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第六章 強くなる

第百二十一話 マッハ族とラップ

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 俺たちが声をかけると、五十メートル程先にいたマッハ族が
マッハでやってくる。はやっ! 

「ようようおまえらどこからわいた? アウトなお前ら外からわいた? 
出て行く前だがでてけと言わねぇようまのおまえらなにようだ!」

 何だこの軽快なラップを刻むトカゲブラザーは!? 

 これがこの村なりの挨拶の仕方なのか? 仕方ない前世で散々聞いた
ラップで俺も返そう。

「へいへい! 俺たち地下からドーンとわいた、おまえらのドンに会わせて
ほしい、散っていく前に仲間を救助急を要するよくきけブラザー。
俺たちの積み荷を罪のない仲間に届けて詰み帰ってやるのさ
我が祖国! イェア!」

 俺たちはいつの間にかマッハ族に取り囲まれていた。
しくったか!? 

「うおーーーーーー! ヘイブラザー! 俺たちは永遠の仲間だー!」

 俺は目の前にいるあのブラザートカタウロスに担がれてマッハで走って
連れていかれた。
 
おおい、メルザ達がっ! 

「お前ら、族長に、案内する。お前、最高。気に入った」
「イェー!」

 俺は拳を突き出してブラザーに挨拶した。
 ブラザーも見様見真似で拳を重ねる。

「いい挨拶だ。この村のしきたりに提案させてもらうぜ」
「おう、そうしてくれブラザー」

 そう言うとブラザーは連れていかれたでかい家に入っていった。

 あ、他のマッハ族がメルザ達をこっちに連れてきてくれた、助かった。

「おうおう、俺様感謝、おなかがへった。おまえらたっしゃ。
えと、ありがとまたな!」

 メルザはインこそ踏めていないが頑張って真似したようだ。可愛い。

 ミリルはお手上げのようだがルーは足で踊って見せていた。
 ムーラは完全にマイペースだな。

「待たせたブラザー。名乗り忘れていたが俺の名はマッハ族のソン。族長にも熱いのをかましてやってくれ」
「ああ勿論だブラザー。俺の名はルインだ」

 俺たちは拳を合わせる。いい友が出来た。

 家の中に入るとかなり広い部屋の中に、族長とおぼしき者がいた。

「貴様がソンの言っていた人物か」
「ヨウヨウ……ってあれ?」

 ラップじゃないだと? てっきりラップで熱いのをぶつけると
思ったよヘイブラザー。

「では手始めにそこの男。相手をせい。武器を持ち表に出よ」

 まじかよ。マッハで動く戦士と戦えってか。
 だがやらないと帰れって言われるか。仕方ない。

 外に出るとソンが首を傾げていた。

「おい親父、話が違うじゃないか」
「お前は黙ってなさい」

 どうやら話があらぬ方向へ行っていたようだ。
 まぁこうなった以上やるしかないんだけどな。

「すまないブラザー、俺のせいで」
「気にするな。それに俺は弱いわけじゃない……はずだ」

 広めの場所にでると俺は装備を格闘のみにした。
 族長は四本足で槍を構えるトカゲだ。

「では始めるぞ。どこからでもかかってくるがよい」

 うーん、なめられてはいるな。
 
 仕方ない……俺はデュラハン後輩のアイアンクラッシャーを射出。
 
 族長が驚き右に回避する。
 とんでもない速さだ。恐らく今まで出会った誰よりも回避が早い! 

 すかさず足元に苦無を数本投げつける。

 シュココココと苦無が族長の足元付近にささる。
 いくら移動が速くても、地を四本足で走っていると
そういう障害物は邪魔だろう。

 二本足は飛びやすいんだよ! ……っと俺は蛇佩楯で飛翔する。

 空中から再度一本苦無を投げつつマッドシールドを使用し着地する。

 族長は感心したように俺を見ている……かと思えば一瞬で俺の目の前に来ていた! 

「妖楼!」

 族長は俺にタックルをしていたようだが、ギリギリで難を逃れて後方に逃げた。

 再度攻撃に転じようとしたところで族長から待ったがかかる。

「もう十分だ。妖魔の術しかと見た。
補給任務ご苦労であった。積み荷を受け取ろう」

 そう言うと族長は俺の元へ一瞬で距離を詰めて
俺に握手を求める。

「その若さにしてはいい動きだ。気に入ったぞ。
わしは族長のソロンだ。客として迎え入れよう」
「よろしくお願いします。あの、ベルローゼさんという方は
こちらに来ていませんか?」
「ベルローゼ殿?フェルス皇国の実力者がこちらへきたという
情報は入っておらぬが」
「そうですか……」

 俺は心配になったが、今はベルローゼさんの言う通り
補給任務を完了させよう。
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