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第一部 主と紡ぐ道 第一章 出会い編

第二話 ルインは子分

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「んー、あぁ……おあよー。ふぁぁー。おやすみ」

 寝ぼけているのかメルザはまた寝てしまう。

「おい! そのまま寝るな! 起きろ! ていうか女の子だったのか? 起きろよメルザ!」
「うるさーぃぃ。俺様の眠りをさまたげんなぁー、すやすや」
 メルザのケリが俺に炸裂して吹っ飛ぶ。
 弱っている身体にこのケリは痛いし酷い……と思ったがあんまり痛くなかった。 

 俺の身体ってもっとひょろひょろだったような気がしたんだが、実際見てみるとそうでもないな。

 仕方がない。起きるまで待つか。
 前世でスープ位作ったことがあるし、俺が代わりにスープでも作ろう。

 そう思い台所を探したが見当たらない。
 火を起こす場所があっても道具などがない。

「どうやってスープ作ったんだ? まさか木をこすって火を起こしてたのか? ライターとかチャッカマンみたいなのもないし。
マッチすらないや」

 そう呟きながら俺は周囲を見回す。

 本当に何も無いな、ここは。 
 毛布と多少食べられそうなものが転がってるくらいだ。

 メルザはこんな場所で一人で暮らしていたんだろうか? 親はどうしたんだろう。 
 それにメルザの左腕は……そう考えていると、メルザは起きたようだ。
 遠くで「んあーよく寝たぜー」と言っている声が聞こえた。

「メルザ、おはよう。ちゃんと起きたか?」
「あー……おー、ルイン! お前見えるようになったんだな! よかったよかった! けどお前そんな身体つきだったか? まぁいいけどよ。たくましいほうがこれから先ばっちり仕事出来るしな!」
 
そういうとメルザはニハハ! と笑った。
 
 本当底抜けに明るいな。
 そんなメルザの明るさと優しさに、俺は救われたのかも知れない。

「改めてメルザ、ありがとう。けど自分の腕をまず治さないと。
あの玉で治るんだろ? その腕も」
「さっき使っちまっただろ? もうねぇよ、あの玉は。言っただろ、一回きりって。手に入れるのに苦労したんだよあの玉。
他にもあるかどうかも知らねぇしな」
「なんでそんな大事なの、自分のために使わなかったんだ? 
メルザだって片腕じゃどう考えても生活は大変だろ!?」

 俺はそう尋ねたが、もうわかってしまった気がした。

「だって、お前両目が見えないのなんて大変すぎるだろ? 俺様の顔もわからねーしよ。
腕は片方あるからよ。だから気にすんな! 今後はお前がいるから両手じゃねーと
出来ない事もできるしな」

 再び笑うメルザ。

「メルザ。俺はお前の子分として出来る限りのことはする。
親に捨てられたばかりで拾われるとは思ってなかった。
これからは俺がメルザを支える!」

「おう! まずは食料の確保からだな。ねぐらも小せーしよ。
色々やる事はあるぜ! まずは飯だ!」

 そういうと火を起こしていたという場所にメルザは走っていった。

「俺も手伝うよ! って……はぁ?!」

 メルザは右手の親指と中指でパチリと木に火を付けていた……どうなってるんだ? 
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