お前が俺の運命の番だなんて絶対に認めない！

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「ミミちゃーん。かーえろ」

この学園の一年で同じクラスのカーストトップのアルファ、神剛　伊緒理じんごう　いおりが俺の肩に腕を回す。
伊緒理は183センチの身長と大してなんのスポーツもしなくても逞しいガタイ、それから整ったクソみたいなツラを持つ。クソみたいってのは多くのアルファに見られる偉そうで高慢そうな雰囲気のことだ。

俺は伊緒理にニコリと微笑む。
もちろん作り笑いだ。心の中ではツバ吐いてる。ぺっ。

ミミは伊緒理に勝手に付けられた俺のあだ名だ。美桜谷皆斗でミミ。

伊緒理のあとに続くのはクラスのもう一人のアルファ佐竹海さたけうみとベータの屋敷、里崎、西。


俺の通う私立フェイム学園は男子校だ。成績優秀なアルファと一部のベータ、それから高い学費を払えるベータと学費無料のオメガで学園は構成されている。

多額の学費を払ってでもベータがこの学園に入るのは、優秀なアルファと今のうちから知り合うのが目的だからだ。

そんでオメガの学費が無料なのは言わずもがな。国を支えるアルファを高確率で出産できるオメガを若いうちからアルファに番わせるのが目的だ。


俺は学費無料に釣られて学園に入ったクチでアルファと番うつもりなんて全然ないけどね。



そんなわけでうちの学園はその人口の比率からするとアルファもオメガも数が多い。


「ぅおっとお、」
教室の出入り口で佐竹海がわざと俺を追ってきた稜冠逗りょうかんずにぶつかる。


稜冠逗志陽しよう
188センチの身長に制服の上からでもわかる鍛え抜かれたかのようながっちりとした身体はまるでゲームの中の戦士みたいだ。
でもそんなナリなのに暗くって冴えなくって長いボサボサの前髪で目元を隠して誰とも目合わせないようにしてクラスの端ででかい図体縮こませてるぼっち。


こいつが俺の運命の番。

ぜってえ認めたくないけど。