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「昨日の夜、京とどこに行ってたんですか?」

次の日。
五色叔父さんと凱にいちゃんと嶺にいちゃん三人、簡単なブランチの後、秋の日差しが差し込むリビングで、叔父さんの淹れた食後の紅茶を飲みながら凱にいちゃんは叔父さんに柔らかい口調で聞いた。ちなみに嶺にいちゃんは紅茶じゃなくてウィルキンソンのジンジャーエール。


昨日はあの後うちに帰ると、凱にいちゃんと嶺にいちゃんはすでに家にいた。
嶺にいちゃんはもう部屋で休んでて、凱にいちゃんだけがリビングで俺を待っていた。この日は凱にいちゃんと一緒に寝る日だったから。

俺は凱にいちゃんと帰ってからすぐえっちした。そのあとお風呂で一回、ベッドでもう一回。俺から誘った。いっぱいした。

それで力尽きて俺は今も凱にいちゃんの部屋で寝ている。

「公園にお散歩」
さっきの凱にいちゃんの質問に五色叔父さんは答えた。叔父さんは優雅に脚を組んで、クッションのたくさんあるソファにもたれかかっている。

「下半身丸出しで?」

「わお」
嶺にいちゃんが口を挟む。

「凱こそどうだった。昨日はよかったろう?」

「ええ。だから是非、京の扱いを知りたくって」
凱にいちゃんの口調には出ないが聞く人が聴けば苛立ってるのがわかる。

「凱は恋人みたいに扱いすぎじゃないか?京がつけあがる」

「かわいいじゃないですか」

「叔父さん、京におちんぽおいしい、ってどうやったら言わせられんの?」

「嶺、うるさい」

「京は思ったより被虐性が強いね」

「いじめられんの好きなんだな。やっぱ」

「最初に叔父さんが虐めすぎたせいですよ」

三人のクソみたいな会話は続く。






高校生の時に6歳下の弟に性的な興奮を覚えた双子を五色は四人で暮らすなかですぐに見破った。

焚き付けたのは五色だ。高校生活の三年間、凱と嶺、その本人達ですらわからないように少しずつその気持ちの正体を暴き、扇動し、導いた。

そして、京が13歳、中学二年になろうかとする春、五色は動いた。理由は大きな仕事で日本から離れなければならなくなったからだ。その時は、ただ単純に自分の欲望を遂げるちょうど良いタイミングだと思った。

当初は京を酷く抱き、トラウマを与え、自分から離す。五色はそのまま日本には帰らないつもりだった。最初の手酷い行為は、京のセックスのハードルを下げ兄弟と事に及ぶのも抵抗がなくなるだろう。そのあと兄弟二人に優しく京を慰めさせ、依存させ、あとは二人が思うようにすればいいと、五色は双子を唆した。



それがあの春休みの計画だったのだが、五色は自分の気持ちを誤算していた。

五色は自分の非道を省みる男ではない。
あまりにも長く血の繋がった兄を思い続けることで歪みきった自分の欲望を吐き出し、本懐を遂げる。そのために京は存在するとさえ思っていたし、死ぬほど憎まれても構わなかった。そして都合良く、事が終われば五色は京の目の前から消えるつもりだった。

この世から去るまで、指一本たりとも性的な気持ちで触れる事なく接してきた最愛の兄によく似た甥。
まさか、たったの六日間で手離したくなくなるほど惚れ込むとは思わなかった。

五色の愛は支配的でいびつだ。自分でも理解している。


双子は予定とは違う、叔父の京を自分と一緒に海外へ連れてゆくとの言動に腹を立て、牙を剥き、奪われてなるものかと京をその場で無理矢理犯した。若い雄達は怜悧狡猾な叔父に見せつけるかのごとく京を抱き潰した。

五色も武道を嗜んではいたが、自分と同じ毛色の体格の良い若い二人に隙を突かれ、負かされた。

京を強引にでも海外へ連れてゆくことは出来たが、長い目でみて支配的な愛しか与えられない自分のそばに置いておくよりか、献身的な凱と性格的に明るい嶺、この二人と一緒にいた方が京の精神も安定すると考え、五色は双子の機嫌を取り、当初の予定通り一人で海外へ向かった。

そして惚れた京のために、二度と戻らないつもりだった計画を白紙に戻し、──結果的には大して会えなかったが──定期的に家に帰り、そして永住するつもりの海外の仕事も調整し、日本に戻ってきたのだった。
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