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第一部 主と紡ぐ道 第一章 出会い編
第二十四話 それぞれの思い
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シーザーに散々打ちのめされた俺たちは、一度快鉄屋に戻る。
ニーメが出迎えてくれたが、ニーメ自身どうすべきなのかを考えていたようだった。
「おうガキ、言いつけ通りにその本を読んでいたようだな。
お前はこれから山のように勉強しなきゃならねえ。
ついでに俺の使い走りもだ」
ニーメは頷くと決意をあらわにする。
「ルイン兄ちゃん。僕暫くこの店で働かせてもらうよ。
パモを治せる薬とかあるかもしれないし、僕は僕なりに
みんなの力になりたいんだ」
俺は頷くとニーメの頭をなでた。
「おい小僧、お前にこいつを貸してやる。
呪いにかかったパルームを動かすにはこいつが必要だろう。
いいか、貸すだけだぞ。必ず返せ」
俺はゆりかごのような物を受け取った。かなり貴重な物なのだろう。
「その中に入れた物の時間を一時的に固定する物だ。
時術付与つきはまず見つからねぇ貴重なものだ。
死なないうちにさっさと持っていってやれ」
「っ! ありがとうございます。師匠」
「まだ大したことは教えてねぇよ……たく、調子狂うぜ」
そう言うとどこかシーザーは照れくさそうにしていた。
「私が持って行っていい? 急いで持って行きたいから」
俺はファナにカゴのようなものを手渡した。
「お前ら二人はどうする? このまま修行を始めてもいいが」
「師匠、一日待ってください。明日伺いますから。行こうメルザ」
メルザは喋らない。ずっと深刻な顔をしているままで見ていられなかった。
俺はメルザの手を引いて、二人だけになれる場所を探した。
そこは真なる夜のエリアの少し手前。
目の前には大きな木がある。スッパムの実がなっている木だ。
町の中にもあるんだな。
俺は木に登り、メルザを見下ろす。メルザは下をうつむいたままだ。
「メルザ、受け取ってくれ」
俺はそういうとスッパムの実をメルザに投げる。
「あ……スッパムだ。ルインがとってくれたスッパムだ」
そういうとメルザは下をうつむいたまま食べる。
ポタポタと地面に雫が落ちる。
「酸っぱいけど、美味いよ。町に来る途中いっぱい
パモにしまったっけ。あいつの中よ、きっとスッパムだらけだよな……」
「そうだな、パモもスッパム好きだから、きっと今頃夢の中で食べてるさ」
俺は木から降りるとメルザの頭に手を乗せる。
「メルザ、大丈夫だ。パモは必ず助かる。
あいつはもう俺たちの家族だ。決して見捨てたりしない。
それとな。ここは真なる夜のエリアだ。周りに声は響かない。
俺とお前の二人だけだ。
泣いたって誰にも聞こえやしないさ」
メルザはためていた全てを吐き出すように
俺にしがみつき声をあげて泣いた。
メルザが泣き止むまでずっと頭を撫でてやった。
昔の悲しい出来事のせいで、もう誰一人失いたくはないのだろう。
けれど、一人で寂しかったメルザには俺達という大切な仲間が出来た。
もう失わせたりはしない。
メルザが落ち着いてから二人で宿に戻ると、ファナがカゴに入れたパモを
心配そうに覗き込んでいる。
カゴの外に青白い光が溢れ、パモは死んでいるかのように
動かない。その空間だけ時間が止まっているかのようだ。
「こんなアイテムがあるとは驚きじゃのぅ……そして
お主たちも大変だったようじゃな」
「あぁ、カカシ。悪いがパモをしばらく見て欲しいんだ。
これから一度メルザの領域まで行こうと思う。
あそこならメルザの認めた者しか入れない。パモも安全だろ?」
「あぁ、俺様も一緒に行く。ゴサクにはパモを領域で見ていてほしい」
「うむ、わかった。領域に戻って出かけた後は、しばらく帰って来ない
んじゃろう? 他にわしに出来る事はあるかの?」
「領域に小麦を植えたんだが、収穫出来るか?」
「任せておけ。戻る頃には一杯用意しておくわい」
「私はニーメも心配だし、ここに残って先に修行しておくね。
それからせっちゃんにお願いして、この宿で働ける事になったわ。
だから私のお金の心配は必要ないよ。安心して」
ファナは早速とばかりにせっちゃんの元へ行く。
「メルザ、行こうか」
俺はパモのカゴを持つ。カカシもふわふわと後をついてくる。
町を出てジャンカの森を通りスムーズに領域まで戻る事が出来た。
それほど時間は経っていないのにメルザに連れてこられたこの場所が
ひどく懐かしい。
そういえばカカシはここに来るの初めてだったな。
本当は皆で来るはずだったが、予定が随分と変わってしまった。
購入した皿や鍋を部屋におき、パモを俺たちが寝ていた所に置く。
「待ってろよパモ。必ず治してやるからな!」
カカシに後のことを頼み別れを告げた。
湖の前まで歩くとメルザが立ち止まった。
「俺様はぜってぇ強くなる。必ずパモを救ってやる。
けど俺様一人じゃ全然ダメだ。だからその、これは誓いだ!
ルイン、ちょっとしゃがめ!」
なんかよくわからないが気合が入っているのはいい事だ。
俺は少しかがんで目線をメルザに合わせる。
メルザは俺にキスをした。
それは甘酸っぱいスッパムのような味だった。
メルザの顔は真っ赤だったが、いつものように可愛く笑っていた。
ニーメが出迎えてくれたが、ニーメ自身どうすべきなのかを考えていたようだった。
「おうガキ、言いつけ通りにその本を読んでいたようだな。
お前はこれから山のように勉強しなきゃならねえ。
ついでに俺の使い走りもだ」
ニーメは頷くと決意をあらわにする。
「ルイン兄ちゃん。僕暫くこの店で働かせてもらうよ。
パモを治せる薬とかあるかもしれないし、僕は僕なりに
みんなの力になりたいんだ」
俺は頷くとニーメの頭をなでた。
「おい小僧、お前にこいつを貸してやる。
呪いにかかったパルームを動かすにはこいつが必要だろう。
いいか、貸すだけだぞ。必ず返せ」
俺はゆりかごのような物を受け取った。かなり貴重な物なのだろう。
「その中に入れた物の時間を一時的に固定する物だ。
時術付与つきはまず見つからねぇ貴重なものだ。
死なないうちにさっさと持っていってやれ」
「っ! ありがとうございます。師匠」
「まだ大したことは教えてねぇよ……たく、調子狂うぜ」
そう言うとどこかシーザーは照れくさそうにしていた。
「私が持って行っていい? 急いで持って行きたいから」
俺はファナにカゴのようなものを手渡した。
「お前ら二人はどうする? このまま修行を始めてもいいが」
「師匠、一日待ってください。明日伺いますから。行こうメルザ」
メルザは喋らない。ずっと深刻な顔をしているままで見ていられなかった。
俺はメルザの手を引いて、二人だけになれる場所を探した。
そこは真なる夜のエリアの少し手前。
目の前には大きな木がある。スッパムの実がなっている木だ。
町の中にもあるんだな。
俺は木に登り、メルザを見下ろす。メルザは下をうつむいたままだ。
「メルザ、受け取ってくれ」
俺はそういうとスッパムの実をメルザに投げる。
「あ……スッパムだ。ルインがとってくれたスッパムだ」
そういうとメルザは下をうつむいたまま食べる。
ポタポタと地面に雫が落ちる。
「酸っぱいけど、美味いよ。町に来る途中いっぱい
パモにしまったっけ。あいつの中よ、きっとスッパムだらけだよな……」
「そうだな、パモもスッパム好きだから、きっと今頃夢の中で食べてるさ」
俺は木から降りるとメルザの頭に手を乗せる。
「メルザ、大丈夫だ。パモは必ず助かる。
あいつはもう俺たちの家族だ。決して見捨てたりしない。
それとな。ここは真なる夜のエリアだ。周りに声は響かない。
俺とお前の二人だけだ。
泣いたって誰にも聞こえやしないさ」
メルザはためていた全てを吐き出すように
俺にしがみつき声をあげて泣いた。
メルザが泣き止むまでずっと頭を撫でてやった。
昔の悲しい出来事のせいで、もう誰一人失いたくはないのだろう。
けれど、一人で寂しかったメルザには俺達という大切な仲間が出来た。
もう失わせたりはしない。
メルザが落ち着いてから二人で宿に戻ると、ファナがカゴに入れたパモを
心配そうに覗き込んでいる。
カゴの外に青白い光が溢れ、パモは死んでいるかのように
動かない。その空間だけ時間が止まっているかのようだ。
「こんなアイテムがあるとは驚きじゃのぅ……そして
お主たちも大変だったようじゃな」
「あぁ、カカシ。悪いがパモをしばらく見て欲しいんだ。
これから一度メルザの領域まで行こうと思う。
あそこならメルザの認めた者しか入れない。パモも安全だろ?」
「あぁ、俺様も一緒に行く。ゴサクにはパモを領域で見ていてほしい」
「うむ、わかった。領域に戻って出かけた後は、しばらく帰って来ない
んじゃろう? 他にわしに出来る事はあるかの?」
「領域に小麦を植えたんだが、収穫出来るか?」
「任せておけ。戻る頃には一杯用意しておくわい」
「私はニーメも心配だし、ここに残って先に修行しておくね。
それからせっちゃんにお願いして、この宿で働ける事になったわ。
だから私のお金の心配は必要ないよ。安心して」
ファナは早速とばかりにせっちゃんの元へ行く。
「メルザ、行こうか」
俺はパモのカゴを持つ。カカシもふわふわと後をついてくる。
町を出てジャンカの森を通りスムーズに領域まで戻る事が出来た。
それほど時間は経っていないのにメルザに連れてこられたこの場所が
ひどく懐かしい。
そういえばカカシはここに来るの初めてだったな。
本当は皆で来るはずだったが、予定が随分と変わってしまった。
購入した皿や鍋を部屋におき、パモを俺たちが寝ていた所に置く。
「待ってろよパモ。必ず治してやるからな!」
カカシに後のことを頼み別れを告げた。
湖の前まで歩くとメルザが立ち止まった。
「俺様はぜってぇ強くなる。必ずパモを救ってやる。
けど俺様一人じゃ全然ダメだ。だからその、これは誓いだ!
ルイン、ちょっとしゃがめ!」
なんかよくわからないが気合が入っているのはいい事だ。
俺は少しかがんで目線をメルザに合わせる。
メルザは俺にキスをした。
それは甘酸っぱいスッパムのような味だった。
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