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第三章 闘技大会 後編

第六十五話 団体戦 初戦 デンジー三兄弟

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「さぁいよいよ団体戦初戦が始まります! 今回の初戦注目はやはり! 個人船優勝者の
ルイン選手がいるチームです! あの優勝候補ベルド選手を倒した逆転劇! 感激して
好きになってしまった女性は多いのではないでしょうか!」

 耳をふさぐはずだったのに……おい、まじでやめろ……毎回いじられすぎだろ! 

「しかーし! 残念ながら彼には思い人がいるようです! ぜひ皆さんで、応援して
やりましょう! がんばれー!」

 会場からがんばれーと声があがる。恥ずかしすぎる……穴があったら入りたい。

「けっ。兄者ぁー! あの野郎のことみたいですぜ。気に入らねぇ!」
「まーったくだ弟よ。わてら三兄弟を無視して女の話たぁよ!」
「げーっ、げけっ」
「われらデンジー三兄弟!長兄エレギー!」
「次男、ジーキ!」
「げーっ、げけっ」
「……三男、ソウゴー!」
「「三人合わせて! デンジー三兄弟!」
「……」
「貴様らをぐちゃぐちゃにして、そっちの女どもをわてらの恋人にしてやる!」
「願望が詰まってるやつらだな……」
「いくぞっ!」
「いやまだ試合始まってないから」
「なにぃ!?」

 漫才トリオみたいなのが出てきた。
 和気あいあいで楽しそうだがとりあえず初戦で負けるわけにはいかないな。

「それでは試合開始!」

 俺たちは練習通りに俺が最前線。
 ミリルはメルザを守るようにメルザの正面やや左程度に後衛に置いた。
「そんな離れて貴様一人で戦うつもりかぁー!」
「ちげーよ」

 ジーギが二本の刀を両手で前に出して頭から突進してくる。これはダサい! 

 ちょうど新しい武器の試し打ちにはなるな。

 流星錘を射出してジーギに飛ばす。
 とんでもない速さで射出され、ジーギの正面にぎぃんという音とともにぶちあたる。
 
 ジーギを後方に大きく吹き飛ばした。
 
 流星錘は凄い速さでがしゃりと俺の元へ戻ってきた。
 便利すぎるな、これは。

 メルザはその間の隙に詠唱する。
 個人戦では使用するのにも一苦労だが、相手が阻害しなければ楽々使える。

「主として権限を行使。
火、土の斗。改元せし二つの理。
燃流出乃、土流出乃を我が元に」

 メルザは右手で円を描き二対のエレメンタルを解き放った。
 明らかに燃流出乃エレメンタルがでかい! 
 付与でこんなに変わるのか?

 続けざま、メルザはソウゴーに燃臥斗を放つ。

「げーっ げけっ」
「危なーい、弟よ!」

 エレギーが飛び込んでソウゴを庇う。

 エレギーの背中にメルザが放った燃臥斗が当たった。
「ぐああ! っ……だ、大丈夫か弟よ……!」

 いや、今あんたがくらいにいかなきゃ普通に避けたんじゃないか? 

 それに弟さんはさっきから「げー、げけっ」しか喋ってないんですが。
 ゲッコ族ですか? このやろー。

「ぐぅ、わては動けん。頼んだぞ、弟たちよ!」
「兄者ー! おのれぇ、よくも兄者を!」

 起き上がったジーキが俺を睨む。磁力バリバリだ。

「……もう片付けていいか?」
「なにぃっ?」

 後ろからメルザが超でかい燃斗をエレメンタルと一緒に叩き込もうとしていた。
 
 フル装備にさらに強化したソレは絶対くらいたくない。

 三兄弟は固まり、震えながら場外へ飛び降りていった。

 おまえら、絶対ネタ参加だろっ! 

 俺たちはどっと疲れて初戦を勝利した。
 ミリルさん、出番なかったな。
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