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第一部 主と紡ぐ道 第一章 出会い編
第十五話 セサミの宿
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逃げそびれた俺達は、骨に部屋を案内される。
ベッドが二つにテーブルが一つ。椅子が一つある。
部屋の明かりは謎の物体がほのかに揺らめいて光っており、明るすぎず
暗すぎず空中を漂っている。
窓もついていて心地良い風が時折入ってくる。
「兵士の言ってた通り、部屋はきれいだな」
「なぁルイン、このベッドぽよんぽよんするぞ! 気持ちいな!」
「ぱーみゅぅ~ぱっぱ」
「わし、またマジックアイテム扱いされたわい……とほほ」
隅っこでカカシはしょげている。絵になるな。いや違ったどんまい!
俺はテーブルに地図を置いて、目的の場所を探すことにした。
「えーっとブルザの鍛冶屋、それからガンツの道具屋、換金所ブレナイに、自己啓発
の店シレン……まだまだ色々あるがまずは鍛冶屋だな。相場も確認しないとどの程度
買い物が出来るかわからないし」
「鍛冶屋って美味い物喰えるのか?」
「ぱみゅー?」
「いや、美味い物を作るために行くんだよ。
調理道具とか生活道具がないとこの先不便だからな」
メルザは飯屋じゃないからか、足をプラプラさせている。興味が失せたようだ。
「こないだ行ったガラポン洞窟あるだろう? あそこは行くたびに構造が変わる
みたいだから、準備してまた行こうぜ。そうすればお金も稼げるだろうし」
「おぉ、冒険だな! ルインとの冒険は楽しい! また行きたい!」
しばらく会話していると、部屋がノックされた。食事が出来たようだ。
「わしはここで待っておるよ。この地図を頭に叩き込んでおくわい」
そういうとカカシは地図の前に立ち眺め始めた。
俺たちはセサミの食事処【満腹】というのれんの場所へ入った。
広めの食事処でお客は結構いる。宿泊客以外にも食事を提供しているようだ。
「あらぁ、待ってたわよー。お酒もエールは一杯目、サービスだから飲んでいってね。
その間に料理を持ってくるわ!」
お酒か。メルザは飲めるのかな。パモが滅茶苦茶飲みたそうにしてる。
せっちゃんは三人前持ってきたから飲んでも平気なんだろう。
「へぇー、こいつがエールってやつか。なんかシュワシュワしてて
面白いけど苦い! でもなんかふわーっとしてくるなぁ……えへへ」
「ぱみゃあー……」
おいおい、どっちも一杯で酔ってないか? 俺も前世以来の久しぶりのお酒だ。
やっぱり美味いな。
「なぁメルザ。聞いてなかったんだがなんであそこに住んでるんだ?」
「俺様の話はまだ話した事が無かったな。これまでずっとバタバタしてたしよ。
俺様この辺の住民じゃないんだ。すごい遠くから来た……多分」
「多分って、どうやってここまで来たかわからないのか? と言ってもそれは俺もだけど」
「俺様が住んでたトコによ、超超でっかいサイクロプスが出てよ。この腕はその時に
消し飛ばされたんだ。一緒にいた奴は多分みんな死んだ。
俺様はそいつを討伐に来たっていうミディ竜騎士団ってのに助けられたんだよ」
初めて聞いたメルザの過去話。
巨大なサイクロプスか。
そしてそれを退ける古竜騎士団か。
「ただサイクロプスが思った以上に強かったせいか、そいつらも
散り散りになったみたいでよ。
一人が俺を離れた場所に逃がして、またどっかに行っちまったんだ。
腕の止血をしてくれたのもそいつなのかな。だからいつかお礼が言いたくてよ」
「その竜騎士が何処にいるかわからないのか?」
「わからねー。俺様の故郷もどの辺りなのかわからねー。
その後俺様は変な鳥に捕まってすごい距離を連れまわされて
この森に落とされたからな」
「そうか。それでこの森でガラポン蛇に遭遇したのか」
話しているといい匂いがしてきた。
「はい、お待たせよー。むっくりバードのソテーに
レニール貝の蒸し焼き。そっちはむっくりバードの卵スープよ。
主食はパン。パンはお代わり自由だから」
「うおー、美味そうだー!」
「ぱみゅー!ぱみみゅゅーっ!」
「お兄さんはお酒のお代わりどうかしら? お金はかかるけど味は保証するわよ」
「じゃあエールをもう一杯。メルザ達も飲むか?」
二人とも『おー!』 と手をあげる。
三人前を頼むとせっちゃんは厨房に戻ってエールを三つ抱えて戻ってきた。
余っている椅子に骨をかける。
「さて、この町の事や物の価格についてだったわね。詳しく話してあげる」
そういうとせっちゃんもエールを持ってきて飲み始めた。
こぼれないのか?
「この町が三つの夜でできているのは知っているかしら?」
「あぁ、明かりつき、賑わい祭り、真なるの三つだよな」
「そう、明かりつきは私のようなお店を持って営んでいるエリア。
賑わい祭りは露店が出ているわ。ここは許可さえ貰えれば誰でも物を売ることができるの。
あなたたちも申請を出せばここで物を売る事ができるわ」
一呼吸おいてせっちゃんはエールをぐいっと飲む。
酒は人が飲んでいるのをみると、自分も飲みたくなる。
俺もメルザもパモもぐいっと飲む。
「真なる夜は住民達のエリアね。ここは基本明かりが無いから
私のような夜でも活動できる種族しかいないわよ。人が近づくエリアじゃないわね」
「夜の種族っていうと?」
「スケルトン、モール、シャドーダイン、グレッグ、スキアーなどね」
それぞれの種族について聞いたが、やはり見てみないとなんともわからない。
とにかく近づかないようにすることにした。
それからおおよその物の価値をせっちゃんに聞いた。
話し終わる頃には料理も食べ終えた。
俺たちはせっちゃんに礼を言い、部屋に戻った。
ベッドが二つにテーブルが一つ。椅子が一つある。
部屋の明かりは謎の物体がほのかに揺らめいて光っており、明るすぎず
暗すぎず空中を漂っている。
窓もついていて心地良い風が時折入ってくる。
「兵士の言ってた通り、部屋はきれいだな」
「なぁルイン、このベッドぽよんぽよんするぞ! 気持ちいな!」
「ぱーみゅぅ~ぱっぱ」
「わし、またマジックアイテム扱いされたわい……とほほ」
隅っこでカカシはしょげている。絵になるな。いや違ったどんまい!
俺はテーブルに地図を置いて、目的の場所を探すことにした。
「えーっとブルザの鍛冶屋、それからガンツの道具屋、換金所ブレナイに、自己啓発
の店シレン……まだまだ色々あるがまずは鍛冶屋だな。相場も確認しないとどの程度
買い物が出来るかわからないし」
「鍛冶屋って美味い物喰えるのか?」
「ぱみゅー?」
「いや、美味い物を作るために行くんだよ。
調理道具とか生活道具がないとこの先不便だからな」
メルザは飯屋じゃないからか、足をプラプラさせている。興味が失せたようだ。
「こないだ行ったガラポン洞窟あるだろう? あそこは行くたびに構造が変わる
みたいだから、準備してまた行こうぜ。そうすればお金も稼げるだろうし」
「おぉ、冒険だな! ルインとの冒険は楽しい! また行きたい!」
しばらく会話していると、部屋がノックされた。食事が出来たようだ。
「わしはここで待っておるよ。この地図を頭に叩き込んでおくわい」
そういうとカカシは地図の前に立ち眺め始めた。
俺たちはセサミの食事処【満腹】というのれんの場所へ入った。
広めの食事処でお客は結構いる。宿泊客以外にも食事を提供しているようだ。
「あらぁ、待ってたわよー。お酒もエールは一杯目、サービスだから飲んでいってね。
その間に料理を持ってくるわ!」
お酒か。メルザは飲めるのかな。パモが滅茶苦茶飲みたそうにしてる。
せっちゃんは三人前持ってきたから飲んでも平気なんだろう。
「へぇー、こいつがエールってやつか。なんかシュワシュワしてて
面白いけど苦い! でもなんかふわーっとしてくるなぁ……えへへ」
「ぱみゃあー……」
おいおい、どっちも一杯で酔ってないか? 俺も前世以来の久しぶりのお酒だ。
やっぱり美味いな。
「なぁメルザ。聞いてなかったんだがなんであそこに住んでるんだ?」
「俺様の話はまだ話した事が無かったな。これまでずっとバタバタしてたしよ。
俺様この辺の住民じゃないんだ。すごい遠くから来た……多分」
「多分って、どうやってここまで来たかわからないのか? と言ってもそれは俺もだけど」
「俺様が住んでたトコによ、超超でっかいサイクロプスが出てよ。この腕はその時に
消し飛ばされたんだ。一緒にいた奴は多分みんな死んだ。
俺様はそいつを討伐に来たっていうミディ竜騎士団ってのに助けられたんだよ」
初めて聞いたメルザの過去話。
巨大なサイクロプスか。
そしてそれを退ける古竜騎士団か。
「ただサイクロプスが思った以上に強かったせいか、そいつらも
散り散りになったみたいでよ。
一人が俺を離れた場所に逃がして、またどっかに行っちまったんだ。
腕の止血をしてくれたのもそいつなのかな。だからいつかお礼が言いたくてよ」
「その竜騎士が何処にいるかわからないのか?」
「わからねー。俺様の故郷もどの辺りなのかわからねー。
その後俺様は変な鳥に捕まってすごい距離を連れまわされて
この森に落とされたからな」
「そうか。それでこの森でガラポン蛇に遭遇したのか」
話しているといい匂いがしてきた。
「はい、お待たせよー。むっくりバードのソテーに
レニール貝の蒸し焼き。そっちはむっくりバードの卵スープよ。
主食はパン。パンはお代わり自由だから」
「うおー、美味そうだー!」
「ぱみゅー!ぱみみゅゅーっ!」
「お兄さんはお酒のお代わりどうかしら? お金はかかるけど味は保証するわよ」
「じゃあエールをもう一杯。メルザ達も飲むか?」
二人とも『おー!』 と手をあげる。
三人前を頼むとせっちゃんは厨房に戻ってエールを三つ抱えて戻ってきた。
余っている椅子に骨をかける。
「さて、この町の事や物の価格についてだったわね。詳しく話してあげる」
そういうとせっちゃんもエールを持ってきて飲み始めた。
こぼれないのか?
「この町が三つの夜でできているのは知っているかしら?」
「あぁ、明かりつき、賑わい祭り、真なるの三つだよな」
「そう、明かりつきは私のようなお店を持って営んでいるエリア。
賑わい祭りは露店が出ているわ。ここは許可さえ貰えれば誰でも物を売ることができるの。
あなたたちも申請を出せばここで物を売る事ができるわ」
一呼吸おいてせっちゃんはエールをぐいっと飲む。
酒は人が飲んでいるのをみると、自分も飲みたくなる。
俺もメルザもパモもぐいっと飲む。
「真なる夜は住民達のエリアね。ここは基本明かりが無いから
私のような夜でも活動できる種族しかいないわよ。人が近づくエリアじゃないわね」
「夜の種族っていうと?」
「スケルトン、モール、シャドーダイン、グレッグ、スキアーなどね」
それぞれの種族について聞いたが、やはり見てみないとなんともわからない。
とにかく近づかないようにすることにした。
それからおおよその物の価値をせっちゃんに聞いた。
話し終わる頃には料理も食べ終えた。
俺たちはせっちゃんに礼を言い、部屋に戻った。
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