201 / 1,085
第二章 知令由学園 前編
第百七十四話 妖真化 赤海星の皇主
しおりを挟む
さて、ガキ共。見つけたぜ。こっちにはまだ気づいてないな。
円陣に向かう途中いい手土産が出来たもんだぜ.他のガキが見あたらねーな。あいつだけか? 一応警戒しねーとな。
おっと、どうやらこっちに気づいたか。どんな能力もってやがるんだ? こいつは。
ばれてるならガキの居場所を一応聞いてみるか。観念してるなら都合がいいんだが。
「逃げきれたと思ったか? 残念だったな、女とガキ一匹はどこに逃げた。
あの傷じゃそう遠くへは行けないだろう?」
「はなっから逃げられるとは思ってない。逃がす気もないだろ。
あのまま移動してもお前らからは逃げられない。そう思った」
俺らの実力を分かるガキがいるとは少々驚きだ。
「へぇ、面白いガキだな。俺達の事でも知っているのか?」
「……常闇のカイナだろう」
「なんだ関係者か。こいつは殺さず捉えて拷問する。お前らは他のガキを……」
「行かせない、お前らは何所にも行かせない。二度と御免だ。あんなのは。
誰一人死なせず守り抜いてみせる! 後の事はしったことか!」
言い終わる前にガキの様子がおかしくなった。なんかやべぇな。何しやがるつもりだ。
まさか暗鬼化したりしねぇだろうな。
【妖真化】
姿がどんどん変わっていく。変身術か?
「な!? この姿はなんだ。やべぇな、捕らえるのは中止だ。全員で殺るぞ」
「燃臥斗」
「氷臥斗」
「雷刃斗!」
部下共の幻術は一級品。その辺の雑魚じゃ一発でお陀仏だ。
俺の雷刃斗もそう使える奴は多くねぇ。
「赤海星吸盾」
放った幻術が赤色の盾に吸い込まれていく……まじかよ。俺達が着けてる
闇の衣以上だと?
「赤星の彗星・蒸」
「うおおおお、ふざけろよ! なんだそりゃ。さっきと全然……」
部下二人が落ちてきた赤い隕石で潰され蒸発した。
こいつはまずい、強すぎる。撤退を……まじかよ!
「赤海星の殺戮群」
赤い星のような形の化け物が降り注ぎ、あたり一面を喰いつくし始めた。
俺の右腕を丸ごと飲み込み咀嚼しているソレは、残忍に口元が歪んでいる。
「まさかこんな使い手がいやがったとは。手を抜いたのを見抜けず、まんまと
出し抜かれたまぬけは俺か。
……常闇のカイナ、イプシオともあろうものが、情けねえ」
イプシオは最後に自分を殺す相手を見た。
恐ろしい程精巧に造られた顔。
蒼黒い長髪をなびかせ左手にうねる蛇をまとい、右手にうねる水をまとい
ながら両目は鋭く赤光を放ち、不気味な笑みを浮かべている。
こちらを見て、右手で俺を指示した。
「暗鬼化する前に殺られるとは……化け物が……」
その言葉を最後にイプシオは赤海星に喰いつくされた。
――
――――
――――――
「とんでけー!」
「いたいのいたいの、とんでけー。いたいのいたいの、とんでけー」
……何か、聞こえる。
「いたいのいたいのとんでけー。いたいのいたいのとんでけー」
……懐かしい、声だ。
「いたいのいたいのとんでけー」
……転んだ時、母にそうしてもらったっけ。消毒液が染みたな。
「いたいのとんでってもう大丈夫!」
ああ、誰だかわからないけどありがとう。少し楽になった……よ。
「ここ……は」
「よかった、気が付いた! ここは木の下の根本に開いた穴みたい。
大丈夫、敵はいないわ」
「助かった……のか」
記憶がはっきりしない。覚えていない。
「私も気付いたらここで。リルさんは、どこ?」
「そうだ! ……ぐっ」
俺の身体はボロボロだった。急いでリルを出す。
酷い状態だ……だが生きてる。少し安心したのか……身体の力が抜ける。
「っ! いたいのいたいのとんでけー! いたいのいたいのとんでけー! 私のせいで、私のせいで!
いたいのいたいの
……とんでけー! 大丈夫、絶対治すから!もういや、嫌……クイン、ニーナ……」
リルの傷が少しずつふさがっていく。遊魔の力……か。俺も助けられた。
「あり……がと、カノン。リルを、たの……、ミドー、入口をふさ……げ」
「シュルー」
ミドーが出てきた。無事だったようだ。これでしばらくは安全だろう。
リルにもカノンにも助けられてばっかりだな。
礼をしないと……と考えたところで、俺は再度意識を失った。
円陣に向かう途中いい手土産が出来たもんだぜ.他のガキが見あたらねーな。あいつだけか? 一応警戒しねーとな。
おっと、どうやらこっちに気づいたか。どんな能力もってやがるんだ? こいつは。
ばれてるならガキの居場所を一応聞いてみるか。観念してるなら都合がいいんだが。
「逃げきれたと思ったか? 残念だったな、女とガキ一匹はどこに逃げた。
あの傷じゃそう遠くへは行けないだろう?」
「はなっから逃げられるとは思ってない。逃がす気もないだろ。
あのまま移動してもお前らからは逃げられない。そう思った」
俺らの実力を分かるガキがいるとは少々驚きだ。
「へぇ、面白いガキだな。俺達の事でも知っているのか?」
「……常闇のカイナだろう」
「なんだ関係者か。こいつは殺さず捉えて拷問する。お前らは他のガキを……」
「行かせない、お前らは何所にも行かせない。二度と御免だ。あんなのは。
誰一人死なせず守り抜いてみせる! 後の事はしったことか!」
言い終わる前にガキの様子がおかしくなった。なんかやべぇな。何しやがるつもりだ。
まさか暗鬼化したりしねぇだろうな。
【妖真化】
姿がどんどん変わっていく。変身術か?
「な!? この姿はなんだ。やべぇな、捕らえるのは中止だ。全員で殺るぞ」
「燃臥斗」
「氷臥斗」
「雷刃斗!」
部下共の幻術は一級品。その辺の雑魚じゃ一発でお陀仏だ。
俺の雷刃斗もそう使える奴は多くねぇ。
「赤海星吸盾」
放った幻術が赤色の盾に吸い込まれていく……まじかよ。俺達が着けてる
闇の衣以上だと?
「赤星の彗星・蒸」
「うおおおお、ふざけろよ! なんだそりゃ。さっきと全然……」
部下二人が落ちてきた赤い隕石で潰され蒸発した。
こいつはまずい、強すぎる。撤退を……まじかよ!
「赤海星の殺戮群」
赤い星のような形の化け物が降り注ぎ、あたり一面を喰いつくし始めた。
俺の右腕を丸ごと飲み込み咀嚼しているソレは、残忍に口元が歪んでいる。
「まさかこんな使い手がいやがったとは。手を抜いたのを見抜けず、まんまと
出し抜かれたまぬけは俺か。
……常闇のカイナ、イプシオともあろうものが、情けねえ」
イプシオは最後に自分を殺す相手を見た。
恐ろしい程精巧に造られた顔。
蒼黒い長髪をなびかせ左手にうねる蛇をまとい、右手にうねる水をまとい
ながら両目は鋭く赤光を放ち、不気味な笑みを浮かべている。
こちらを見て、右手で俺を指示した。
「暗鬼化する前に殺られるとは……化け物が……」
その言葉を最後にイプシオは赤海星に喰いつくされた。
――
――――
――――――
「とんでけー!」
「いたいのいたいの、とんでけー。いたいのいたいの、とんでけー」
……何か、聞こえる。
「いたいのいたいのとんでけー。いたいのいたいのとんでけー」
……懐かしい、声だ。
「いたいのいたいのとんでけー」
……転んだ時、母にそうしてもらったっけ。消毒液が染みたな。
「いたいのとんでってもう大丈夫!」
ああ、誰だかわからないけどありがとう。少し楽になった……よ。
「ここ……は」
「よかった、気が付いた! ここは木の下の根本に開いた穴みたい。
大丈夫、敵はいないわ」
「助かった……のか」
記憶がはっきりしない。覚えていない。
「私も気付いたらここで。リルさんは、どこ?」
「そうだ! ……ぐっ」
俺の身体はボロボロだった。急いでリルを出す。
酷い状態だ……だが生きてる。少し安心したのか……身体の力が抜ける。
「っ! いたいのいたいのとんでけー! いたいのいたいのとんでけー! 私のせいで、私のせいで!
いたいのいたいの
……とんでけー! 大丈夫、絶対治すから!もういや、嫌……クイン、ニーナ……」
リルの傷が少しずつふさがっていく。遊魔の力……か。俺も助けられた。
「あり……がと、カノン。リルを、たの……、ミドー、入口をふさ……げ」
「シュルー」
ミドーが出てきた。無事だったようだ。これでしばらくは安全だろう。
リルにもカノンにも助けられてばっかりだな。
礼をしないと……と考えたところで、俺は再度意識を失った。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…
勇者召喚に巻き込まれたおっさんはウォッシュの魔法(必須:ウィッシュのポーズ)しか使えません。~大川大地と女子高校生と行く気ままな放浪生活~
北きつね
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれた”おっさん”は、すぐにステータスを偽装した。
ろくでもない目的で、勇者召喚をしたのだと考えたからだ。
一緒に召喚された、女子高校生と城を抜け出して、王都を脱出する方法を考える。
ダメだ大人と、理不尽ないじめを受けていた女子高校生は、巻き込まれた勇者召喚で知り合った。二人と名字と名前を持つ猫(聖獣)とのスローライフは、いろいろな人を巻き込んでにぎやかになっていく。
おっさんは、日本に居た時と同じ仕事を行い始める。
女子高校生は、隠したスキルを使って、おっさんの仕事を手伝う(手伝っているつもり)。
注)作者が楽しむ為に書いています。
誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめて行います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる