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第二部 主と働く道 第一章 地上の妖魔

第百五十五話 砂カバ対ルイン&メルザ&ミドー

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 巨大な砂カバは暴れるようにして突撃してくる。
 狙いを俺に集中させたいが、こいつには目がないのか
 誰も見ているような感じがしない。

「メルザ! こいつ引き付けられないっぽいんだ! 十分注意してくれ! ミドー! メルザを守れ!」
「シュルー」

 俺は急いでミドーを出してメルザの守りに回らせた。

「妖赤星の小星!」
 左手から赤く流れる星を放出するが、砂ガードが固い。

「! 妖楼! っ……がはっ」
「ルイン! だいじょぶか! ルイン!」
「だい……じょうぶだ。目を離すな! 砂を飛ばしてくる!」

 全然大丈夫じゃないが、そう言わないとメルザが危ないと思った。
 左腕が痺れて動かない。赤星が打てそうにないな。こっちを狙ったってことは少しは効いたのか?

 くそ! まずい! 地面に潜りやがった。

「メルザ、手を広げてまってろ! エレメンタルに攻撃させててくれ! バネジャンプ!」

 俺は急いでメルザに近づくと抱き上げて思い切り上に飛んだ。

 奴がそれ以上に砂中から跳ね上がり俺を空中で吹き飛ばす。

「なん……だと……だが!」

 俺はその場にドラゴントウマを呼んだ。
 やつの上に重なり押し潰す……が
 そのまま地面に潜りやがった。

 トウマに乗って着地しミドーの上にメルザを乗せる。

「ミドー、俺がやばかったらメルザを連れて逃げろ」
「駄目だ! またあの時みたいにするつもりだろ! そんなの絶対嫌! いやーーーー!」

 メルザは俺が死んだと思っていた時の事を思い出して大声で叫んだ。 
 余計な事を言って主を心配させてしまった。

 メルザを安心させようと思ったら砂で後ろから攻撃され
血が噴き出る。 やばい、こいつ俺一人の手に余る。

「いやーーー! ルインに手をだすな! やめろおおおおお!」

 メルザの怒りが爆発した。俺は信じられないものを見た。

 ガラポン蛇が突如目の前に現れた! 
そのガラポン蛇は地面の砂を飲み込み、玉のような物を吐き出す。玉というより卵だ。

 その卵はすぐひび割れると、目の前に大きな角を持つ綺麗な巨鳥が現れた。

「げ、幻魔獣……なのか?」

 痛みで気を失いそうだが、メルザを守らなければ。

 俺は身体を引きずりながらメルザを乗せたミドーの前へ行く。

「ルイン、動いちゃだめだ! 後は俺様が戦う! だいじょぶだ、多分この鳥、俺様の仲間だ。ぜってー強い!」

 そう言うとメルザはミドーから降りて俺の前へ手を広げて立った。
「頼む、あいつ倒してくれ! ルインを守るんだ!」

 巨鳥は大きく羽ばたくと上空に飛来する。

 ピタリと空中で静止して巨大カバの前に立つと頭の角から激しい落雷を引き起こした。

 雷斗の何倍ものサイズを叩き込んでいく。
 雷斗系は一発でも麻痺を起こしたりと相当効くが、イメージが大変すぎて
中々出来るものじゃない。

 砂カバにかなり効いているように見えた。

「すげーけど、これだけじゃ、たおせねー。
アイツ呼んだからかもう力もでねー。どうしよう。
ルインを担いで今のうちに逃げよう!」
「メル……ザ、それはだめだ。頼む、手だけ貸して俺にぴったりくっついてくれ……」

 俺はメルザに支えながらかろうじて立っている。

「あの巨鳥、あいつの後ろから攻撃を」
「ああ、ルインの血がこんなに。ああ……」

 俺はアドレスを右手で構え目を瞑った。

「くたばれ。オペラモーヴ」
 
 メルザにこれだけ密接してれば最大威力。
 
 反動もそれだけでかい……か。
 全身から血が噴き出るのを感じる。
 血を流しすぎたな……「みどー……町まで、たの……」

 俺は意識はそこで途切れた。
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