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第五章 求むるは何を欲するものなり

第八十九話 入念な確認

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 幽閉の辿りの入り口に着いた。
 
 ところどころに鉄格子がありその中を目にしたことがないモンスターが
横行しているのが見える。

 最奥に聳え立つ大きな建物に向かわなければいけないが
そこに辿り着くには
多くの戦闘は避けられないだろう。

 まずは自分の装備をしっかりと確認しよう。これも師匠によく言われたな……師匠はあのあと大丈夫だったろうか? 

 俺はぶんぶんと顔を振る。今はそれどころじゃなかったな。

 「この俺を心配するなんざ百年はええ」って言われそうだ。

 師匠……師匠か。そうだ! あの技、今の俺ならできるんじゃないか?
この青銀蛇佩楯、すねあてだと思っていたら佩楯はいだてだった。これがあれば……いやまだ無理か。

おっと、まずは入念に装備確認だ。
 
右手 レヤック ボルデキマイラ、フィリスドラゴン、パオーム、ギルティランサー
左手 ランダ ピクシーキャット、ブラッディヘル
胴体 下妖の一軽鎧 妖魔ラビット
右腕 青銀蛇籠手 封印穴五
左腕 下妖の一籠手 アリマジロ
腰 下妖の一腰 フラウリス
脚 青銀蛇佩楯 封印穴三
足 妖魔用靴 封印穴なし
予備武器 下妖の一ブロードソード スライム

 現状の装備はやはり防御面に難ありか。ステータス補正も
わからないしアナライズも今は使えない。

 レヤックとランダは俺のじゃないから封印部分はいじれない。

 出来るかなと思って取り外そうとしたけど、そもそもアクリル板じゃなく、氷で押し固めたようにコチコチで中のモンスターも動かない。

 改めて見てみると俺の封印したやつは異常なのがわかる。
 スライムとか滅茶苦茶プルプルしてるな。

 そういえばファルス高地で十枚ほどアクリル板にしたのを
適当に装着している。
 
 その時に捕まえたやつの名前はリルから聞いた。
 
 フラウリスとアリマジロはどちらも素早い敵だ。
残りは…… 
ヘッパーホップ(ばねみたいな奴)
フットレフト(片足妖怪みたいなやつ)
トードギラ(けろりんみたいなの)
マッドラココ(泥からラッコがでてきてドン引きした)
マッドサハギン(泥から半魚人でさらにドン引きした)
ダイナモクラッシュ(盛大に爆発した)
トレントウルフ(木に見える狼だった)

 ここから先、倒すモンスターは名前がわからないな。

 装備を見てびっくりしたのだが、フェルドナージュ様の籠手と佩楯に
封印穴が多く空いている。

 セットできる数が多いのはありがたい。

 多くセットすればその分強くなるってことだし。やばい装備だな。

 リルが羨ましがるのは別の意味だろうけど。

 戻ったらフェルドナージュ様にお願いしてどちらか譲っていいか聞いてみるか。暫くはこれに頼らないといけないけど。

 俺が持っているアクリル板は取り外し可能だったので適当にはめる。
 
 さてここからが俺が普通の妖魔と違う戦い方ができるところだ。
「出でよ、妖魔招来!フラウリス!アリマジロ!」と言いながらアクリル板をこするが、出てこない。

 なんでだ? そっぽ向いているぞ!? まさかの好感度が足りないって
やつなのか。

 どうしたら出てくれるかわからないが、とりあえずセットして使おう。

 俺はスライムだけを出して入口のあたりの敵を倒してみることにした。
 お前だけが頼りだよ二号。いや三号。

 まずは身体の動きを確認してみることにした。

 自分の感覚を具体的に数値化してみた方が早いと思い、
まず俺は一度
全ての装備を外して飛んだり跳ねたり走ったり、地面を殴ったりしてみる。

 次に何もない状態を一としたときの、全ての装備をつけた上で体感でどの程度
動きやすくなったかを計算してみる。ざっくりしかわからないが。
鑑定というような能力者がいかにチートか改めてよくわかるな。

攻撃力 一から七十倍
防御力 一から四十倍? 
知力  一から不明
素早さ 一から三十倍
跳躍力 一から四倍
器用さ 一から十倍? 

 体感でこれくらいは補正されてる。すごい上がってるが
多分二人の装備に
封印されてるモンスターの影響だな。

 これだけ強くなっていたとしてもなお危険てことは
ここに封印されている以上のモンスターがいるってことだろう。

 闘技大会の時より明らかに今なら動けるんだがな。
何かしらの作戦とかは必要だ。

 ついでに妖陽炎術も使う。
 俺の身体がむにゅーと伸びる。
 違う、こっちじゃない! 危ない! この名前だから間違えるんだ。

 名前変えても問題なくイメージできればいいんだよな。
妖蜃気楼術?いや、妖楼術でいいだろ。

 この妖楼術、今の俺には三秒くらいしか使えないっていってたな。
 だが考えがある。

 この術を攻撃を食らうタイミングだけで使えれば多分
攻撃回避のみとして三回、いや二回は
余裕をもって使えるってことだ。

 ただ直線的にのびる攻撃には弱いから注意しないと。

 準備が整ったので、リルに持たされた食事をとり、俺は
この辺りのモンスターを倒してみることにした。
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