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第二章 知令由学園 前編
第百八十五話 知令由学園へ
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皆が起きて朝食へ向かう時に、全員出かけずに部屋へ集まってもらうよう伝えた。
朝は質素な食事だったがどれも美味しくいただくことが出来た。ここの調味料などは
持ち帰り確定だ。今日パモと一緒に買い物に行こう。パモ様、来てくれてありがとう!
部屋に戻りカギをかけてフェドラートさんに再び防音をお願いする。
準備が整い俺はイーファを出した。ついでにドーグルに念話を行ってもらい
通訳してもらった。ライラロさんが話を聞き進め、青い顔になったと思えば今度は顔面蒼白になり
ぶっ倒れた。無理もない。目の前にいるのがずっと探していた王様でスライム化し、犯人は
自分の傭兵団の頭。気が遠くなるのも当然だろう。
「とんでもない事になったというか、とんでもないものを拾ってきたわね」
「ふっ、俺の特訓が功を奏したのではないか。入手したら多少本気で攻撃できるのだろうな」
「さすがはルインね。あの絶壁を正面から行こうとしないあたり、普通じゃないわ」
「お兄ちゃん、王様ってスライムだったんだね。青銀色でかっこいい!」
「献上できないアーティファクトとは残念です。しかしフェルドナージュ様の膜下の者が
所有権を持つのなら、なんら問題はないでしょう。むしろ大のお気に入りのあなたが持つのなら
お喜びになるに違いありません」
やー、やっぱり思った感じの反応です。先生の反応が一番怖いです。
しかし武器はすぐに取りにはいけない。
まずはここに来た当初の目的を目指すのが先決だ。
イーファの事はそのあとになるだろうな。
「……お手柄過ぎて気絶したわ。ルイン、よくやってくれたわね。しかし
ベルディス以外に話すのはやめましょう……いえ、ベルディスにも今すぐ話すべき
ではないわ。ダーリンの事だからきっとすぐライデンを血祭にあげにいくに決まってるもの。
ダーリンが負けるわけないけど、ライデンは強いわ」
「俺もその方がいいと思う。師匠は義理人情に厚いから、相当怒る。
あれだけの人でもそんな状態じゃ隙が出来かねないからな」
「そうよ! やっぱりあなた、夫の事をよくわかってるわね。さすがだわ」
「ええーとそれはさておきこれからの事を話しましょう。
私が聞いた話だと、知令由学園なる所の生徒か、特別に招待された人以外
古代樹の図書館に入れないって聞いたんですけど」
「あら、そのとおりよ。だから入学するんじゃない。
全員で」
『はい?』
おかしいな。全員で入学なんてこれっぽっちも考えてなかった。
ココットとマーナあたりは学園七不思議枠だから入学しなくてもいいとして
フェドラートさんやベルローゼさんまで入学しないといかないの?
そもそもどうやったら入学オッケーになるんだ。
「私の紹介で全員入学試験受けれるわ。さぁ行きましょう。
この薄汚れた都より何倍もマシな所よ」
入学に興味をしめしたのはニーメ、ファナ、リル、サラにフェドラートさん。ベルローゼさんは古代樹の図書館
に入るため渋々といった感じだ。
カノンは勿論、ドーグルもイーファもパモも、外には出せない。
ライラロさんに急かされ、俺たちは荷物をまとめて宿を出る。会計は幻妖団メルの軍資金から。
この世界は通貨がマジックアイテムで共通しており、全てレギオン硬貨で賄える。
地底ですら使えるのには驚いたが、元は一つの世界だったのだろうか?
宿を出て真っすぐ北へ向かう途中、調味料などを買った。後でパモを出せるときに
しまわせてもらおう。北門を出るまでにそれなりの距離を歩き、円陣の都の外に出る。
そこから道なりに真っすぐ進んでしばらくすると、奇妙な建物が見えてきた。
「あそこに見えるのが知令由学園よ。面白い形をしてるでしょ?」
ライラロさんが言う通り、それらは学園の建物として俺が想像するような建物
ではなかった。
全てが巨大な本の形を象っており、ここも円を描いている。
中央には巨大なナイフとフォークがクロスする建物がある。
「俺が思ってたのとは違うけど、こういうのも面白いな。
領域にこういう発想はなかった」
「へー、あの真ん中の所で飯が食えるのか? すぐ行こう!」
「入学してないと入れないでしょ、きっと。メルザは食べ物の事になると本当とびつくわね」
「妖魔の世界にはない外観ですね。書物好きとしては実にそそられます」
「あの建物が切断可能か気になるな。端の方だけ切ってみていいか?」
「僕ここで学べるの? 楽しそう!」
頼む、大人しく行動してくれ……特に先生が物騒です。
問題を起こさなければいいのだけれど。
「……ライラロさん。まずはどちらへ行けば?」
「入口は正面手前よ。ちなみに学園に入園していても、何をどうするかは
自分たちで決められるわ。だから入学していても自由。対価を必要な時に払って
学ぶ学園よ。生徒間の交流は本人達次第ね。」
「へぇ。何を学ぶか決める……か。まずは受付に行って確認してみないとわからないな」
「そうね。早いとこ行きましょ。入学費は大したことないわ。学ぶ内容によってお金がかかるのと、試験に受からないと
その科目を受講はできないわ」
試験か……苦手ではなかったが懐かしい響きだな。
詰め込むだけの作業を繰り返す謎めいた授業なら受けたんだが。
俺たちは正面手前にある、受付所と書かれた緑色の巨大本の建物へ入っていった。
朝は質素な食事だったがどれも美味しくいただくことが出来た。ここの調味料などは
持ち帰り確定だ。今日パモと一緒に買い物に行こう。パモ様、来てくれてありがとう!
部屋に戻りカギをかけてフェドラートさんに再び防音をお願いする。
準備が整い俺はイーファを出した。ついでにドーグルに念話を行ってもらい
通訳してもらった。ライラロさんが話を聞き進め、青い顔になったと思えば今度は顔面蒼白になり
ぶっ倒れた。無理もない。目の前にいるのがずっと探していた王様でスライム化し、犯人は
自分の傭兵団の頭。気が遠くなるのも当然だろう。
「とんでもない事になったというか、とんでもないものを拾ってきたわね」
「ふっ、俺の特訓が功を奏したのではないか。入手したら多少本気で攻撃できるのだろうな」
「さすがはルインね。あの絶壁を正面から行こうとしないあたり、普通じゃないわ」
「お兄ちゃん、王様ってスライムだったんだね。青銀色でかっこいい!」
「献上できないアーティファクトとは残念です。しかしフェルドナージュ様の膜下の者が
所有権を持つのなら、なんら問題はないでしょう。むしろ大のお気に入りのあなたが持つのなら
お喜びになるに違いありません」
やー、やっぱり思った感じの反応です。先生の反応が一番怖いです。
しかし武器はすぐに取りにはいけない。
まずはここに来た当初の目的を目指すのが先決だ。
イーファの事はそのあとになるだろうな。
「……お手柄過ぎて気絶したわ。ルイン、よくやってくれたわね。しかし
ベルディス以外に話すのはやめましょう……いえ、ベルディスにも今すぐ話すべき
ではないわ。ダーリンの事だからきっとすぐライデンを血祭にあげにいくに決まってるもの。
ダーリンが負けるわけないけど、ライデンは強いわ」
「俺もその方がいいと思う。師匠は義理人情に厚いから、相当怒る。
あれだけの人でもそんな状態じゃ隙が出来かねないからな」
「そうよ! やっぱりあなた、夫の事をよくわかってるわね。さすがだわ」
「ええーとそれはさておきこれからの事を話しましょう。
私が聞いた話だと、知令由学園なる所の生徒か、特別に招待された人以外
古代樹の図書館に入れないって聞いたんですけど」
「あら、そのとおりよ。だから入学するんじゃない。
全員で」
『はい?』
おかしいな。全員で入学なんてこれっぽっちも考えてなかった。
ココットとマーナあたりは学園七不思議枠だから入学しなくてもいいとして
フェドラートさんやベルローゼさんまで入学しないといかないの?
そもそもどうやったら入学オッケーになるんだ。
「私の紹介で全員入学試験受けれるわ。さぁ行きましょう。
この薄汚れた都より何倍もマシな所よ」
入学に興味をしめしたのはニーメ、ファナ、リル、サラにフェドラートさん。ベルローゼさんは古代樹の図書館
に入るため渋々といった感じだ。
カノンは勿論、ドーグルもイーファもパモも、外には出せない。
ライラロさんに急かされ、俺たちは荷物をまとめて宿を出る。会計は幻妖団メルの軍資金から。
この世界は通貨がマジックアイテムで共通しており、全てレギオン硬貨で賄える。
地底ですら使えるのには驚いたが、元は一つの世界だったのだろうか?
宿を出て真っすぐ北へ向かう途中、調味料などを買った。後でパモを出せるときに
しまわせてもらおう。北門を出るまでにそれなりの距離を歩き、円陣の都の外に出る。
そこから道なりに真っすぐ進んでしばらくすると、奇妙な建物が見えてきた。
「あそこに見えるのが知令由学園よ。面白い形をしてるでしょ?」
ライラロさんが言う通り、それらは学園の建物として俺が想像するような建物
ではなかった。
全てが巨大な本の形を象っており、ここも円を描いている。
中央には巨大なナイフとフォークがクロスする建物がある。
「俺が思ってたのとは違うけど、こういうのも面白いな。
領域にこういう発想はなかった」
「へー、あの真ん中の所で飯が食えるのか? すぐ行こう!」
「入学してないと入れないでしょ、きっと。メルザは食べ物の事になると本当とびつくわね」
「妖魔の世界にはない外観ですね。書物好きとしては実にそそられます」
「あの建物が切断可能か気になるな。端の方だけ切ってみていいか?」
「僕ここで学べるの? 楽しそう!」
頼む、大人しく行動してくれ……特に先生が物騒です。
問題を起こさなければいいのだけれど。
「……ライラロさん。まずはどちらへ行けば?」
「入口は正面手前よ。ちなみに学園に入園していても、何をどうするかは
自分たちで決められるわ。だから入学していても自由。対価を必要な時に払って
学ぶ学園よ。生徒間の交流は本人達次第ね。」
「へぇ。何を学ぶか決める……か。まずは受付に行って確認してみないとわからないな」
「そうね。早いとこ行きましょ。入学費は大したことないわ。学ぶ内容によってお金がかかるのと、試験に受からないと
その科目を受講はできないわ」
試験か……苦手ではなかったが懐かしい響きだな。
詰め込むだけの作業を繰り返す謎めいた授業なら受けたんだが。
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