純白のガンブレイダー 〜TSアルビノ美少女、産廃職でエンジョイプレイします〜

神無フム

文字の大きさ
上 下
37 / 68

家なきガーディアンズ

しおりを挟む
「いやぁ……今日は良いものが見れたな。取れ高はあそこがピークだったんじゃないか?」

「ふふふ、可愛すぎて緩んだ頬が元に戻らないわ」

「もー、忘れてくれないかなぁ……」

 モンスターを両断した後、親友二人に対し頬を軽く膨らませる。
 クール顔のシース姉さん以外は、全員ニコニコと満面の笑みを浮かべていた。

 ボス前に全体の士気が高いのは、とても良いことだ。
 でも大多数の人達を前にして、しょうもないドジをしたボクのメンタルはボロボロだった。

 左肩に乗っているメタちゃんは、そんなボクの頭をなでて慰めてくれる。
 今度から噛んだ人って思われるんだろうな。トホホ……。

 とはいえ今は戦地のど真ん中。
 ずっと悩んでいてもしょうがない。
 気合を入れ直したボクは、螺旋状らせんじょうの緩やかな坂道に立ち塞がる敵を切り捨てる。

 それからボスフロアを目指す。
 長い下りの通路を進むこと数分後。
 大きな穴を見下ろしたら、ようやく地面を確認できるところまで来た。

 だが下に向かうにつれて敵も強くなるらしい。
 遠方からでも視認できるくらい通路に立ち塞がる、複数のジェネラル級モンスターが進路先で待ち構えていた。

 漆黒に染まった個体はどれも強化個体。
 中々に面倒そうな圧を放っている。

 ──ちょっと面倒そうだし、ここは無属性の砲撃で一気に消し飛ばそう。

 即決したボクは、ガンソードの切っ先を敵の集団に向ける。
 十字架の陣を切っ先に展開。
 トリガーに掛けた指を引き絞ろうとしたら。

「うわ!?」

「メタメタ!?」

 目の前の地面が淡い光を放つ。
 そこから五体のガーディアンが姿を現した。
 突然の出現にビックリして、危うく撃ちそうになった砲撃を慌てて中断する。

 汚染された個体かと一瞬だけ警戒するが、よく観察すると彼等のボディは真っ白だった。
 バグに汚染された個体は、大体黒一色のはず。

 つまりアレは先週、自分が正常に戻したガーディアン達の可能性が高い。
 背を向けたまま集団の先頭にいる角付きは、ガトリングの銃口を敵に受けた。

 ブゥゥゥンと機関銃特有の継続した銃声が通路全体に響き渡る。
 大量の薬莢やっきょうがガトリングから吐き出され、地面を転がり光の粒子となり。

 秒間数十発もの弾丸を受けたモンスター達は、あっという間に通路から消えた。
 敵を排除した後、こちらを向いてガーディアンは誇らしげに胸を張る。

『合流した仲間と援軍に来ました。マイ、マスター』

「マスターって、もしかしてボクのこと?」

『イエス、オフコース』

「な、なんで……?」

『アレからこの世界の状況を調べたのですが、生産システムだけ機能していてマザーシステムは完全に破壊されていました。つまり我々は主なき家なし子です』

「家なし子……」

『はい、そこで恩人であり小動物のように可愛らしいシエル様に、我々を雇用してもらいたく参上いたしました。これから役に立つ姿を見せますので、なんでもご命令ください』

 そんな安易な理由で、自身の主人を決めてしまって良いのだろうか。
 しかも後方にいるガーディアン達も、貴女がマスターだと言わんばかりに揃って拍手をしている。

「……キミ達を元に戻したのはボクだし、一方的にバイバイってするのは可哀そうだから仕方ないか。良いよ、ボクが引き取ってあげる」

 今からどんな変化をしているか未知数のボスと戦うのだ、ここで援軍に来てくれたのは大歓迎である。
 承諾したらメニュー画面が開かれる。
 使い魔の〈メタルスライム〉の横に〈ガーディアン〉✕5が追加された。

「メタ~」

『先輩、よろしくお願いします』

 使い魔にも先輩後輩の設定があるらしい。
 ガーディアンはメタちゃんに敬語で接する。
 この子も受け入れているし、ログアウト時に一人じゃなくなるから丁度良かったかもしれない。

 シース姉さん達にも紹介しようと振り返ったボクは、ふと生配信している事を思い出した。
 こ、これは不味い。ユニーク大好きゲーマー達がこんな現場を見て黙っている訳がない。

 チラッとソフィアさんを見たら、ガーディアン参戦で案の定コメントが爆速で流れている。
 内容はミュートになっている件だった。
 どうやらガーディアンが出てきたタイミングで、此方からの音を止めたらしい。

 彼女はそれを前にして、慣れているのか笑顔で申し訳なさそうに説明した。

「すみません、ちょっとトラブルで音が入ってなかったみたいです。あのガーディアン達は何かって?
 ああ、あれでしたらクエストの特別助っ人ですよ。私もすごくビックリしてます」

 そこから数回のやり取りをしただけで、視聴者たちの質問は終わる。
 今度は羨ましがったり、ガーディアン参戦を面白いと評する人達のコメントが流れていた。

 一仕事終えたソフィアさんは、チャット欄を閉じて可愛らしく微笑んだ。
 アレだけの数を相手にしたのに全く動じていない。
 流石は世界トップチームの広報担当といった感じ。

 従姉は彼女に労いの言葉を掛けた後、待機しているガーディアンに歩み寄った。

「シースだ、シエルの従姉として力添えに感謝する」

『おお、強者のSPIRITをビシバシ感じます。下僕としてこれからはキリキリ働かせてもらいマース』

「第一層のカンストが四体に加えて、最強のプレイヤーに近いステータスの角付きが一体か、中々の戦力だな」

『イエス。助けてもらった御恩を返す為なら、カミカゼ特攻も辞さないデース』

 プレイヤーの使い魔は死んでもロストされず、24時間後に復活することができる。
 だから彼は使い捨てのコマとして、ボクに扱われる事を覚悟しているようだけど。

「ボクは安易に死ぬのは許さないよ。メタちゃんだって、ベータの時から一度も死なせてないんだから」

『それはご命令でしょうか?』

「命令だよ。、これは絶対遵守だからね」

『了解しました。マスターの命令を全身全霊で完遂してみせます』

 ビシッと敬礼をするガーディアンに、シース姉さんは肩をすくめた。

「シエルは、あの時から変わらないな」

「これがボクのプレイスタイルだからね」

「わかった。……ではボスフロアも後少しで到着する。これより全員、命を大事に行くぞ!」

 従姉の号令に全員が『了解』と短く答える。
 さて、いよいよ後数分くらい進めば、この第一階層のボスが待つエリアに着く。

 最強メンバーに更なる強力な助っ人を得たボク達は、視認できる所まで来たボスフロアを目指し進んだ。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【本格ハードSF】人類は孤独ではなかった――タイタン探査が明らかにした新たな知性との邂逅

シャーロット
SF
土星の謎めいた衛星タイタン。その氷と液体メタンに覆われた湖の底で、独自の知性体「エリディアン」が進化を遂げていた。透き通った体を持つ彼らは、精緻な振動を通じてコミュニケーションを取り、環境を形作ることで「共鳴」という文化を育んできた。しかし、その平穏な世界に、人類の探査機が到着したことで大きな転機が訪れる。 探査機が発するリズミカルな振動はエリディアンたちの関心を引き、慎重なやり取りが始まる。これが、異なる文明同士の架け橋となる最初の一歩だった。「エンデュランスII号」の探査チームはエリディアンの振動信号を解読し、応答を送り返すことで対話を試みる。エリディアンたちは興味を抱きつつも警戒を続けながら、人類との画期的な知識交換を進める。 その後、人類は振動を光のパターンに変換できる「光の道具」をエリディアンに提供する。この装置は、彼らのコミュニケーション方法を再定義し、文化の可能性を飛躍的に拡大させるものだった。エリディアンたちはこの道具を受け入れ、新たな形でネットワークを調和させながら、光と振動の新しい次元を発見していく。 エリディアンがこうした革新を適応し、統合していく中で、人類はその変化を見守り、知識の共有がもたらす可能性の大きさに驚嘆する。同時に、彼らが自然現象を調和させる能力、たとえばタイタン地震を振動によって抑える力は、人類の理解を超えた生物学的・文化的な深みを示している。 この「ファーストコンタクト」の物語は、共存や進化、そして異なる知性体がもたらす無限の可能性を探るものだ。光と振動の共鳴が、2つの文明が未知へ挑む新たな時代の幕開けを象徴し、互いの好奇心と尊敬、希望に満ちた未来を切り開いていく。 -- プロモーション用の動画を作成しました。 オリジナルの画像をオリジナルの音楽で紹介しています。 https://www.youtube.com/watch?v=G_FW_nUXZiQ

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武

潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?

処理中です...