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第四章 諦めない者たち 妖魔の国編

第七十七話 武器防具屋【フォモルコデックス】

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 俺は妖魔の皇城ペシュメルガ城をあとにし、リルとサラの後ろを歩く。
 
 妖魔の町を詳しく案内してくれるらしい。そのあと領域まで
連れて行ってくれるそうだ。

「この町は妖兵が住むエリアと城には属さない民が住むエリアが
分かれているんだ。妖兵が住むエリアには武器や防具なんかを
作っている場所もある。君用に仕立てた服屋もそこにあるよ。
単純に妖兵エリア、妖民エリアって言うだけだけどね」
「領域にはどうやって行くんだ?」
「君、違う領域に行った事あるんでしょ? どうやって行ってたか
覚えているかい?」
「ああ、泉の中に行って水面から浮上したら……」
「あれ、浮上してるように見えるけど、本当は引っ張られて潜ってるんだけどね。気付かなかった?」

 全然知らなかった。泳いで浮かんだら違う場所だから
違うエリアに切り替わった……とかだと思ってた。

「それは妖魔の泉、または幻魔の泉。
己が所有する領域には、どの泉からでも行けるけど
戻る場所は一緒だよ」

 一瞬戻れるかと思ったがだめか。

「とりあえず武器と防具は買わないとだね。お金はいらないけど。
君がした最後の提案で、こうなるとは思った。
フェルドナージュ様が更に君を気に入っちゃったよ。
全く。他の妖魔に襲われないよう気を付けるんだよ」
「全くだわ。あたしもああ言われたら、胸がキュンてなっちゃうもの」
「いやそんなつもりは全くないんだが……気を付けるよ」

 先ほど城での状況を思い返す。

「さらに其方の願いを一つ叶えよう。
童に望むことはあるか?」

「私の仲間を俺の領域に呼んで、命を救ってくれたこの国に
恩返しがしたいんです。リルにも大変お世話になりました。
満足がいくまで働かせてください」
「それでは其方は、叶える望みを童のために使いたいと
そう申すのか。ただ仲間を呼びたい。それだけでなく」
「はい、それだけで恩を返せるとは思えませんから」
「くっ、くくくっ。あっはっはっはっ! 愉快じゃ。実に愉快。
其方ちっとも妖魔らしくないのう。実に気に入ったぞ! 
では其方には先兵となって仕事をしてもらうとしよう。
童の私兵ではないが剣客として。下妖の一を授ける。
武器と防具を揃えて妖兵旋所へ赴き仕事をこなすがよい。
リルカーンとサラカーンはその補佐を任ずる。
好きな装備を選ばせよ。以上だ。
ルインよ。功を上げまた童の元へ会いにくるがよい」





 そんな風に言われたんだっけな。はぁ……やっちゃったかな。
 
 それにしても下妖の一ってなんだろう。
 
 リルも上妖の一って言われてたけど。身分みたいなものか? 

 そう考えながら歩いていると、目的の場所に着いたらしい。

「ここが武器と防具の店フォモルコデックスさ」
「あたしも何か買っていこうかしら」

 店内に入るとかなりの品揃えだ。さすがは城下の町の店だな。

「これはいらっしゃいませ! リルカーン様にサラカーン様!」
「やぁフォモル。彼に武器と防具を。下妖の一用の装備ね」
「承知いたしました。 おい貴様! 下妖の一用の装備を用意してやる! こっちはこい!」
「あ、言い忘れてたけど、彼は下妖の一だけど、フェルドナージュ様のお気に入りだからね」
「し、失礼しましたーーー! こちらです。どうぞどうぞ……へへっ」
「あ、ああ……」
「妖魔用の武器や防具は、例え下妖の一装備でも相当なものだから、安心するといいわ」

 掲示された装備を見る。アナライズしてみよう。最近全く使っていないからな……意識せず使う事もあるはずなんだが。

 あれ、使えない? なぜだ? 

 仕方ない、聞きながら触って選ぶか。

 今までの俺の武器防具は片手格闘片手剣、シールドガントレットに軽装の素早くなれる
 
 服と靴。装備付与効果で幻術を使い、暗器や捕縛網を駆使して
どうにか戦っていた。

 師匠の教えの賜物だろう。だがあっさりと
死にかけた。今後は戦い方ももっと工夫しないとな。

「なぁリルにサラ。二人とも俺よりはるかに強いよな」
「そうだね。君なんて僕らの足元にもまったく及ばないかな」
「当然でしょ。私は中妖の二、兄はさっき上妖の一になったんだから」
「本当ですかい? でしたら上妖の一装備を用意しないと! 
おいお前ら! 総出でリル様の装備を用意しろ! 三分で済ませな!」

 へいっ! と奥から声が聞こえる。そんなせかすと乗り物から落ちるよ! 

「リルは俺の戦い方を見ていたよな。俺が今後強くなるには
どの装備を選んでいったらいいと思う? 俺幻術使えないから」
「幻術? 君は元々妖魔だから幻術がうまく使えなくて当然だよ。妖術系の何かを使えると思うけど。試してみたら?」

 ……は? 
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