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第六章 強くなる

第百三十二話 激闘!

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 赤土の大地にて移動要塞絶空から出てくる大量の兵士に
土潜りで近づく俺。
 
 三百程の兵士の前に突如として現れた。
 そしてすかさず……頼んだぞ! トウマ!」

 ドラゴントウマを目の前にずしりと出す。
 急遽現れるドラゴントウマに兵士達は或いは吹き飛び
或いは下敷きになる。
 恐怖して逃げ出す兵士も多くいる。

 やっぱこれだけでも相当派手な範囲攻撃だ。

 ちらりとベルローゼさんを見やると、よりデカい黒鎌を
絶空に放っている。見なかった事にしよう。

「ドラゴンテイル!」
 
 俺が自らの技でドラゴンテイルを放つと、なんとトウマも
一緒に尻尾で薙ぎ払いをする。
 やっぱそのまま技も使えるんだな。

 プログレスウェポンに封印したトウマのアクリル板が光ってたので、いつでも
技は使えるようになったのだがトウマを招来させても使えるのはありがたい。


 俺とトウマが打ち漏らした相手を変身したアルノーファナと
レウスさんが仕留めてくれる。

「ふわー」
「ふわー」
「ふわー」
「なんだこのお化けみたいなやつは! 邪魔でしょうがねぇ!」

 死神使いトリオはふわふわと動き周り、敵を阻害している。
 あれ、うっとおしいよな。

 三百人あまりいた兵士の七割程を皆で撃退した。
 残りはほとんど逃げ出したようだ。

 だが、再び絶空より三十程の明らかに装備の違う部隊が出てきた。

 ……精鋭か。

「排除しろ。容赦はするな。人質を取り戻せ」
「はっ!」

 あ、あいつは! なんだっけ……無理心中のビスタチオ……違うな。
俺はこいつの名前を覚える気がないらしい。

「ファナ、あいつだ。こっちで雑魚と精鋭引き受けるから頼む」
「わかったわ」

 アルノーファナにあいつは任せて精鋭たちを俺に引き寄せよう。

「リルとサラは俺が預かってるぜ。こっちに来な!」
「奴を捕まえろ! 逃がすな!」

 俺が攻撃していないので動いていないトウマを無視して敵がこっちにくる。

 トウマと少し距離を取るくらい離れて俺は攻撃を再開する。

「剣展開」
 六本の刃が飛来して、うち一体を襲った。すると……。

「ぎゃああーーー、動きだしやがった!」
「踏みつぶされるぞ!」

 待機していたトウマが、敵対した相手めがけて動き出す。
 その巨体、とくと味わうがいい。そして俺も追い打ちをかける。

「ドラゴンテイル」

 挟み撃ちになるようトウマの技を繰り出す。
プログレスウェポンで能力開花した影響か、使用しても
そこまで疲労感はない。

 もう数発ならいけそうだが、残りは各個撃破しよう。
 
 レウスさんもあちこち攻撃して立ち回ってくれている。

 残念な事にレウスさんやファナ達は妖魔封印していても
俺の身体能力向上は
あまり感じられなかった。
 
 だが一緒に戦力として戦ってくれるのはそれだけで
凄まじいアドバンテージだ。

 アクリル板に戻して出し入れも可能。

 ここからは乱戦。

 俺は目の前の精鋭にデュラハン後輩のアイアンクラッシャーをかまして
アドレスからカットラスを再び引き抜き突撃する。

「こしゃくな。舐めるなよガキが!」
「舐めてないから鉄球で攻撃してんだろ!」

 俺の鉄球を回避し剣同士がぶつかる。精鋭一匹でも
かなりやるな。
そのまま更に剣での攻撃をシールドで防ぎ蹴りを入れると、蛇籠手を蛇に変える。

「これはフェルドナージュの技か!」

 知らんがな。気を取られた奴の剣を弾き飛ばす。

 蛇は奴を飲み込んで吸収を図る。ちょっと怖すぎるんで
違う精鋭の方に
行ってきます。あ、回復する。

 残り十匹程だが、ドラゴントウマに相当やられている。

 俺のトウマは強いだろう? プラネットフューリーと
レウスさんの助力で
どうにか封印は出来たが倒せと言われても倒せる気がしない。

 ベルローゼさんやリル達なら話は別なんだろうけど。

 俺でも戦える精鋭程度じゃ束になっても敵わないだろうな。

 トウマは尻尾で薙ぎ払い、顎でかみ砕き、ジャンプしてプレスしている。

「ビノータスになんざついてくるんじゃなかったぜ! おい、あんなドラゴン
倒せるわきゃねえ。逃げるぞ!」
「けどよ。後からベルータス様にどやされねーか?」
「こんな指示ベルータス様なら出さないだろ。行こうぜ」

 兵士達は次々逃げていく。

 上空を見やると煙を上げていた絶空は限界を迎えたのか徐々に
高度を下げている。

 まじでベルローゼさんだけで要塞を落としてるよ。

 俺はファナの援護に回るべく動いた。
 ファナはアルノーから姿を元に戻していた。

「いい加減しつこいのよ! もう! 気持ち悪い!」
「そう言って嬉しいくせに。我が矢を全て回避した美しい娘よ。
安心しろ。式には一万本の花を用意してやる。
ドレスは二十着程用意させよう。それに
七日七晩結婚式を執り行い、ベルータス様にも
祝辞を賜ろうではないか。指輪もそうだな、七つ用意して祝おう。家は……」
「さっさとくたばりなさいよ! 無駄に多い会話ばかりもちかけて! おあいにく様。
私には意中の人がもういるのよ」

 そう言いながら近づかれたくないようで、アンビラルナイフを投擲している。

 刺さってます。刺さってますよー。

 ファナにはそもそも矢回避装備で攻撃が当たっていなかった。

「ファナ、大丈夫か? 何してんだあいつは」
「ルイン! コイツ変態よ! 助けて私のご主人様!」

 そういいながら全身でめい一杯抱きしめてくるファナ。おーい? 

「貴様! 我が花嫁に手を出すとはいい度胸だ。
さては魅了の術で誘惑したな……出なければ貴様のようなやつに
麗しきその娘がなびくはずなどない!」
「どう見てもお前にはなびかないだろ……おしゃべりは終わりだ。
行くぞ、無断欠勤のノンビリコース!」
「誰だそれは!」

 俺は正面からスミを出しつつ左展開する。

 二度同じ手は通じないがよく見たら奴の顔にはまだ黒いスミが残ったままだ。
 落ちないのかこれ。思ったより危険な技だ。

「妖矢の必中・砕」

 その技はもう見たっての。と思ったらファナの方面に狙いがはいっている。
 
 ファナは俺に抱き着いて背中から矢を受ける形をとった……が、矢は反転して持ち主に飛来する。

「またか! しかし我が嫁に当たるよりはマシだ!」

 そういいながら反転して戻った矢を全身に受ける。
 血を流しながらどこか満足そうな顔を浮かべている。

 こいつは確かに変態だ。

「貴様、再び我が花嫁に。許さん!」

 怒りで油断しすぎている。 ファナの元まで来れば安心して撃てるんだよ。
 その状態ならもう回避できまい。

「これで終わりだ。頼むぜリルの武器。プラネットフューリー!」

 巨大な惑星のような塊が燃え上がりながら奴を襲う。
 成長したおかげかギリギリ意識を失わなかった。

 ふらつく俺をファナがしっかりと支えてくれた。

「ありがとファナ。そしてさようなら。無駄三昧のビノータスよ」
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