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第三章 闘技大会 後編

第七十話 いつだって不幸は唐突に起こる

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 三戦目の翌日。
 俺たちは闘技場に来ていた。
 
 今日は予選第二部の日だ。人入りは相当いいのか昨日以上に客がいるように見える。

「メルザもミリルも準備いいかい?」
「あぁ、ばっちりだぜ! 昨日はよく眠れたしよ」
「私も絶好調ですわ!」

 俺たちは試合会場へと赴く。

「さぁ予選第二部、まもなくです。
今日は満員御礼で、大勢の人が集まっております!」
「楽しみですねっ、わくわくしますっ」

「今日の注目はなんといっても、Eブロック! ルインチーム対ベルドチームです! ベルド選手、雪辱なるか? 
こんな速いリターンマッチを誰が予想したでしょうか!?」
「がんばれーっ!」
「ん? あれは……」

 突然空が暗くなる。会場入りした俺たちは空を見上げる。

 そこには途方もないでかさの、八本の剣をもった
謎の生物が下りてくるところだった。

「あ……噓だろ」
 
 何だあのデカさは。

「ちっあのバカ、はええんだよ! おいニニーいくぞ!」
「ちっ……」

 司会が何か言っていたが今はそれどころじゃない。

「おい、ベルド、ベルディア、ボルド。早く脱出しろ!」
「僕らは東から出来る限り人を助けつつ避難する!」
「ああ、俺は西から行く! 行くぞ、メルザ、ミリル」

 なんだあれは。あんなでかいモンスター見たことないぞ

「師匠!」
「おう、無事か。まさかここにあいつがでるとはな」
「あれが何だか知ってるんですか?」
「ああ、あいつはギルドーガの先兵
ギルドグマだ」
「ギルドグマ?」
「あいつの相手は俺たちがする。おめぇは嬢ちゃんたちと逃げろ! ライラロと合流して先に行け! 港だ!」
「けど師匠!」
「大丈夫だ、俺を舐めるな。俺の強さはルイン、貴様が一番知ってるはずだ」
「……わかりました! 必ず生きて戻ってきてください!」
「ああ、もちろんだ。くたばるつもりはねえよ!」
「メルザ。俺がおぶる。ミリル、ついてこれるか?」
「頑張りますわ!」

 メルザをおぶると会場から一気に外へ出る。

 すると少し先に行った所で黒ずくめのローブを着た奴らが次々と人を襲っていた。
 こいつらはもしかして……常闇のカイナ? 

「……お前らは、常闇のカイナか?」

 黒ずくめたちが驚いた動きを見せる。
 うち一人が前にでて剣を俺に向ける。

「知っているならいかしてはおけないな」

 部下に合図して二人が切りかかってきた。
 メルザを降ろし、カットラスで一閃してそいつらを吹き飛ばす。

「ミリル! メルザを連れて跳躍で逃げれるか?」
「けどそれじゃルインさんが」
「大丈夫、後から追いつく!」
 
 更に向かってくる奴を流星錘で吹き飛ばした。

「頼む、行け! お前にしかメルザを頼めないんだ! 数が多いから足手まといだ!」

「っつ! すみません! わかりましたわっ!」
「やだ、ルインも行くんだ! やだ!」
「メルザ、悪い」

 俺はメルザの腹に右肘をいれて、ミリルに託す。本当にごめんな。

「いけえええええ!」
 
 俺はやつらに突っ込む。当然あっちを狙うだろう? 

 三人がミリルのほうに行こうとする。
 突っ込んだのわざとにきまってるだろ。

 捕縛網をそいつらに射出して、苦無を残りに投げる。
 急停止した反動で反転ジャンプし、ミリルを追った三人をいっきに絶命させた。

「ここは通さない。俺の命に代えてもだ」

 集団は少したじろぐが、最初に会話した奴がでてくる。

「いいよ、大会優勝者さんの実力、見せてもらおうか。おまえら、今は手をだすなよ」

 今は……ね。どのみち多勢な上、状況はかなりこちらに悪いな。
 流星錘と雷撃でけん制するが、まるで効果がない。

 あのローブに相当な耐性があるようだ。
 てことは全員幻術はダメね。本当嫌になるな。

「こちらから行くよ」

 急に耳元で声がしたと思ったら俺の腹にナイフが突き刺さっていた。

「ぐっ…」
「へぇ、この程度なんだね。見えてないの?」

 ナイフを引き抜いて手で押さえる。やべーな……けど時間は
それなりに経ったか。撤退時だな。

「おい、何遊んでやがる」

 急に背後から声がした。まさかの増援か? 

「おや、これは充実ルインさんじゃありませんか。
お楽しみのトコ悪いけど、充実はお終いだよ」

「あ……れっ」

 俺の半身が見える。
 なぜ、こうなった……せめて一撃でも……また死ぬのか俺は……メルザ……すまない。
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