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第二章 知令由学園 前編
第百七十七話 抜け道の箱
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ドーグルに教えてもらった道は言われた通り明るく、人が
手を入れたような感じだった。
以前は使用されていたのだろうか? 常闇のカイナに襲われて堂々と本道を
行くほど余裕はない。リルもカノンも気絶中だ。ドーグルには伝えておかないと。
「ドーグル。アクリル板の中はどうだ? まだ説明してなかったが、他にも
今、二人仲間が封印されてるんだ。 今はどっちも休んでる」
「わらに共有感覚がある。この中は不思議だ。もしかしたらわらの力、この中で発揮
できるかもしれぬ。その力を見せよう」
突然周りにある小石などが浮かび上がる。それは正面の岩めがけて飛来し、岩に
傷をつけていく。
これは……神通力か!?
「封印されたまま俺の意思を介さず神通力のような術が使えるのか? しかも俺を
攻撃したところでドーグルによって発動されてる術。つまり……」
「ルインが死ななければわらの力が続く限り攻撃可能だ」
俺は遠隔攻撃手段である赤星を手にいれたが、今のところ火力不足や
疲労の高さから躊躇しがちだ。
俺自身の体力が削られずに遠距離攻撃できる手段はとても助かる。
「ドーグル、その力有難く使わせてもらう」
「ルインは神通力といったが正確には違う。念動力というものだ。
幻術に近いがそれとも少し違う。ただ秘術程稀なものではない」
どのジャンルに該当するか難しいところなんだな。それならオペラモーヴや
アナライズなんかも不明だろう。
「他にも念動力ってのは特殊な事が出来るのか?」
「可能だ。わらが知る者と多少離れた場所でなら会話が出来る。
知らぬ者とは出来ぬ。他にも出来ることは多いが、今のわらには不可能だ」
「それだけでも十分に凄いと思うぞ。これからよろしく頼む。ところで……
この道って誰かが作った道なのか?」
「わからぬ。だが人が出入りするのを見た。夜になると穴から明かりは見えた。
念動力で小鳥と話し、道をみてもらったのだ。円陣の都へ続く道に相違ない」
鳥とも話せるのか。凄い便利だ。うちの仲間で一番会話がわかりづらいココット
とも意思疎通できるかもしれないな。
しかし小鳥に探らせた道か……少々不安はある。何せ明かりがあるとはいえ
暗い部分も多い。モンスターもいるかもしれない。注意して進もう。
急な登り道や曲がりくねった道を奥へ奥へと進んでいくと、分かれ道に出た。
鳥はどっちへ進んだのか手掛かりはない。迷ったら右! という直感で選ぶ方じゃなく
逆へ行けって何かで読んだ気がしたので左に進んでみた。
しばらく進むと宝箱があった。通常箱の装飾だが、こんなところにもあるなんて。
早速開けようとしたが……「ルイン、しばし待て。罠があるか調べよう」
「ドーグルは罠までわかるのか? ありがたい!」
「いや、すべての罠がわかるわけではない。あの箱から意思があるか
確認するのだ」
「意思って……ミミックか! 確かにそれはまずい」
「うむ。あれはミミックで相違ない」
……と話していたら突然箱に二本の手と足が生えた!
箱の中に手を入れてなにかをつかむ……剣だ。まじかよ。
ミミックってかみついたりしてくるんじゃないのか!?
ドーグルの念動力で奴に石が飛来する。これはかなり助かる!
その間に俺はカットラスを引き抜き構える。奴は剣で襲ってきた!
カットラスで受け止めたが重い! 宝箱の重み、前に盛った時こんなになかったぞ?
「っ! 妖楼!」
途端に箱から噴き出す物を回避する……が吹き飛ばされ壁にぶつかった。
風術みたいな奴だ。ダメージはそうでもない。
距離が開いたので封印場所を指定してからアイアンクラッシャーをたたき込む。
相変わらずデュラハン後輩の技は使い勝手がいい。
さて、ドーグルにもらった格闘武器で久しぶりに格闘術を交えよう。
この格闘武器は突起が出てるオーソドックスなナックルタイプだ。
力技でぶん殴るタイプ……だとは思うがまずは隙を作らないと。
「妖赤星の一矢・速」
最速技である赤星の一矢を放ちやつにあてる。箱を貫通して突き刺さる。
「……」
……奴は悲鳴すらあげない。喋れないタイプのモンスターなのだろう。
刹那、奴は俺に何か放ったようだった。
「避けろ、ルイン。あれは呪いだ」
「え? 何も見えないぞ?」
「呪いを受けた……はずだが効果がないようだ。ルインの身体はどうなっている」
「そんなこと言われてもな……あいつ隙だらけだ!」
俺は一気に距離を詰めてミミックに拳を叩き込んだ。
箱だからか打撃には弱い筈だ……と思ったら吹き飛び方が異常だ。これは……風斗付与武器か?
「ドーグル、この武器付与術付きの物か?」
「わらには使えない武器だ。詳しくはわからない。以前宝箱より手にしたものだ」
「そうか……そんなほいほいアイテムが何かわかったら苦労しないよな」
「この国はその技術に長けている。アイテムの詳細を調べる技術者も多い」
「そいつは楽しみだ……な!氷塊のツララ!」
「念動力つぶて」
再び起き上がる固いミミックに、ドーグルの念動力攻撃と、ター君の技で
串刺しにした。
ミミックは俺の籠手に吸収される。
ようやく封印できた。トラップ型モンスターなだけあって相当面倒な相手だった。
「俺とドーグルコンビの初陣、うまく戦えたな」
「うむ。なかなかやるな。ちみは」
「ちみはやめろって!」
「しまった。わらとしたことが。ルイン」
やれやれ。時折口癖で出るんだろうな。
……今は先を急ごう。
手を入れたような感じだった。
以前は使用されていたのだろうか? 常闇のカイナに襲われて堂々と本道を
行くほど余裕はない。リルもカノンも気絶中だ。ドーグルには伝えておかないと。
「ドーグル。アクリル板の中はどうだ? まだ説明してなかったが、他にも
今、二人仲間が封印されてるんだ。 今はどっちも休んでる」
「わらに共有感覚がある。この中は不思議だ。もしかしたらわらの力、この中で発揮
できるかもしれぬ。その力を見せよう」
突然周りにある小石などが浮かび上がる。それは正面の岩めがけて飛来し、岩に
傷をつけていく。
これは……神通力か!?
「封印されたまま俺の意思を介さず神通力のような術が使えるのか? しかも俺を
攻撃したところでドーグルによって発動されてる術。つまり……」
「ルインが死ななければわらの力が続く限り攻撃可能だ」
俺は遠隔攻撃手段である赤星を手にいれたが、今のところ火力不足や
疲労の高さから躊躇しがちだ。
俺自身の体力が削られずに遠距離攻撃できる手段はとても助かる。
「ドーグル、その力有難く使わせてもらう」
「ルインは神通力といったが正確には違う。念動力というものだ。
幻術に近いがそれとも少し違う。ただ秘術程稀なものではない」
どのジャンルに該当するか難しいところなんだな。それならオペラモーヴや
アナライズなんかも不明だろう。
「他にも念動力ってのは特殊な事が出来るのか?」
「可能だ。わらが知る者と多少離れた場所でなら会話が出来る。
知らぬ者とは出来ぬ。他にも出来ることは多いが、今のわらには不可能だ」
「それだけでも十分に凄いと思うぞ。これからよろしく頼む。ところで……
この道って誰かが作った道なのか?」
「わからぬ。だが人が出入りするのを見た。夜になると穴から明かりは見えた。
念動力で小鳥と話し、道をみてもらったのだ。円陣の都へ続く道に相違ない」
鳥とも話せるのか。凄い便利だ。うちの仲間で一番会話がわかりづらいココット
とも意思疎通できるかもしれないな。
しかし小鳥に探らせた道か……少々不安はある。何せ明かりがあるとはいえ
暗い部分も多い。モンスターもいるかもしれない。注意して進もう。
急な登り道や曲がりくねった道を奥へ奥へと進んでいくと、分かれ道に出た。
鳥はどっちへ進んだのか手掛かりはない。迷ったら右! という直感で選ぶ方じゃなく
逆へ行けって何かで読んだ気がしたので左に進んでみた。
しばらく進むと宝箱があった。通常箱の装飾だが、こんなところにもあるなんて。
早速開けようとしたが……「ルイン、しばし待て。罠があるか調べよう」
「ドーグルは罠までわかるのか? ありがたい!」
「いや、すべての罠がわかるわけではない。あの箱から意思があるか
確認するのだ」
「意思って……ミミックか! 確かにそれはまずい」
「うむ。あれはミミックで相違ない」
……と話していたら突然箱に二本の手と足が生えた!
箱の中に手を入れてなにかをつかむ……剣だ。まじかよ。
ミミックってかみついたりしてくるんじゃないのか!?
ドーグルの念動力で奴に石が飛来する。これはかなり助かる!
その間に俺はカットラスを引き抜き構える。奴は剣で襲ってきた!
カットラスで受け止めたが重い! 宝箱の重み、前に盛った時こんなになかったぞ?
「っ! 妖楼!」
途端に箱から噴き出す物を回避する……が吹き飛ばされ壁にぶつかった。
風術みたいな奴だ。ダメージはそうでもない。
距離が開いたので封印場所を指定してからアイアンクラッシャーをたたき込む。
相変わらずデュラハン後輩の技は使い勝手がいい。
さて、ドーグルにもらった格闘武器で久しぶりに格闘術を交えよう。
この格闘武器は突起が出てるオーソドックスなナックルタイプだ。
力技でぶん殴るタイプ……だとは思うがまずは隙を作らないと。
「妖赤星の一矢・速」
最速技である赤星の一矢を放ちやつにあてる。箱を貫通して突き刺さる。
「……」
……奴は悲鳴すらあげない。喋れないタイプのモンスターなのだろう。
刹那、奴は俺に何か放ったようだった。
「避けろ、ルイン。あれは呪いだ」
「え? 何も見えないぞ?」
「呪いを受けた……はずだが効果がないようだ。ルインの身体はどうなっている」
「そんなこと言われてもな……あいつ隙だらけだ!」
俺は一気に距離を詰めてミミックに拳を叩き込んだ。
箱だからか打撃には弱い筈だ……と思ったら吹き飛び方が異常だ。これは……風斗付与武器か?
「ドーグル、この武器付与術付きの物か?」
「わらには使えない武器だ。詳しくはわからない。以前宝箱より手にしたものだ」
「そうか……そんなほいほいアイテムが何かわかったら苦労しないよな」
「この国はその技術に長けている。アイテムの詳細を調べる技術者も多い」
「そいつは楽しみだ……な!氷塊のツララ!」
「念動力つぶて」
再び起き上がる固いミミックに、ドーグルの念動力攻撃と、ター君の技で
串刺しにした。
ミミックは俺の籠手に吸収される。
ようやく封印できた。トラップ型モンスターなだけあって相当面倒な相手だった。
「俺とドーグルコンビの初陣、うまく戦えたな」
「うむ。なかなかやるな。ちみは」
「ちみはやめろって!」
「しまった。わらとしたことが。ルイン」
やれやれ。時折口癖で出るんだろうな。
……今は先を急ごう。
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