そうなメルザを見るに
まだ寝ぼけているようだ。
「みんなお早う。よく休めたか?」
「やあ。一人で寝るのは久しぶりだけどよく休めたよ」
「ええ、準備は万端よ。ミリルは試験終ってるから図書館に行ってるみたいよ。
先をだいぶ越されちゃったわね」
「主ちゃん、ねむそー。私がおぶっていってあげるね」
「親分は寝たらなかなか起きないからなぁ」
「んあー、もっと寝たい……」
「ふっ。その状態で教養試験など受けれるのか?」
「メルザさん。朝はどのように挨拶するかお忘れではありませんよね……?」
フェドラートさんにそう言われ突然しゃきっとなるメルザ。
しかし目が開いていない。身体だけ起きたようだ。
……しゃっきっとするのを待ってても時間がかかるし、向かうとするか。
サラが妹でも出来てはしゃぐようにメルザをおぶる。一番下だからきっと妹か弟が
欲しいんだろうな。ニーメもたまにおんぶしてるし。
俺たちは試験を受ける予定の場所へと向かった。
昨日受付を行った建物の左隣にある紫色の本の建物。この中で試験を行うらしい。
「ラインバウト一家の方ですね。お待ちしてました。
試験の説明を致します。試験分類は全部で五つ。全て受ける必要はありません。
武芸、術、知識、教養、製作技術の順番に行います。
まずは武芸からですが、受講される方はどなたでしょうか?
「ほぼ全員かな? ニーメとメルザは受けないだろう?」
「ううん、僕も弓で参加したいな」
「俺様は武器使えないから杖で殴るくらいしかできない……」
「棍技というものがありますが受けてみますか? 試験内容はさほど難しくはありません」
「おお、受けるぞ!」
「では全員参加でよいですね。武器はこちらでご用意いたしますのでそちらをご利用ください。
もし自分に適正がない武器しか無いと思いましたら、ご自身の武器でも構いません。
体術の方は試験時、事前にご申告くださいね。ではこちらへどうぞ」
そういわれ、本の建物の一角へ案内される。かなり広大な空間に、試験管らしき人物が複数いる。
「それぞれ戦ってもらう相手は達人クラスの方々です。勝利する必要はありませんので、実力などを
見せてください。初心者の方でも見込みがあれば全く戦えていなくても問題ありません。
ではまずこちら側でルインさん、隣でリルカーンさん。その隣でサラカーンさんどうぞ」
「武器は曲刀と格闘武器がいい」「僕は格闘二つ」「私も格闘二つね」
「皆さんこちらをどうぞ」
武器を受け取ると、試験官の前に対峙する。強面だが脅威は感じられない。
闘技大会選手レベルか。
「よろしくお願いします」
「ああ。怪我させないようにするから気楽にな」
「はじめ!」
俺は右周りに移動して様子を伺う。試験官は目で追えてはいるが速度に驚いているようだ。
装備は外されているから生身の速度。妖魔装備もプログレスウェポンにも頼ってはいない。
だが……俺とリルは地獄を味わいすぎた気がする。この試験官では相手にならないだろう。
「ふっ!」
右手に持った曲刀を試験監に打ち込む。刃は無いが金属だ。まともに受ければ骨が折れる。
「ぐっ、重い!」
剣で受けた試験監が後ろへ吹き飛ぶ。すぐさま跳躍してナックルを顔面に叩き込む形だけとる。
「……文句なく合格だ。流派を伺っても?」
「え? 流派? 先生、流派はなんですか?」
「おお、そちらの方が師範でしたか! 私をぜひ弟子に!」
「弟子をこれ以上取るつもりはない。流派か……そうだな。星流とでもしておけ」
「……だそうです」
「……無念。師範の方は武芸試験免除で構いません」
「相手が務まるものはいないか」
「一人いると思いますが今はこちらにいないので、気になるなら後日に」
「……わかった。そうさせてもらおう」
ベルローゼ先生は免除になりました。会場を破壊されてもこまるからな……リルと
サラもとっくに合格している。
次はニーメとフェドラートさん、ファナの出番か。
ニーメはマトを射る試験で的確にマトをとらえている。合格できるだろう。
ファナもナイフさばきに磨きがかかっている。誰に教わったんだ、本当。
足はニーメの具足に履き替えているが、問題なく歩けている。苦労したんだろうな。
あ、フェドラートさんの試験が始まる。しっかり見てみよう。
フェドラートさんが持っているのは……ナタか? あんなの使えたのか。
「あいつが武器を持つと少々危険だ。下がっていろ」
「まさか……」
「試験開始!」
ナタを振り回しながら試験官と対峙するフェドラートさん。
時折ナタが止まっているようにも見える。目の錯覚か?
いや、明らかに止まっている! なんだこれは。術なのか?
「どう見えた?」
「ナタが止まっている用に見えます。たまにですが」
「あの止まったタイミングに爆発的な力が収縮されている。撃つぞ」
「蓄積暴撃」
蓄積されたエネルギーが一気に放出され試験官を吹き飛ばした。
「相当軽く撃ってあれだ」
「僕、あれ模倣できないんだよね。邪眼すら模倣したっていうのにさ」
「フェドラートが持つ本来の武器で撃てば地上の戦艦一つくらいは落とせるだろうな。
地底に置いていったままだが」
フェドラートさんのやばさを目の当たりにしてしまった。リルも元々はこれくらいの実力者
だったんだよな……恐ろしい。
残りはメルザだ。杖を持って必死にたたきに行くが全く当たらないというか
すぐ息切れしてしまう。あ、杖を奪われた。
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