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第三章 闘技大会 後編
第四十九話 ルインvsボルド
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「お前がルインだな。父から話は聞いている」
「……誰? お父さんて?」
「いや、こっちの話だ。兄上より先にやれるとは幸運だ」
よくわからないが俺の事を知っているらしい。
ナタの構えも素人じゃないな。それなりにやらないとやられるか。
ただこの大会、俺にはかなり有利なんだよね。
こんな風に。
ボルド
死流七支バルドスとメディルの子
大ナタを使うが機敏な動きを取る
兄思いで直情的
おっと、師匠の同格の子供か。
これは少々気合が入るな。
とりあえずは動きを見つついくか。
「試合開始です」
合図とともにボルドはナタを振り回す。
近接とはいえかなり距離がとれるナタの使い方としては上々。
疲れるよな、それ。右足のつま先で地面をトントンしながらその様子を見る。
「どうした、来ないのか? ならこちらから行くぞ!」
本来は受け身だから来ないと自分で行くしかないんだよね。重いから。
バックステップで回避しつつ徐々に左に回っていく。
確かに機敏な動きだな。蹴りだけでは厳しいか。
ぐっと踏み込むと間合いに入る。
「そのまま間合いに入るとは!」
大ナタが俺を振りかざして当たったようにみえたが
次の瞬間倒れてるのはボルドだった。
ボルドの顔前に苦無をあてがう。
種明かしをすると、シールドとガントレットの間に右手を入れたまま突っ込んだ。
相手側にはシールドの下の仕込みカットラスは見えない。
盾でナタをふせぎつつその振り下ろした威力を
そのままカットラスに伝えて振りぬいた。
かなりのダメージだろうが、相手もセミユニークの鎧を着ている。
こんなものだろう。
「勝者ルイン選手です! またしても攻撃が見えませんでしたー!
今回のダークホースになりそうです!」
歓声が大きくあがる。
三回戦目でもうメドレスを使用する事になったのは驚きだ。
ここまでは蹴り一本で戦い抜きたかったんだが
明日からの本選は考えないとな。
休憩室に戻るとファナがいた。
「お疲れ様ルイン。相手強かったの?」
「あぁ、師匠の知り合いの子供だったみたいだ。
まだ俺の相手じゃなかったが相当修練は積んでいたな」
「そっか。そんな人も出てるのね。私も気を付けないと」
「あぁ、十分気を付けてな」
「本来近接戦闘向きじゃないからね。
千本の使い方も直接だし……まぁいいけど」
「確かに投げナイフが使えないってのもな。
まぁ個人でのポイントは俺とメルザで稼ぐから気にしなくていいぞ」
「えぇ、行ってくるわね」
そう言うとファナは三試合目に向かっていった。
少し水を飲んでから向かおうとしたがファナは負けてしまったようだ。
相手はベルディアという選手。師匠の知り合いの子供か?
ファナは怪我こそしていなかったが、場外に落とされたようだ。
一瞬でファナを場外に落とすとはかなりの使い手だな。
その頃勝利したベルディアは誰かと話をしていた。
「姉上、申し訳ありません!」
「仕方ないっしょ、あの男相当やるよ」
「しかしあまりにも不甲斐なく……」
「そもそもあんな形状の武器、見たことないっしょ」
「ええ、なんでしょう、あの武器は」
「知らないっしょ。でもあいつとあたるときは楽しめそう」
「姉上のツインテールが少し乱れております。直させてください!」
「別にいいっしょ。もう帰るだけだし」
「いえ! 美しい姉上はいつでも整っていないと!」
「……はぁ、あんたは真面目すぎるっしょ」
にしてもあのルインとかいう奴、あたしより素早いっしょ。
どうするかね。戦い方はまだ雑っぽいところがあるけどありゃ相当やるっしょ。
今夜中に作戦練るか。
「楽しみだわ、あいつとやるの」
そう言ってベルディアと弟のボルドは宿に戻っていった。
「……誰? お父さんて?」
「いや、こっちの話だ。兄上より先にやれるとは幸運だ」
よくわからないが俺の事を知っているらしい。
ナタの構えも素人じゃないな。それなりにやらないとやられるか。
ただこの大会、俺にはかなり有利なんだよね。
こんな風に。
ボルド
死流七支バルドスとメディルの子
大ナタを使うが機敏な動きを取る
兄思いで直情的
おっと、師匠の同格の子供か。
これは少々気合が入るな。
とりあえずは動きを見つついくか。
「試合開始です」
合図とともにボルドはナタを振り回す。
近接とはいえかなり距離がとれるナタの使い方としては上々。
疲れるよな、それ。右足のつま先で地面をトントンしながらその様子を見る。
「どうした、来ないのか? ならこちらから行くぞ!」
本来は受け身だから来ないと自分で行くしかないんだよね。重いから。
バックステップで回避しつつ徐々に左に回っていく。
確かに機敏な動きだな。蹴りだけでは厳しいか。
ぐっと踏み込むと間合いに入る。
「そのまま間合いに入るとは!」
大ナタが俺を振りかざして当たったようにみえたが
次の瞬間倒れてるのはボルドだった。
ボルドの顔前に苦無をあてがう。
種明かしをすると、シールドとガントレットの間に右手を入れたまま突っ込んだ。
相手側にはシールドの下の仕込みカットラスは見えない。
盾でナタをふせぎつつその振り下ろした威力を
そのままカットラスに伝えて振りぬいた。
かなりのダメージだろうが、相手もセミユニークの鎧を着ている。
こんなものだろう。
「勝者ルイン選手です! またしても攻撃が見えませんでしたー!
今回のダークホースになりそうです!」
歓声が大きくあがる。
三回戦目でもうメドレスを使用する事になったのは驚きだ。
ここまでは蹴り一本で戦い抜きたかったんだが
明日からの本選は考えないとな。
休憩室に戻るとファナがいた。
「お疲れ様ルイン。相手強かったの?」
「あぁ、師匠の知り合いの子供だったみたいだ。
まだ俺の相手じゃなかったが相当修練は積んでいたな」
「そっか。そんな人も出てるのね。私も気を付けないと」
「あぁ、十分気を付けてな」
「本来近接戦闘向きじゃないからね。
千本の使い方も直接だし……まぁいいけど」
「確かに投げナイフが使えないってのもな。
まぁ個人でのポイントは俺とメルザで稼ぐから気にしなくていいぞ」
「えぇ、行ってくるわね」
そう言うとファナは三試合目に向かっていった。
少し水を飲んでから向かおうとしたがファナは負けてしまったようだ。
相手はベルディアという選手。師匠の知り合いの子供か?
ファナは怪我こそしていなかったが、場外に落とされたようだ。
一瞬でファナを場外に落とすとはかなりの使い手だな。
その頃勝利したベルディアは誰かと話をしていた。
「姉上、申し訳ありません!」
「仕方ないっしょ、あの男相当やるよ」
「しかしあまりにも不甲斐なく……」
「そもそもあんな形状の武器、見たことないっしょ」
「ええ、なんでしょう、あの武器は」
「知らないっしょ。でもあいつとあたるときは楽しめそう」
「姉上のツインテールが少し乱れております。直させてください!」
「別にいいっしょ。もう帰るだけだし」
「いえ! 美しい姉上はいつでも整っていないと!」
「……はぁ、あんたは真面目すぎるっしょ」
にしてもあのルインとかいう奴、あたしより素早いっしょ。
どうするかね。戦い方はまだ雑っぽいところがあるけどありゃ相当やるっしょ。
今夜中に作戦練るか。
「楽しみだわ、あいつとやるの」
そう言ってベルディアと弟のボルドは宿に戻っていった。
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