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第二章 闘技大会編 前編

間話 とある酒場の古い馴染み

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 そこは小さな港町。
 ベルディスは酒場で酒を飲んでいた。

「くそっ……ライラロに追い回されてひでぇ目にあったぜ……
親父、もう一杯くれ」
「旦那、お連れの方がいらっしゃったようですぜ?」

 ベルディスが見やると、金色の目立つ甲冑とばかデカい剣を背中に
担いだ男が近くに立っている。
 その横には絶世の美女がいて酒場の男たちの視線を集めている。 
 手に持っている水晶玉が怪しく光っている。

「おうおう兄ちゃん。随分とでけぇ剣持ってるじゃねえか、そんなの使えるのか?」
「綺麗な姉ちゃん連れてよぉ、いい気になってんなよ!」
「おい姉ちゃん、そんな金ぴか男じゃなくて俺たちと遊ぼうぜ? な?」

 女性はふぅ……と一言つくとこうつぶやく。

「下種が、気安く話かけんな! 殺すぞ!」

 あたりが一瞬シーンとなる。

「なんだぁ? このアマ。人が優しくしてたらつけあがりやがって!」
「おい、無理やりひんむいちまえ!」
「おぉ!」

 金色の男はヤレヤレといった形で見向きもしない。

 女性は玉を掲げると玉先から一気に何かが噴射する。
 煙を浴びた男たちは目がうつろになり、全員財布を地面に置いて
操られたように一人ずつ外へ出て行った。

「気分悪いわ。帰っていいか?」
「今来たばっかじゃねえか。金も入ったしゆっくりしていこうぜ」

 金色の男はそういうと財布を拾い上げてへへっと笑う。

「来た瞬間からこれかよ。相変わらずてめぇも大変そうだなセフィア」
「こんなトコに呼び出すテメーのせいだろうが! あぁ!」
「全く顔に似合わずこえーなてめぇは。どっかの嬢ちゃんみたいだぜ」
「おいおいセフィアみたいなのが他にもいるのかよ」
「いや、ちょっと違うな。あの嬢ちゃんは優しいからな」
「なんだベルディスてめぇ喧嘩売ってんのか! コラ!」
「あー、わりぃそうじゃねえんだ。親父、こいつらに一杯頼む」
「へい、騒ぎを収めてくれたんで一杯目のお代は結構でさぁ」

 さっきの噴射ガスのせいか他の客まで財布を置いて
どっかにいってしまったが、気前よくおごってくれるマスター。

「んでベルディス。こんなトコに俺たちを呼んで何のようだ? 
あんまりこいつの機嫌を損ねたくないんだが」
「いや、こうしねぇとあいつとまともに会話できねぇだろ?」
「まぁそりゃそうだな。ははっ」

 そういうと二人ともぐいっと酒を飲む。
 セフィアは……「うぃっく。わらし、そんなに話しづらいですかぁ? うぃっく」
「あーいや、んなことねぇよ。ライラロよりは余程話やすいぜ」
「あーんベルディスちゃんはあらしよりライラロの方がいいんれすねぇ……ぐすん」
「……こいつ昔より弱くなってねぇか? 酒に」
「……お前さんもそう思うか? けどこいつを守って回らなきゃならねえのが俺の
運命だからな。おっとそろそろ本題に入りな」
「あぁ、弟子をとったんだが筋がいい。見込みもあるうえ
やべぇ技も使う。おめぇも観にこねぇか」
「そりゃ手紙にも書いてあったな。
お前さんが弟子をとるとは思わなかったがそれほどか」
「ライラロから聞いたが幻魔の宝玉を使ったらしい」
「はぁ!? なんで生きてるんだそいつ」
「いや、なんともねぇみてぇだ。赤い斬撃を飛ばせる以外
今のところ変わったところもねえな」
「今のところね……で、どう考えてるんだ?」
「最高戦力の一角になると踏んでるぜ」
「……お前がそこまで言うならいいだろう。俺たちも見に行く」
「なんれすか。二人して内緒話れすかぁ? えっぐ。私を置いてくんれすかぁ! うっぷ」
「……おい親父バケツ頼む大至急だ」

 セフィアは思い切り虹色の物をバケツ一杯に流すのだった……。
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