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アルベルト・バーンシュタインその8:アルベルト、王様になる
俺はまだ酔ってないし頭おかしくないし気が狂ったわけでもない
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ユラから拷問を受けた後、俺は罰としてこいつをあちこち連れ回すことにした。っつうか俺に同行してんだから最初っから言うこと聞いてろって話だ。
「もう、そんなに怒らないでくださいよ。謝ってるじゃないですかー」
「謝って済む問題かぁああああっ!」
ユラの一言に俺の怒りは沸点ぶっちぎって大爆発。火山噴火のような怒鳴り声を叩きつけてやる。
「だからこうやって、アルベルトさんが不特定多数の女性と性交渉したいっていうリスクありまくりの行動に、仕方なく付き合ってあげますって言ってるじゃないですか」
「それは元から俺のライフワークなんだからてめえは最初っから黙って付き合えって何度も言ってんだろっ!!」
既に何度も繰り返されているやり取りを懲りずに俺たちはまーたやっていた。ユラのアホは物覚えが悪過ぎて俺の言うことをいっつも忘れやがる。
俺の行動の第一原理は女とヤる。これだ。ここ最近、全くヤれてねえのがおかしい。それもこれもあれもどれも全部何もかも俺以外の全てのせいだ、むかつくったらねえぜ!!
「だぁあああああああああああああっ!!」
「あーもう癇癪起こしちゃだめですよ、アルベルトさん」
あまりのストレスに俺は絶叫。痴呆か、頭おかしい患者を相手にする医者みたいなことをユラが言ってきやがって余計に腹が立つ。絶叫ついでに地面に転がってごろごろごろごろ回りまくる。がんっ、と音がして頭を打つ。いてえ。木に頭をぶつけた。
「あぁああああああああああああああっ!!」
「木を叩いてもどうにもなりませんってば」
叫びながら木に拳を打ちつける俺。止めようとするユラ。どう見ても頭がおかしいやつとその介護者だ。
別に俺は頭がおかしくなったわけじゃねえ。なったわけじゃねえがこのむかつく木をへし折らねえと気が済まねえ。そんな気分になっちまったからぶっ叩いてるだけだ。
「うぉおおおおおおおおおおおおっ!!」
「あーちょっと! 手から血が出てますって!」
出血なんぞお構いなし。どうせユラが治す。腕だって生やせるんだから出血なんかどうだっていいだろうが!!
「マスターがストレスでおかしくなっちゃったわね」
「2号さぁん。そのへんで女の人見つけてきてくださいよぉ」
「しょうがないのう。こんな森の中におるか分からんが探してみよう」
2号の子機が勝手にどっか行き始める。一方の俺は木にかじりついているのをユラに止められていた。
「1号さーん、アルベルトさん引き剥がしてくださーい!」
「はいはい。ほんとしょうがないマスターね」
命令してもないのに1号が触手を出して俺を木から引っぺがす。むかつく。なんだか知らねえがとにかくむかつく。
「うぉおおおおおおおおおおおっ!!」
「はいはい暴れないの」
両手足をじたばたさせるが1号の触手の前には無力。だがそんなことは関係ねえ。俺は暴れたくてしょうがねえから暴れてるんだ、邪魔するんじゃねえ。
「可愛いわねえマスターは」
触手が頭を撫でてくる。こいつはたまにこうやって俺を愛でてくるときがあるが、今はどうでもいい。
「7号もちょっとマスターに我慢させすぎたみたいね」
「どうやらそうみたいですね。アルベルトさんがダメダメなのは知ってましたけど、こんなに暴れるようになるほどなんて……正直びっくりです」
「交尾したいならあたしがしてあげるのにねー」
「6号さんは大きすぎて大変ですから」
「私もできますよぉ」
「お花さんは動物じゃなく植物なので……」
「うぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
「あーもう、まだ暴れて……鎮静剤でも打ちましょうかね」
「それなら私の花粉でやりましょうかぁ?」
「吾輩の催眠でも」
「鎮静剤とやらは美味いのか?」
「お、雌を見つけたぞ」
2号の報告に俺の身体がびたっと止まって即座に視界共有に移る。子機のどれか知らないが確かに女を映していた。旅人用のローブを身に纏った青黒い肌の女だ。“お、こいつは魔族じゃねえか、珍しいな。顔も気に入った早速行くぞ、とっとと離せ!”とでも言ってさっさと移動しよう。
「女だぁあああああああああああああああああっ!!」
「はいはい。このまま運んであげるわよ」
「アルベルトさん本当に大丈夫ですかね。やっぱり鎮静剤を」
「そんなの打ったら交尾できなくなって余計に発狂するわよ」
「先にわっちが出ていって捕まえておこうかのう」
「吾輩の方が速いぞ?」
「は? わっちの方が速いが??」
「では競走するか」
「いいじゃろう受けて立つ! 勝った方がマスターに褒めてもらうのじゃ!」
§§§§
なんか気がついたら目の前に、2号に踏みつけられてる魔族の女がいた。
「むふー。どうじゃ、わっちの方が速いじゃろ」
「木々の間をあんなに速くすり抜けるとは驚いたのだ」
2号と4号がなんか話してるがなんのことかはさっぱりだ。微妙に直前までの記憶がない。
「に、人間か」
魔族の女が俺のことを見てきている。ちょっと具合が悪そうにも見えるな。
「この人、なんだか息が荒いですね。熱でもあるんでしょうか?」
「病気持ちは流石に勘弁してほしいな。ユラ、お前治せるか?」
性病ばっかりは俺もごめんだった。しかも魔族の性病が人間にうつるとどうなるかも分からねえ。
治せるかどうかを一応ユラに聞いてみると、急に首を傾げやがった。
「あれ。アルベルトさん、いつの間に正気に戻ったんです?」
わけの分からねえことを言ってやがる。
「いつの間にも何も、俺はずっと正気だろうが」
「さっきまで自分が何してたか覚えてますか?」
「え、いや……」
思い出そうとしてもどうにも無理だった。頭がいてえからどっかで打ったか?
「1号さんの触手に噛み付いてましたよ」
ユラの言葉に俺は余計に混乱した。なんだその意味の分からねえ行動は。
「は? 俺がそんなことするわけねえだろうが。噛み付いてどうすんだよ」
「してたわよ。痛くないし、むしろ可愛かったけど」
否定する俺をさらに1号が否定。何が可愛いのかも分からねえしなんでそんな頭のおかしいことを、俺がやっていた、とこいつらが主張するかも意味不明。
結論、無視だ無視。そんなことより女がいるってのが最重要だ。
「そこの人間の男、私に何の用だ……」
息を荒くしている魔族の女がタイミングよく話しかけてきた。久々にテンションが上がる。俺は極上の笑みを作ってやった。
「何ってそりゃあナニよ。俺はお前の身体にすげー用事があるんだよ」
「……それは本当か?」
一瞬、女が驚いた顔をしたがすぐに平静というか元の表情に戻る。
なんで疑うんだよこいつ。やっぱり病気持ちか?
「おいユラ。こいつのこと調べられねえのか?」
「病気とかではなさそうなんですが……えっと……」
「なんだよ、はっきり言えよ」
変に言い淀むユラ。両手でキャスケット帽をぐっと引っ張ってる。照れてるときのサインだ。何を照れることがあるんだ?
「くんくん。この雌、発情しておるの」
「うむ。どうやら呪いか何かを受けているようなのだ」
2号が匂いで、4号が魔力探知から女の異変の正体を探り当てた。ユラが恥ずかしがっていたのはこれが理由か。
「あぁ、そのとおりだ……おかげで……っ……身体が、うずくんだ」
「……え、マジ?」
あまりの出来事に俺の口が開きっぱなしになる。そんな幸運あるのか。
「だから人間の男、頼みがある」
「お、おう」
「私を……犯してくれないか」
──マジ?
「もう、そんなに怒らないでくださいよ。謝ってるじゃないですかー」
「謝って済む問題かぁああああっ!」
ユラの一言に俺の怒りは沸点ぶっちぎって大爆発。火山噴火のような怒鳴り声を叩きつけてやる。
「だからこうやって、アルベルトさんが不特定多数の女性と性交渉したいっていうリスクありまくりの行動に、仕方なく付き合ってあげますって言ってるじゃないですか」
「それは元から俺のライフワークなんだからてめえは最初っから黙って付き合えって何度も言ってんだろっ!!」
既に何度も繰り返されているやり取りを懲りずに俺たちはまーたやっていた。ユラのアホは物覚えが悪過ぎて俺の言うことをいっつも忘れやがる。
俺の行動の第一原理は女とヤる。これだ。ここ最近、全くヤれてねえのがおかしい。それもこれもあれもどれも全部何もかも俺以外の全てのせいだ、むかつくったらねえぜ!!
「だぁあああああああああああああっ!!」
「あーもう癇癪起こしちゃだめですよ、アルベルトさん」
あまりのストレスに俺は絶叫。痴呆か、頭おかしい患者を相手にする医者みたいなことをユラが言ってきやがって余計に腹が立つ。絶叫ついでに地面に転がってごろごろごろごろ回りまくる。がんっ、と音がして頭を打つ。いてえ。木に頭をぶつけた。
「あぁああああああああああああああっ!!」
「木を叩いてもどうにもなりませんってば」
叫びながら木に拳を打ちつける俺。止めようとするユラ。どう見ても頭がおかしいやつとその介護者だ。
別に俺は頭がおかしくなったわけじゃねえ。なったわけじゃねえがこのむかつく木をへし折らねえと気が済まねえ。そんな気分になっちまったからぶっ叩いてるだけだ。
「うぉおおおおおおおおおおおおっ!!」
「あーちょっと! 手から血が出てますって!」
出血なんぞお構いなし。どうせユラが治す。腕だって生やせるんだから出血なんかどうだっていいだろうが!!
「マスターがストレスでおかしくなっちゃったわね」
「2号さぁん。そのへんで女の人見つけてきてくださいよぉ」
「しょうがないのう。こんな森の中におるか分からんが探してみよう」
2号の子機が勝手にどっか行き始める。一方の俺は木にかじりついているのをユラに止められていた。
「1号さーん、アルベルトさん引き剥がしてくださーい!」
「はいはい。ほんとしょうがないマスターね」
命令してもないのに1号が触手を出して俺を木から引っぺがす。むかつく。なんだか知らねえがとにかくむかつく。
「うぉおおおおおおおおおおおっ!!」
「はいはい暴れないの」
両手足をじたばたさせるが1号の触手の前には無力。だがそんなことは関係ねえ。俺は暴れたくてしょうがねえから暴れてるんだ、邪魔するんじゃねえ。
「可愛いわねえマスターは」
触手が頭を撫でてくる。こいつはたまにこうやって俺を愛でてくるときがあるが、今はどうでもいい。
「7号もちょっとマスターに我慢させすぎたみたいね」
「どうやらそうみたいですね。アルベルトさんがダメダメなのは知ってましたけど、こんなに暴れるようになるほどなんて……正直びっくりです」
「交尾したいならあたしがしてあげるのにねー」
「6号さんは大きすぎて大変ですから」
「私もできますよぉ」
「お花さんは動物じゃなく植物なので……」
「うぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
「あーもう、まだ暴れて……鎮静剤でも打ちましょうかね」
「それなら私の花粉でやりましょうかぁ?」
「吾輩の催眠でも」
「鎮静剤とやらは美味いのか?」
「お、雌を見つけたぞ」
2号の報告に俺の身体がびたっと止まって即座に視界共有に移る。子機のどれか知らないが確かに女を映していた。旅人用のローブを身に纏った青黒い肌の女だ。“お、こいつは魔族じゃねえか、珍しいな。顔も気に入った早速行くぞ、とっとと離せ!”とでも言ってさっさと移動しよう。
「女だぁあああああああああああああああああっ!!」
「はいはい。このまま運んであげるわよ」
「アルベルトさん本当に大丈夫ですかね。やっぱり鎮静剤を」
「そんなの打ったら交尾できなくなって余計に発狂するわよ」
「先にわっちが出ていって捕まえておこうかのう」
「吾輩の方が速いぞ?」
「は? わっちの方が速いが??」
「では競走するか」
「いいじゃろう受けて立つ! 勝った方がマスターに褒めてもらうのじゃ!」
§§§§
なんか気がついたら目の前に、2号に踏みつけられてる魔族の女がいた。
「むふー。どうじゃ、わっちの方が速いじゃろ」
「木々の間をあんなに速くすり抜けるとは驚いたのだ」
2号と4号がなんか話してるがなんのことかはさっぱりだ。微妙に直前までの記憶がない。
「に、人間か」
魔族の女が俺のことを見てきている。ちょっと具合が悪そうにも見えるな。
「この人、なんだか息が荒いですね。熱でもあるんでしょうか?」
「病気持ちは流石に勘弁してほしいな。ユラ、お前治せるか?」
性病ばっかりは俺もごめんだった。しかも魔族の性病が人間にうつるとどうなるかも分からねえ。
治せるかどうかを一応ユラに聞いてみると、急に首を傾げやがった。
「あれ。アルベルトさん、いつの間に正気に戻ったんです?」
わけの分からねえことを言ってやがる。
「いつの間にも何も、俺はずっと正気だろうが」
「さっきまで自分が何してたか覚えてますか?」
「え、いや……」
思い出そうとしてもどうにも無理だった。頭がいてえからどっかで打ったか?
「1号さんの触手に噛み付いてましたよ」
ユラの言葉に俺は余計に混乱した。なんだその意味の分からねえ行動は。
「は? 俺がそんなことするわけねえだろうが。噛み付いてどうすんだよ」
「してたわよ。痛くないし、むしろ可愛かったけど」
否定する俺をさらに1号が否定。何が可愛いのかも分からねえしなんでそんな頭のおかしいことを、俺がやっていた、とこいつらが主張するかも意味不明。
結論、無視だ無視。そんなことより女がいるってのが最重要だ。
「そこの人間の男、私に何の用だ……」
息を荒くしている魔族の女がタイミングよく話しかけてきた。久々にテンションが上がる。俺は極上の笑みを作ってやった。
「何ってそりゃあナニよ。俺はお前の身体にすげー用事があるんだよ」
「……それは本当か?」
一瞬、女が驚いた顔をしたがすぐに平静というか元の表情に戻る。
なんで疑うんだよこいつ。やっぱり病気持ちか?
「おいユラ。こいつのこと調べられねえのか?」
「病気とかではなさそうなんですが……えっと……」
「なんだよ、はっきり言えよ」
変に言い淀むユラ。両手でキャスケット帽をぐっと引っ張ってる。照れてるときのサインだ。何を照れることがあるんだ?
「くんくん。この雌、発情しておるの」
「うむ。どうやら呪いか何かを受けているようなのだ」
2号が匂いで、4号が魔力探知から女の異変の正体を探り当てた。ユラが恥ずかしがっていたのはこれが理由か。
「あぁ、そのとおりだ……おかげで……っ……身体が、うずくんだ」
「……え、マジ?」
あまりの出来事に俺の口が開きっぱなしになる。そんな幸運あるのか。
「だから人間の男、頼みがある」
「お、おう」
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