11 / 22
11
しおりを挟む
5分遅れで十和田くんとの待ち合わせ場所に着いた。ちゃんと会いに行った俺をほめてほしい。
まあ、俺がここで帰ったら十和田くんは別の人のところに行ってしまうかもしれないのが嫌だっただけなんだけど。
待ち合わせ場所には、なんだか嬉しそうな十和田くんがいる。
俺はさっき見た女の人のことなんかこれっぽっちも知りませんって顔で近付くことにした。
まあ、俺だって身の程はわきまえてる。自ら希望したセフレなのに、彼女いるの?とかあれ誰?なんて野暮なこと言うつもりはない。
それに、もし「彼女です」って言われて、この関係を解消しようとかいう流れになったらそれこそ嫌だ。
俺はたった一週間で十和田くんのいない生活なんて考えられなくなってる。
「テーブルから見ましょうか?」
落ち合った俺に十和田くんが話しかける。待ち合わせしてる時から嬉しそうだったけど、十和田くんはうきうきしてる。まあ、あんなすげえ高級車乗ってる人と付き合ってんだもんな。テンション上がるよ。遠目からだから姿まではっきりわかんなかったけど、とりあえず美女のオーラはかなり出てた。
ホームセンターに、やってすらいないセフレとテーブルとか食器とか選びにきて、十和田くんは楽しいのかなあ。
俺が不安気な目でちらっと十和田くんを見ると目が合った。十和田くんはふわっと優しい笑顔を浮かべて、不思議そうにこちらを見てくる。
「どうしました?」
「‥‥いや。テーブル、これとかよくない?」
「ああ。いいサイズ」
十和田くんはまるでこれから新生活を送る学生のように期待に満ちた顔でテーブルをなでなでしてる。十和田くんは一人暮らししたことがないから、こういう買い物は楽しいのかもしれない。十和田くんが楽しそうな顔をこちらに向けるたび、俺の胸はきゅうと高鳴った。
恋なんてしたことなかったけど、人を好きになるってこんなに心が高揚するんだな。
「嬉しい」
ちょっとだけでも気持ち、伝えとこ。重くない程度に。十和田くんに俺と一緒にいたいってまだ思ってもらえるように。
「ならよかった」
十和田くんは単にいいテーブルが見つかって喜んでるだけだと思っているはずだけど、それでもいい。
十和田くん、こんな平凡な俺を選んでくれてありがとう。今さら感謝。
俺はもっと十和田くんのそばにいられるようにこのままセフレのポジションを死守できるよう、セフレで居続けられる努力をしようと決めた。
まあ、俺がここで帰ったら十和田くんは別の人のところに行ってしまうかもしれないのが嫌だっただけなんだけど。
待ち合わせ場所には、なんだか嬉しそうな十和田くんがいる。
俺はさっき見た女の人のことなんかこれっぽっちも知りませんって顔で近付くことにした。
まあ、俺だって身の程はわきまえてる。自ら希望したセフレなのに、彼女いるの?とかあれ誰?なんて野暮なこと言うつもりはない。
それに、もし「彼女です」って言われて、この関係を解消しようとかいう流れになったらそれこそ嫌だ。
俺はたった一週間で十和田くんのいない生活なんて考えられなくなってる。
「テーブルから見ましょうか?」
落ち合った俺に十和田くんが話しかける。待ち合わせしてる時から嬉しそうだったけど、十和田くんはうきうきしてる。まあ、あんなすげえ高級車乗ってる人と付き合ってんだもんな。テンション上がるよ。遠目からだから姿まではっきりわかんなかったけど、とりあえず美女のオーラはかなり出てた。
ホームセンターに、やってすらいないセフレとテーブルとか食器とか選びにきて、十和田くんは楽しいのかなあ。
俺が不安気な目でちらっと十和田くんを見ると目が合った。十和田くんはふわっと優しい笑顔を浮かべて、不思議そうにこちらを見てくる。
「どうしました?」
「‥‥いや。テーブル、これとかよくない?」
「ああ。いいサイズ」
十和田くんはまるでこれから新生活を送る学生のように期待に満ちた顔でテーブルをなでなでしてる。十和田くんは一人暮らししたことがないから、こういう買い物は楽しいのかもしれない。十和田くんが楽しそうな顔をこちらに向けるたび、俺の胸はきゅうと高鳴った。
恋なんてしたことなかったけど、人を好きになるってこんなに心が高揚するんだな。
「嬉しい」
ちょっとだけでも気持ち、伝えとこ。重くない程度に。十和田くんに俺と一緒にいたいってまだ思ってもらえるように。
「ならよかった」
十和田くんは単にいいテーブルが見つかって喜んでるだけだと思っているはずだけど、それでもいい。
十和田くん、こんな平凡な俺を選んでくれてありがとう。今さら感謝。
俺はもっと十和田くんのそばにいられるようにこのままセフレのポジションを死守できるよう、セフレで居続けられる努力をしようと決めた。
0
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説
平凡腐男子なのに美形幼馴染に告白された
うた
BL
平凡受けが地雷な平凡腐男子が美形幼馴染に告白され、地雷と解釈違いに苦悩する話。
※作中で平凡受けが地雷だと散々書いていますが、作者本人は美形×平凡をこよなく愛しています。ご安心ください。
※pixivにも投稿しています
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
言ってはいけない言葉だったと理解するには遅すぎた。
海里
BL
クラスの人気者×平凡
クラスの人気者である大塚が疲れてルームメイトの落合の腰に抱き着いていた。
落合からある言葉を掛けられるのを期待して――……。
もしも高一まで時間が巻き戻せるのなら、絶対にあんな言葉を言わないのに。
※エロしかないような感じ。
現代高校生の書いてないなぁと思って、チャレンジしました。
途中で大塚視点になります。
※ムーンライトノベルズ様にも投稿しました。
失恋したのに離してくれないから友達卒業式をすることになった人たちの話
雷尾
BL
攻のトラウマ描写あります。高校生たちのお話。
主人公(受)
園山 翔(そのやまかける)
攻
城島 涼(きじまりょう)
攻の恋人
高梨 詩(たかなしうた)
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
俺の親友のことが好きだったんじゃなかったのかよ
雨宮里玖
BL
《あらすじ》放課後、三倉は浅宮に呼び出された。浅宮は三倉の親友・有栖のことを訊ねてくる。三倉はまたこのパターンかとすぐに合点がいく。きっと浅宮も有栖のことが好きで、三倉から有栖の情報を聞き出そうとしているんだなと思い、浅宮の恋を応援すべく協力を申し出る。
浅宮は三倉に「協力して欲しい。だからデートの練習に付き合ってくれ」と言い——。
攻め:浅宮(16)
高校二年生。ビジュアル最強男。
どんな口実でもいいから三倉と一緒にいたいと思っている。
受け:三倉(16)
高校二年生。平凡。
自分じゃなくて俺の親友のことが好きなんだと勘違いしている。
多分前世から続いているふたりの追いかけっこ
雨宮里玖
BL
執着ヤバめの美形攻め×絆されノンケ受け
《あらすじ》
高校に入って初日から桐野がやたらと蒼井に迫ってくる。うわ、こいつヤバい奴だ。関わってはいけないと蒼井は逃げる——。
桐野柊(17)高校三年生。風紀委員。芸能人。
蒼井(15)高校一年生。あだ名『アオ』。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる