異世界転生 我が主のために ～不幸から始まる絶対忠義～ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

第五章 求むるは何を欲するものなり

第九十七話 ター君戦

「ター君強いから気を付けてな。俺燃えるから。帰ってるわ。
よろしくな？」

　お前がひきつけたんだろー！　おーい！　

　しかもターフスキアーなんて怖そうな名前がター君て。
親近感ある近所の子供だよ、もはや。

　あ、だめだ戻ってった。自分の意志でアクリル板に戻れるのかよ。

　ター君が両手をあげたままこちらを向き、火術を放ってくる。
　飛び道具ないとやっぱきつい。

　いや、あってもあの影だ。ター君をどうやって攻撃すればいいんだ？　
　あの手の類って物理攻撃はほとんど効かないよな。かといって術は使えないし。

　氷術を撃ってきたのでどうにか拳で粉砕して破壊する。
　さすがにかなりの威力だ。まともにくらったらやばいな。
　ちらっと蛇籠手を見るとレウスさんがサムズアップしている。
　
　この骨、ここに打ち捨てて行こうか。

　近づけなければ消化液も厳しい。蛇籠手も影じゃ食べないだろうしな。
　跳躍して蹴りを入れてみるか。

　俺は氷術を回避しながら高く跳躍してレウスの浮遊をいかし蹴りをいれる。
　スカッという音が聞こえてきそうなほど通過した。
　やっぱ物理攻撃無効か。考えないとノーダメージで完封負けする。
　というか滅茶苦茶攻撃してくるな。ター君呼ばわりしたからなのか？　怒ってる？　

　そうだ。これが効けばどうにかなるかも。ずっと装備していたし出てきてくれるかな。

　お、大丈夫そうだ。

　俺はター君の攻撃を挑発して誘う。
「ほらほらどうしたよター君、びびてるのー？」

　俺がこいこいポーズをするとあきらかに怒ったのか、ター君は鎌みたいなのを
取り出して俺に切りかかってきた。

好都合！　

「妖楼」

　俺は回避するとあるモンスターをアクリル板から取り出した。
　それは思い切りはじけ爆発した。俺も当然吹き飛ぶ。

「つっ！」

　マッドシールドで衝撃を吸収したが、痛い。すごい爆風だなやっぱ。
　俺が呼び出したのはダイナモクラッシュ。
　爆発する以外は大したことがないのだが、フェルス高地で爆発させずに封印
するのはちょっと大変だった。

　爆発したから当然消滅してしまったが、どうやらター君は
封印できたようだ。

　封印した蛇籠手を見るとレウスさんがサムズアップしている。

　俺はレウスさんを取り外してブンブン振ってたたき出した。

「やるなルイン！　なぁ！　俺のター君への奇襲がきいたな！」

　お前は邪魔しただけやろーが！　
　全く、なんて陽気な骨だ。あー、疲れた。
　少し休んでから3階へ行こう。



　しばらくその場で休憩した俺は三階へ上がる。

「聞いてた通りのヘンテコな場所だな」

　そこには巨大な砂時計がいくつもあり、下から上へと
砂が戻っていく。

　普通なら逆だろうな。
　その砂時計の左から五番目だけに触れるように言われた。
　他のもの砂時計も様々な用途があるが、今はそれだけでいいらしい。

　どうにかここまでは来れた。ここに来るまでに軽く四回位は装備を借りて無ければ死んでただろうな。
　ただここからが本当の死線だ。俺は覚悟を決めて砂時計に触れた。

　光……ではなく闇に包まれる感覚とともに、俺は何かに飲み込まれていった。