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アルベルト・バーンシュタインその7:地獄の1日

今回の恐ろしい結末

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 ──そろそろ旅立つ2人を背景にスタッフロールが流れてる頃か?
 お前ら考えたことねえか。悪役がぐるぐる巻きにされたり吹っ飛ばされたり孤島に放り出されたりした後、どうなったかってのをよ。これからそれを見せてやるよ。

「んぎぎぎぎぎぎぎぎ!!」

 俺の全身の筋肉が膨張したような感じになって鎖を引きちぎろうとする。無理だった。それどころか1号で引っ張ろうが2号で噛もうが4号の光線で焼こうが、それどころか霧で食おうが鎖は何ともならなかった。
 7号━━ユラもメスで削ろうとしたが全く削れなかった。破片さえこぼれない。
 このままじゃ俺は鎖に巻き付かれたまま永遠に出番がなくなっちまう。

「これはどうにもなりませんね」
「なりませんね、じゃなくてどうにかするんだよ!! このままじゃ悪事とかどうとかじゃなくて生きていけねえじゃねえか!!」
「あの人たちの口ぶりとかから察するに、時間経過で消えそうではありますけどね」
「そんな不確かなもの待ってられるか!!」

 ユラの予想は多分正しいと俺も分かっちゃいるんだが、その時間とやらがどれぐらいか分からないし今のままじゃトイレにも行けやしねえ。一刻も早くなんとかしねえと。
 しかし方法がない。マジで何もない。最悪、6号でもなんともならねえんじゃねえか?
 考えている俺にユラが聞いてくる。

「アルベルトさん、今すぐどうにかしたいですか?」
「当たり前なこと聞いてんじゃねえよ。そんなこと聞く暇あるならなんか考えろ」
「僕、なんとかできますよ」
「じゃあ早くしろ!!」

 芋虫みたいにうねうね暴れる俺に、ユラはカバンから板っきれを取り出した。

「そんなもんが何の役に立つんだよ」
「これ、噛んでてください」

 は? 噛む? 木の板を? 噛んだら解けるってことか?
 何を言ってるんだこいつは、と当然俺は思った。木の板を噛むなんて状況、滅多にねえよ。そんなの大昔に怪我の治療をするときに──。
 あ。俺の額から大量の汗が流れる。

「お、おい待て。まさかお前」
「大丈夫ですって早めに終わらせますから。はい」

 喋ってる最中の俺の口に板が突っ込まれる。

「ちょっと待てふざけんなお前!!」
「暴れないでくださいよ。あ、1号さん、アルベルトさん押さえててください」
「いいわよ」

 いいわよ、じゃねえ! 1号はこれからユラが何をしようとしてるか分かってない。にも関わらず俺の全身が触手で巻き取られて固定された。

「1号今すぐこれ解け!! こいつとんでもないことしようとしてるんだぞ!!」
「なんとかなるって言ってるんだからいいじゃない。ほら暴れないの」

 ユラがメスを鎖にではなく俺の二の腕に当てる。簡単に軍服が切り裂かれて皮膚が露出。そこにもメスが当てられる。金属特有のひんやりとした感触がする。悍ましさのあまり身体が震えてきた。

「な、なぁユラ、冗談だよな? マジでやったりしねえよな? な?」
「大丈夫ですってアルベルトさん。ちょっと痛いですけど死んだりしませんし、腕はあとで治せますから、ね?」

 満面の笑みでユラは俺に死刑宣告をしてきた。こいつ、冗談じゃねえマジだ。

「ちょっと待て俺はそんな手術に同意はして、あぁあああああああああああああああああああああああ!!」

 夜空に俺の絶叫が響き渡る。
 ──麻酔なしの外科手術。それの正式名称は拷問だろう。やっぱりこいつ、俺が助かる結果のためには過程をどうでもいいと思っていやがった。
 じゃあ、またな。俺が痛みで精神崩壊してなかったらだが。
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