十和田くんはセフレだから。

ミネ

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結局、俺は十和田くんとスカイツリーに来ている。

一回は断ったのだ。別の予定が出来て会えないと。そしたら直ちに向こうから連絡(しかも電話!)があってなぜかすぐに次の予定日を決められてしまった。

再び、断りの文句を考えるのもいやになった俺は素直に出掛けることに決めた。今日のミッションは十和田くんとのセフレの解消だ。そうすればこれ以上距離を縮める必要もないし、連絡を取る必要もない。

今日までの間、十和田くんからちょぼちょぼ連絡があった。ごはん何食べたいかとか、嫌いなものはないかとか、ついでに寄りたいとこないかとか。そういうの。十和田くんはめんどくさくない絶妙なタイミングと量で連絡をくれる。十和田くんは本当に察しが良いイケメン。


もちろん外見もイケメンだ。二人で歩いているとちらちら人の視線を感じる。生まれて初めて注目されるという気分を味わったよ。

十和田くんが夜景を見たいっていうからスカイツリーに行く前に近くの商業施設でぶらぶらした。

俺は最初は気を遣って十和田くんに話しかけていたんだけど、十和田くんは気を遣ってるのか遣ってないのかわからない様子で、そのうちあまり会話は無くなった。だけどそれが全然嫌な感じじゃなくて。興味あるとこで止まったりしてると「いいですね」とか声を掛けてくれたり、こっちを気にしているのかといえば、そうでもなくて自分も他のところ見ていたり。

なんかラク。俺、人と付き合ったことないから難しく考えてたけどこんな感じでいいのかな?そのあと入ったご飯屋さんで見てたスニーカーの話をしたりした。

「面白いの見てましたね」

「うん。色がきれいだなと思って。でも派手かなって」

「試着したらどうですか?この後戻りましょうよ」

「わざわざめんどいよ」

「全然ですよ。後で買えばよかったーってなりません?」

さわやかな笑顔でそう言われるとそんな気もしてくるから不思議だ。

「じゃあ、もっかい戻って見てもいい?」

「もちろん」

額に飾れそうな十和田くんのまばゆい笑顔とイケメンオーラ。

この前さらっと奢って貰っちゃったから、今度は俺が支払う。まあ、俺の方が年上だし、働いてるしね。当然といえば当然なんだけど。
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