異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー

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第五章 求むるは何を欲するものなり

第八十八話 友からの贈り物を胸に

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 俺はフェルス皇国の南門周辺まできた。

「おーいルイン。ちょっと待って」
「あれ、リル。かっこよく旅立ちの挨拶をしたあとはそのまま
別れるものだぞ」
「いや、やっぱりそのまま行くと君が死んじゃいそうで。
フェルドナージュ様から許可をもらってきたんだ。
ものすごく怒られたけどね」

 リルは笑いながら左半身を見せると、ひどい傷を負っているのがわかる。

「ああ、気にしないで。怒ってたけどやっぱり君を凄い気に入ってるんだね。僕とサラの装備を一つずつ貸し与える許可と
これをくれてやるからもっていけってさ。いいなぁ」

 そういうとリルはアイテムを差し出す。
 手甲とすねあて? みたいな物。蛇の紋様が入っている。
 確かフェルドナージュ様お手製の作品だったかな。

「それとこれは僕の格闘武器レヤック。こっちはサラの格闘武器ランダ。どちらもアーティファクトで
レヤックは穴が四つ。ランダは穴が二つ。
レヤックには ボルデキマイラ、フィリスドラゴン、
パオーム、ギルティランサーが封印されてる」

 まるで知らないモンスターの名前だな。

「ランダにはピクシーキャット、ブラッディヘルが封印されてるよ。
急ぐだろうから使い方は君が実際試してみてね。
と言ってももう少し君自身のレベルが上がらないと
技は引き出せないけど」
「どっちも全く知らないモンスターだな」
「そうだろうね。フェルドナージュ様の装備については、紙に書いといてあげたから。後で見てね。それとこれは食料。
君、急ぐあまり食料忘れてたでしょ……」
「あ……何から何まですまない」
「この貸しは大きいからね。覚悟しておいてよ」
「ああ、ありがとう!行ってくる!」

 今度こそ俺は旅立つ。未開の地へ。

 軽い足取りで……あれ、めちゃくちゃ軽い!? 

 そうか、この装備に封印されてるモンスターの能力が反映されてるのか。

 アナライズ出来ないのが口惜しい。そもそもなんでアナライズできないんだ? 

 目が関係しているのは間違いないが、いつからアナライズできないか定かじゃない。

 それにきっと目の力も今は使えないかもしれない。
用心しないとな。

 ファルス皇国南門を出た俺は、フェルドナージュ様の
装備の説明を見る事にした。

 どれどれ? 

 フェルドナージュ様の青銀蛇籠手。
麗しきフェルドナージュ様が自ら製作された世界一美しい一品。
 妖魔鉄鋼とナージ青銀を美しく織り交ぜたつくりは流石という感嘆の一言。
 そもそもまずはフェルドナージュ様の素晴らしさを語らずには……よしとばそう!

 なんで装備の説明書なのに人物像を語りだすんだ。
 これじゃフェルドナージュ様の説明書だろ! 

 俺は突っ込みのためにばちこーんと一度紙を地面に叩きつける。

 そして拾い上げて再び読む。

 なんでこんなに分厚い紙束かと思ったら……とんでもなく数の多い付加効果でもあるのかと思った。

 さてどのあたりからが説明だ……? 
崇高な……煌びやかで……ああ何と……ここからが本装備の凄い所でその性能である。

 おい、最後の一ページじゃないか! 

 この装備は一匹の青銀蛇となり、共に戦ってくれる。
相手を飲み込み消化して、装備者の体力や気力を回復できる。
 装備時は鉄壁の防御。解放時は体力回復とまさに至れり尽くせりの一品である。

 はぁ……これを書くためにどれほどの枚数の紙を……すねあても最後のだけ見よう。

 このフェルドナージュ様の青銀蛇佩楯は、足を防御するだけにはとどまらず、脚力を
大きく上げ装備者を高く跳ねあがらせる力を持つ。
 更に空中で佩楯が蛇へと実体化し、さらなる跳躍ができるだろう。
 ただしそのまま地面に落ちれば地面にて自らの足を砕くだろう。

 えーっとハイジャンプして骨折するから気を付けろってことか? 

 そりゃまぁそうだけどそこの工夫はないのかよ! 

 ……まぁ気を付けて使うとしよう。どちらも非常に貴重なものだ。

 突っ込みを入れながらフェルドナージュ様解体新書を見ていたら、いつのまにか目的地付近についた。
 
 モンスターには遭遇しなかったが、これもフェルドナージュ様のご利益だろうか?

 目的地に着いた感想としては、一言でいうならやばいだな。

 俺は気を引き締めて幽閉の辿りへと足を踏み入れた。
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