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第六章 強くなる
第百三十五話 能力の還元は
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俺は友と再びこうして話す事の喜びを嚙みしめて
前を見た。
サラが勢いよく前方に回り口づけしてくる。
「わ、ちょっとサラ待てって! むぐっ」
「ダメよ。私を助けてくれた白馬の王子様。もう絶対結婚よ!」
やめろ、ライラロさんを思い出す。キャラ被るぞ!
ファナも無理やりサラを引きはがしてボディブローを密かに入れている。
「ぐえ、何すんのよこの女!」
「いいからルインから離れて! ずるいわよあんた!」
「やれやれ、我が妹ながら大胆だね。全く」
「あー、一気に騒がしくなったな。その方が嬉しいには嬉しいが」
浮上して加速したのと同時にとっても賑やかになる。
舵スペースが狭いからみんな舵を前にワイワイしている感じになった。
レウスさんが後方でちょっと寂しそう。ごめんよ。
「ところでリルもサラも、身体は平気なのか?」
「いや、平気じゃないね。ボロボロだよ。君が薬を使ってなければ
僕らは封印の中で死んでたかもね。君に貸していた武器のおかげでちょっとは
マシだけど、アーティファクトも全部奪われてしまったからね」
「ああ、俺もその武器がなければ数回は死んでいた。有難う二人とも。
サラの方の武器の技は結局一度も使えなかったけど」
「ガーン。そういえばこの武器の封印の技、特殊なのばっかりだったわ」
「ちっ役に立たない女ね」
「ああん!?」
「二人とも会話の節々で喧嘩するなって」
そーいや性格的に相性は良くなさそうだ。
大丈夫かこの二人。
同じ封印の中にいるんですよねお二人さん……。
「そういえば僕らを封印出来たみたいだけど、力は還元されたかい?」
「それがファナやレウスさんもそうなんだけど、本人たちは
力を還元されてるのを感じるみたいなんだが俺の能力が
別段向上していると感じないんだよ。なぜかわかるか?」
「それは君の身体が受け入れるのを拒んでいるのかもしれないね。
封印の中にいるときに君から感じる意志は
俺が守ってやる! みたいな意志だったからさ。そうななくて力を貸せ、俺の力になれって
思う意志がないと還元されないと思うよ」
俺はハッとした。確かにそうだ。
力を借りたいときはいつも外に出てもらい戦っていた。
封印しているときは休んでてほしい時だ。
「ファナ、ちょっと俺の封印に戻ってもらえないか?」
「ええ、わかったわ。私が誰よりも力になってあげるね」
そう言うとファナはサラを見ながらくすりと笑い、俺の封印へ戻っていく。
サラの剣幕が怖いので見ないようにしておく。
「ファナ。俺に力を貸して欲しい。その状態のままで」
あえて声に出さなくても良さそうだが、そう思うように意識を高めた。
「済まないがサラとリル二人でちょっと舵を頼む」
俺はそう言うと全身を動かしてみる。
技に意識をもっていくが、技は出せない。
だがわずかに能力は向上していると思う。
「修行は必要だね。まだまだ妖魔としては経験不足だ」
「私が教えてあげるね!」
「いや、戻ったらベルローゼさんが特訓してくれるらしい」
二人が過去に見たことがないほど驚いて顔を見合わせる。
……俺なんか変な事言ったか?
「君、今なんていったんだい? 僕にはよく聞こえなかったよ」
「お兄ちゃん、きっと私たちが知ってるあのベルローゼじゃないわ」
「いや、そのベルローゼさんであっている筈なんだけどな。
フェルドナージュ様に面会するときにすれ違ったあの。
ちなみに今は俺達をフェルドナージュ様の元へ早く届けるために
足止めしてくれているよ」
そう言うと二人はますます驚きつつも、リルの方はかなり呆れた顔になっている。
「君、魅了の術か何かでも覚えて使ったりしたのかい?
妖貴戦、黒星のベルローゼが
誰かに指導するなんてフェルス皇国始まって以来の騒ぎになるよ」
「ふふふ、リルにも今度ツンデレの概念を叩き込んでやろう」
「ツンデレ? なんだいそれは。その術で彼を説得したのか。
実に興味深い。知らないかもしれないけど彼はフェルス皇国で
屈指の人気を誇る有名な妖魔だよ」
そうだったのか。イケメン主人公キャラな上屈指の人気。
流石です。未来の妖魔師匠!
俺は再び舵を取り、速度を上げた船でフェルス皇国を目指す。
しばらくしてようやく着いた頃にはリルもサラもヘトヘトだったので
残り少なくなっていたが幻薬を全員で分けて全て使用した。
フェルス皇国の湖に着陸させると、迎えの者らしき人物がいる。
「おかえりなさい。待っていましたよルインさん。
無事で本当に良かった。二人も無事でなによりです。
密偵と破壊工作の報告を」
「実はフェドラートさん。ベルータスはもうスターベルで出陣しています。報告を急ぎましょう!」
「なんですって? ……貴重な報告を感謝します。
ここから直接フェルドナージュ様の居城へ赴ける許可を
頂いていますので、すぐ参りましょう」
そう言うと隠し通路らしき場所を開き、フェドラートさんは奥へ案内してくれた。
前を見た。
サラが勢いよく前方に回り口づけしてくる。
「わ、ちょっとサラ待てって! むぐっ」
「ダメよ。私を助けてくれた白馬の王子様。もう絶対結婚よ!」
やめろ、ライラロさんを思い出す。キャラ被るぞ!
ファナも無理やりサラを引きはがしてボディブローを密かに入れている。
「ぐえ、何すんのよこの女!」
「いいからルインから離れて! ずるいわよあんた!」
「やれやれ、我が妹ながら大胆だね。全く」
「あー、一気に騒がしくなったな。その方が嬉しいには嬉しいが」
浮上して加速したのと同時にとっても賑やかになる。
舵スペースが狭いからみんな舵を前にワイワイしている感じになった。
レウスさんが後方でちょっと寂しそう。ごめんよ。
「ところでリルもサラも、身体は平気なのか?」
「いや、平気じゃないね。ボロボロだよ。君が薬を使ってなければ
僕らは封印の中で死んでたかもね。君に貸していた武器のおかげでちょっとは
マシだけど、アーティファクトも全部奪われてしまったからね」
「ああ、俺もその武器がなければ数回は死んでいた。有難う二人とも。
サラの方の武器の技は結局一度も使えなかったけど」
「ガーン。そういえばこの武器の封印の技、特殊なのばっかりだったわ」
「ちっ役に立たない女ね」
「ああん!?」
「二人とも会話の節々で喧嘩するなって」
そーいや性格的に相性は良くなさそうだ。
大丈夫かこの二人。
同じ封印の中にいるんですよねお二人さん……。
「そういえば僕らを封印出来たみたいだけど、力は還元されたかい?」
「それがファナやレウスさんもそうなんだけど、本人たちは
力を還元されてるのを感じるみたいなんだが俺の能力が
別段向上していると感じないんだよ。なぜかわかるか?」
「それは君の身体が受け入れるのを拒んでいるのかもしれないね。
封印の中にいるときに君から感じる意志は
俺が守ってやる! みたいな意志だったからさ。そうななくて力を貸せ、俺の力になれって
思う意志がないと還元されないと思うよ」
俺はハッとした。確かにそうだ。
力を借りたいときはいつも外に出てもらい戦っていた。
封印しているときは休んでてほしい時だ。
「ファナ、ちょっと俺の封印に戻ってもらえないか?」
「ええ、わかったわ。私が誰よりも力になってあげるね」
そう言うとファナはサラを見ながらくすりと笑い、俺の封印へ戻っていく。
サラの剣幕が怖いので見ないようにしておく。
「ファナ。俺に力を貸して欲しい。その状態のままで」
あえて声に出さなくても良さそうだが、そう思うように意識を高めた。
「済まないがサラとリル二人でちょっと舵を頼む」
俺はそう言うと全身を動かしてみる。
技に意識をもっていくが、技は出せない。
だがわずかに能力は向上していると思う。
「修行は必要だね。まだまだ妖魔としては経験不足だ」
「私が教えてあげるね!」
「いや、戻ったらベルローゼさんが特訓してくれるらしい」
二人が過去に見たことがないほど驚いて顔を見合わせる。
……俺なんか変な事言ったか?
「君、今なんていったんだい? 僕にはよく聞こえなかったよ」
「お兄ちゃん、きっと私たちが知ってるあのベルローゼじゃないわ」
「いや、そのベルローゼさんであっている筈なんだけどな。
フェルドナージュ様に面会するときにすれ違ったあの。
ちなみに今は俺達をフェルドナージュ様の元へ早く届けるために
足止めしてくれているよ」
そう言うと二人はますます驚きつつも、リルの方はかなり呆れた顔になっている。
「君、魅了の術か何かでも覚えて使ったりしたのかい?
妖貴戦、黒星のベルローゼが
誰かに指導するなんてフェルス皇国始まって以来の騒ぎになるよ」
「ふふふ、リルにも今度ツンデレの概念を叩き込んでやろう」
「ツンデレ? なんだいそれは。その術で彼を説得したのか。
実に興味深い。知らないかもしれないけど彼はフェルス皇国で
屈指の人気を誇る有名な妖魔だよ」
そうだったのか。イケメン主人公キャラな上屈指の人気。
流石です。未来の妖魔師匠!
俺は再び舵を取り、速度を上げた船でフェルス皇国を目指す。
しばらくしてようやく着いた頃にはリルもサラもヘトヘトだったので
残り少なくなっていたが幻薬を全員で分けて全て使用した。
フェルス皇国の湖に着陸させると、迎えの者らしき人物がいる。
「おかえりなさい。待っていましたよルインさん。
無事で本当に良かった。二人も無事でなによりです。
密偵と破壊工作の報告を」
「実はフェドラートさん。ベルータスはもうスターベルで出陣しています。報告を急ぎましょう!」
「なんですって? ……貴重な報告を感謝します。
ここから直接フェルドナージュ様の居城へ赴ける許可を
頂いていますので、すぐ参りましょう」
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