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第四章 諦めない者たち 妖魔の国編
第八十五話 思いは悲しみに変わるもの
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メルザが領域へ戻ると、ニーメが早速迎えにきてくれた。
「ただいま、ニーメ」
「親分、お帰りなさい。ミリルお姉ちゃんもいらっしゃい」
「お邪魔しますわ。あの、ファナさんは?」
「うん、お姉ちゃんはだいぶ元気になったよ。
僕が作った義足でかなり歩けるようになったんだ!」
「本当か? ずっと心配だったよ。ありがとなニーメ」
そう話す寂しそうなメルザにニーメは不思議に思う。
「ねえお兄ちゃんは? 一緒に来なかったの?」
二人は押し黙る。けどメルザは答えた。
「ルインは一緒に帰ってこなかったんだ。
しばらくしたら必ず帰ってくるからよ。
それまでニーメは待っててくれるよな」
「うん、勿論だよ。僕お兄ちゃん大好きだもん。
優しいしかっこいいし。本当のお兄ちゃんみたいなんだ。
お姉ちゃんと
結婚したら本当のお兄ちゃんになってくれるんだけどな」
それを聞いてメルザはちょっとむっとしてしまうが
すぐに真剣な表情に戻る。
ミリルはそのやり取りを見てられず、後ろ向きになり
涙をこらえていた。
「おかえり、メルザ。ごめんね、まだうまく歩けなくて」
そういうと杖をつきながらゆっくりと慎重に歩く
ファナの姿があった。
メルザは走ってかけよりファナを支える。
「俺様の方こそごめん。もっと早く会いたかった。
会いたかったよファナ、ファナ」
「わたしの方こそ勝手してごめん。もう一人で
勝手な行動はしないわ。それとルインはどこ?
私、お礼が言いたくて。こんな身体だけど
私ができることなら何をしてでもお返ししないと」
「ああ、ファナ。わかってる。わかってるよ。
だけど今はしばらく、こうさせて……」
メルザは必死に耐えた。ファナにしがみつきながら
ルインがいない、寂しいこの領域の悲しさに。
ファナにすがるように。
ファナもなんとなくわかってしまった。
何かあったんだと。おぼつかない足でしっかりと地面を
支え、杖を手放しメルザを抱きしめてやる。
結局メルザは我慢できずに思い切り泣いてしまった。
領域や洞窟で過ごしたルインとの思い出がメルザを苦しめる。
スープを飲ませて熱がられたり、宝箱風呂に入ったり
パモと一緒にポーズを決めたり。
そして、ここでキスをした。
メルザの心は張り裂けんばかりに苦しくなり、メルザはどさりと倒れてしまった。
ミリルが泣きながら駆け寄り、ファナもふらつきながら
メルザを助けようとする。
メルザは心に深い傷を負い、それからしばらく
寝込んでしまった。
その領域はメルザにとってあまりにも残酷な思い出の空間だった。
「ただいま、ニーメ」
「親分、お帰りなさい。ミリルお姉ちゃんもいらっしゃい」
「お邪魔しますわ。あの、ファナさんは?」
「うん、お姉ちゃんはだいぶ元気になったよ。
僕が作った義足でかなり歩けるようになったんだ!」
「本当か? ずっと心配だったよ。ありがとなニーメ」
そう話す寂しそうなメルザにニーメは不思議に思う。
「ねえお兄ちゃんは? 一緒に来なかったの?」
二人は押し黙る。けどメルザは答えた。
「ルインは一緒に帰ってこなかったんだ。
しばらくしたら必ず帰ってくるからよ。
それまでニーメは待っててくれるよな」
「うん、勿論だよ。僕お兄ちゃん大好きだもん。
優しいしかっこいいし。本当のお兄ちゃんみたいなんだ。
お姉ちゃんと
結婚したら本当のお兄ちゃんになってくれるんだけどな」
それを聞いてメルザはちょっとむっとしてしまうが
すぐに真剣な表情に戻る。
ミリルはそのやり取りを見てられず、後ろ向きになり
涙をこらえていた。
「おかえり、メルザ。ごめんね、まだうまく歩けなくて」
そういうと杖をつきながらゆっくりと慎重に歩く
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メルザは走ってかけよりファナを支える。
「俺様の方こそごめん。もっと早く会いたかった。
会いたかったよファナ、ファナ」
「わたしの方こそ勝手してごめん。もう一人で
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私、お礼が言いたくて。こんな身体だけど
私ができることなら何をしてでもお返ししないと」
「ああ、ファナ。わかってる。わかってるよ。
だけど今はしばらく、こうさせて……」
メルザは必死に耐えた。ファナにしがみつきながら
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ファナにすがるように。
ファナもなんとなくわかってしまった。
何かあったんだと。おぼつかない足でしっかりと地面を
支え、杖を手放しメルザを抱きしめてやる。
結局メルザは我慢できずに思い切り泣いてしまった。
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そして、ここでキスをした。
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ミリルが泣きながら駆け寄り、ファナもふらつきながら
メルザを助けようとする。
メルザは心に深い傷を負い、それからしばらく
寝込んでしまった。
その領域はメルザにとってあまりにも残酷な思い出の空間だった。
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