ミネ

文字の大きさ
上 下
13 / 36

13

しおりを挟む
 真夏のうだるような暑さの中、二度目の発情期がやってきた。兆候が現れた時に緊急抑制剤を打ったが効果は現れず、神楽と法正を頼る方が発情期の悶えるような性欲から解放されるのだと知った。

 今は夏休みで、神楽は部活中で連絡がつかなく、法正は出先ですぐには戻って来れないらしかった。

 俺は部活が終わる神楽を待てず、学校に向かった。学校にいる他のアルファに会うのが嫌でラグビー部の部室に入った。独特の雄臭さのなかに神楽の匂いを感じる。
 ふらふらと匂いのする方に行き、開かないロッカーに頬を寄せた。

 不意に部室が開く。
 寺礁院じしょういんだ。三年の先輩でラグビーでもフロントローを務める特に優れた体格の持ち主で彼もまたアルファだ。
 神楽のラグビーチームが全国大会で勝利を収め、表彰された時も高校生では飛び抜けて大きなその体は一際目立っていた。

 背中にじんわり汗が浮かぶ。危機を感じた。
「お前‥二年か?すげー匂い‥」
 寺礁院はふらりと俺に近づく。
「やだ、やめ‥。お、おれ、神楽を、神楽を待ってて」
 神楽の名前を出せば三年でも引くと思った。
「神楽の‥お前がそうか。獅子鳳山と神楽のオメガ」
「‥‥はい」
 はっきりそんないい方をされると、なんだか従属しているみたいで嫌気が差したが、ここは認めたほうが得策だと思った。

 寺礁院が何しに部室に来たかはわからないが練習中だったことは確かで、熱気の籠る分厚い体に流れる汗がラガーシャツを濡らしている。離れていても汗からアルファの濃い匂いを感じた。


 俺がアルファの匂いに反応したのを感じたのか寺礁院は大きな体をさらに俺に近づけると片手で俺を抱き上げメタリックの首輪ごとうなじを舐めてきた。
 寺礁院も神楽と法正の名前出しても平気なのか、オメガの匂いに理性を失っているのか定かではない。
 
 熱い体とむせる匂いに俺は反抗していられず寺礁院の肩にもたれかかった。
 耳元で荒く息をつくのをわかってか、寺礁院は俺の顔を自分の方に寄せるとキスをしてきた。逞しい体を彷彿させる分厚い舌が口いっぱいに入り込み舌が絡まり合う。
 俺のネクタイを緩めボタンを外すと鎖骨を強く吸ってきた。 
 なんとか体を押し返そうとするポーズは出来るが目は熱くとろみ、アルファの雄を欲しがる表情は隠せない。

 ベルトが外されシャツの中に大きな手が入り込み乳首を親指で押し上げられた。胸はすぐ反応し立ち上がる。寺礁院は満足そうに微笑むと制服を託しあげ、ぷっくりと弄ばれることを待つ乳首に吸い付いた。
 空いた手で俺のズボンを下ろすと下着に糸を引いた性器が勢いよく飛び出した。寺礁院もラガーパンツから猛った性器を取り出すと互いを擦り合わせてきた。
「ん‥、ふ、あぁ‥‥」
 二人の先走りで滑る性器はちゅくちゅくと小さな音を立てて絡まりあった。
 俺はたまらずラガーシャツを強く握りしめた。

 狭い部室は熱と二人の濃い匂いが籠り身体中には玉の汗が浮かぶ。
 寺礁院は再びキスをすると、蕩けきった後孔に熱く太い怒張を深く差し込んできた。
 ゆっくり抜き差しをされ、一番深い奥にたどり着くと俺は快感で身を反らした。
 耐えられずに自分から体を揺らし、寺礁院の厚い胸板に縋りついた。
 寺礁院は細い俺の腰を持つと抽送を早めた。
「や、やだ、せ、せんぱい、なか、なか、だ、だめ‥なか、しないで‥」
 勢いよく性器を抜くと俺の口に当て射精した。俺の半開きの口は寺礁院の熱い精液を受け止めきれず、顔に飛び散った。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

君はアルファじゃなくて《高校生、バスケ部の二人》

市川パナ
BL
高校の入学式。いつも要領のいいα性のナオキは、整った容姿の男子生徒に意識を奪われた。恐らく彼もα性なのだろう。 男子も女子も熱い眼差しを彼に注いだり、自分たちにファンクラブができたりするけれど、彼の一番になりたい。 (旧タイトル『アルファのはずの彼は、オメガみたいな匂いがする』です。)全4話です。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

毒/同級生×同級生/オメガバース(α×β)

ハタセ
BL
βに強い執着を向けるαと、そんなαから「俺はお前の運命にはなれない」と言って逃げようとするβのオメガバースのお話です。

噛痕に思う

阿沙🌷
BL
αのイオに執着されているβのキバは最近、思うことがある。じゃれ合っているとイオが噛み付いてくるのだ。痛む傷跡にどことなく関係もギクシャクしてくる。そんななか、彼の悪癖の理由を知って――。 ✿オメガバースもの掌編二本作。 (『ride』は2021年3月28日に追加します)

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

離したくない、離して欲しくない

mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。 久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。 そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。 テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。 翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。 そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。

処理中です...