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第二章 闘技大会編 前編
第四十話 この世界の全容
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ライラロは地面に杖で丁寧に書いて、それぞれの大陸と
都市部分の名称を記入していく。
ここは トリノポート大陸というらしい。
首都部はベッツェン。港は三か所あるらしいがここからはそれなりに距離がある。
トリノポート大陸から北側に位置する島がミッドランド島。
俺たちの目的、闘技大会の開催地であり世界中からアクセス可能な大都市デイスペル。
多くの種族が集まり、多くの物が日々行き交う。
これ以外にもレグナ大陸、シーブルー大陸、キゾナ大陸
ドラディニア大陸、シフティス大陸、ディマ大陸があるらしい。
他無数の島がある。
おおよそ七つの大陸と無数の島。それがこの世界ゲンドールという説明だった。
現実世界では確か六つほどだったか。
あまり変わらない数だが、想像しているより
大きな世界が構築されている可能性がある。
俺たちがいるトリノポート大陸は世界の中央南方面。
広大な横に伸びる面積があり、三夜の町はその東に位置する。
角は有利だ! なんてどっかの城取りゲームで聞いたきがするな。
この国が外敵から攻撃されたというのは聞いたことがない。
「戦争などは起こっていないんですか? 大陸間は平穏?」
「そんなわけないわ。大陸間で争いの絶えない地域
超危険な獣が出るエリアもある。入れば戻ってくることができないなんて
言われるダンジョンや塔なんかもあるし、わからない
文明の町も無数にある。
私にもこの世界は広大すぎて、全てを把握しているわけではないわ」
そう言うとライラロはふぅとため息を一つ。
「ただ、いくつかの町ではそれなりに顔が利くわよ。
私やダーリンなんかはね」
……さらりと師匠をダーリンに置き換える。
しかしここで二人はどういう関係? などと聞こうものなら
大変面倒なことになるので聞かない。
「でさ、聞いてくれる? ダーリンったら」
「あ、ライラロさんそういえばデイスペルへ行った事は?」
俺はさっと話を切り替える。さすがに慣れてきた。
「えっ? あるわよ? 私前々回優勝してるし」
「えーーー!? まじかよ師匠! 絶解呪の書持ってるのか?」
「ないわよ。そもそも絶解呪は優勝賞品じゃないわ。
ポイント交換用のスクロールアイテムよ」
「スクロールアイテム?」
「巻物の事ね。一回使ったら無くなるわ。それなりに貴重だけど」
「そうか、だからバウザーさんは景品って言ってたのか」
「優勝賞品が解呪系アイテムだったら参加者はがくっと減るでしょうけどね」
そりゃそうか。貴重とはいえ目玉商品ぽくない。
「今回の優勝賞品は何なんです?」
「さぁ。私は今回ダーリンと観戦組だからね。わからないわ」
「あ、ライラロさんも観戦されるんですね。師匠もだったのか」
「久しぶりにみんなで集まる予定なのよ。それぞれの弟子をつれてね」
「ということはかなり強い参加者が……」
「正直優勝は難しいと思うわよ。うふふ、楽しみだわぁ~。
無様な戦いしたら許さないわよバカ弟子!」
「俺様はバカじゃねぇ!」
メルザはむーんと少し怒った表情を浮かべる。
「あ、そうだわ。大会の場所までの引率は私がバウザーから任されたから。
注意点は聞いてるわね? はいこれ通行証」
「あ、ありがとうございます。そうだったんですね。
注意点は確か俺たちが三夜の町から来た事を伏せる。
ライデンという人から通行証をもらった事にする……でしたね」
そう言いつつ通行証を見る。
発行者の名前が ライデン・ガーランドと書いてあるな。
「そう。三夜の町は世界に公開されていない。
だからベルディスもあそこで店をやってるのよ。
あなたたちはベッツェンから来たことにしてね。
大会に行く途中寄ってくから」
事情はよくわからないが、通行証をもらえるだけでも有難い。
俺たちは頷いて、新天地に心躍らせるのだった。
話を終えて気付くと日が傾きかけていた。
都市部分の名称を記入していく。
ここは トリノポート大陸というらしい。
首都部はベッツェン。港は三か所あるらしいがここからはそれなりに距離がある。
トリノポート大陸から北側に位置する島がミッドランド島。
俺たちの目的、闘技大会の開催地であり世界中からアクセス可能な大都市デイスペル。
多くの種族が集まり、多くの物が日々行き交う。
これ以外にもレグナ大陸、シーブルー大陸、キゾナ大陸
ドラディニア大陸、シフティス大陸、ディマ大陸があるらしい。
他無数の島がある。
おおよそ七つの大陸と無数の島。それがこの世界ゲンドールという説明だった。
現実世界では確か六つほどだったか。
あまり変わらない数だが、想像しているより
大きな世界が構築されている可能性がある。
俺たちがいるトリノポート大陸は世界の中央南方面。
広大な横に伸びる面積があり、三夜の町はその東に位置する。
角は有利だ! なんてどっかの城取りゲームで聞いたきがするな。
この国が外敵から攻撃されたというのは聞いたことがない。
「戦争などは起こっていないんですか? 大陸間は平穏?」
「そんなわけないわ。大陸間で争いの絶えない地域
超危険な獣が出るエリアもある。入れば戻ってくることができないなんて
言われるダンジョンや塔なんかもあるし、わからない
文明の町も無数にある。
私にもこの世界は広大すぎて、全てを把握しているわけではないわ」
そう言うとライラロはふぅとため息を一つ。
「ただ、いくつかの町ではそれなりに顔が利くわよ。
私やダーリンなんかはね」
……さらりと師匠をダーリンに置き換える。
しかしここで二人はどういう関係? などと聞こうものなら
大変面倒なことになるので聞かない。
「でさ、聞いてくれる? ダーリンったら」
「あ、ライラロさんそういえばデイスペルへ行った事は?」
俺はさっと話を切り替える。さすがに慣れてきた。
「えっ? あるわよ? 私前々回優勝してるし」
「えーーー!? まじかよ師匠! 絶解呪の書持ってるのか?」
「ないわよ。そもそも絶解呪は優勝賞品じゃないわ。
ポイント交換用のスクロールアイテムよ」
「スクロールアイテム?」
「巻物の事ね。一回使ったら無くなるわ。それなりに貴重だけど」
「そうか、だからバウザーさんは景品って言ってたのか」
「優勝賞品が解呪系アイテムだったら参加者はがくっと減るでしょうけどね」
そりゃそうか。貴重とはいえ目玉商品ぽくない。
「今回の優勝賞品は何なんです?」
「さぁ。私は今回ダーリンと観戦組だからね。わからないわ」
「あ、ライラロさんも観戦されるんですね。師匠もだったのか」
「久しぶりにみんなで集まる予定なのよ。それぞれの弟子をつれてね」
「ということはかなり強い参加者が……」
「正直優勝は難しいと思うわよ。うふふ、楽しみだわぁ~。
無様な戦いしたら許さないわよバカ弟子!」
「俺様はバカじゃねぇ!」
メルザはむーんと少し怒った表情を浮かべる。
「あ、そうだわ。大会の場所までの引率は私がバウザーから任されたから。
注意点は聞いてるわね? はいこれ通行証」
「あ、ありがとうございます。そうだったんですね。
注意点は確か俺たちが三夜の町から来た事を伏せる。
ライデンという人から通行証をもらった事にする……でしたね」
そう言いつつ通行証を見る。
発行者の名前が ライデン・ガーランドと書いてあるな。
「そう。三夜の町は世界に公開されていない。
だからベルディスもあそこで店をやってるのよ。
あなたたちはベッツェンから来たことにしてね。
大会に行く途中寄ってくから」
事情はよくわからないが、通行証をもらえるだけでも有難い。
俺たちは頷いて、新天地に心躍らせるのだった。
話を終えて気付くと日が傾きかけていた。
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