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VS岡田以蔵
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落ち葉が舞う中、彼女は物語から解き放たれた妖精のようだった。ダンスの練習中にも関わらず彼女に見惚れた理由はただ一つ。
「可愛い……」
長い銀髪、すらっとした体、全てが俺の好みだった。しかも彼女はこちらにやってくると、さらっととんでもないことを言ってのけたのだ。
「見つけた、私の運命の人」
それだけ言うと彼女はどこかへ去ってしまった。これは夢なのだろうか?いや、そうじゃない。今のが夢なら彼女のいたところにメダルなど落ちてはいまい。なら答えは一つ。これを彼女に届けるのみだ。いや、落とし物を届けるのは当然だからな?
彼女の行った方向を辿ると、そこには巨大な門があった。彼女はこの門の向こうだ。なぜか、そう思った。君はその時、そのメダルに門の絵とスイッチがあるのを見つけた。
「この絵の門、ここか?」
スイッチを押してみる。すると、足下に足跡が現れる。
「これを辿れってことか?」
指示に従って踊る。すると、扉が開いた。
「よかった、来てくれたんだね」
彼女のその笑顔を見るだけで、ここに来た甲斐があったと思った。
「私は桜史帆、歴史の守り人だよ」
「俺は原雷火、ダンサーだ」
…は?あっ、読者のみんなにはこの驚きは伝わらないか。
説明しよう。今は実は2500年なのだ。かなり前に第3次世界大戦が起こり、核が使われまくった影響でこの世の歴史は全て消えた上に、人間も最高齢で21歳ということになってしまったのだ。つまり、歴史なんてものは守ろうにももうないはずなのだ。
「ここはちょっと特殊な図書館でね、誰の目にも普通は見えないんだよ」
「じゃあ何で?」
「君が拾ったあのメダルがここに入る鍵になってたんだよ」
「じゃああれを落としたのは…」
「わざとだよ、ところで君ダンサーなんだよね、この本とか読んでみない?」
彼女に差し出されたのは『マイケルジャクソン』と書かれた本。
「アメリカのダンサーで、ムーンウォークって言う新しい踊りを作った人だよ」
彼女の話を尻目に、俺は夢中で読み進めていた。しばらくすると彼女は、
「その本、持ち帰ってもいいよ。通行証は渡しておくから」
彼女に礼を言うと、俺は家に帰り、その日のうちにその本を読破していた。
次の日、学校に行くと、チームメイトが声を掛けてくる。
「おはよー雷火」
「おはよー」
こいつらと雑談していると、情報通の秋風真由が気になることを言っていた。
「そういえば、最近この辺りに人斬りが出るらしーよ」
「なにそれ物騒だな~」
その響きに何か引っかかった俺は、放課後史帆のところにまた行った。いや、何も彼女に会う口実ができたとか思ってないからな?彼女に本を返しつつ聞いてみる。
「そういや、最近この辺に人斬りが出るらしいけどなんか知ってるか?」
彼女の顔が真剣になる。
「岡田以蔵が動いてるのか」
「誰それ?」
「1800年代にいた人斬りだよ」
「それが動いてるって?」
「今この世界で、一部の人間が超人化していると言ったら信じる?
「通称踊り者と呼ばれる彼らは偉人や罪人の力を引き出してくるの
「昨日君に渡した通行証と同じ方法で起動するからその名前がついたんだよ
「私は全部のメダルを集めようと思ってる」
「信じるよ、君が嘘をつくとも思えない」
その日、俺は何冊かの本を借りて帰途についた。
正面に誰かが立ったのはその時だ。
「誰だ」
俺は尋ねる。相手の手に持っているものから分かるのに。
「岡田以蔵、人斬りだ」
俺は手に持ったメダルを握りしめる。本に入っていた、マイケルジャクソンのものだ。スイッチを押す。足跡を辿る。何やら自分以外の者が入ってくる感覚。俺はそれに身を委ねる。
「It’s show time!」
俺は次の瞬間、とんでもない光景を目にする。なんと、敵も俺も浮いているのだ。格好がとかじゃなく、物理的にだぞ?にも関わらず、野郎は恐ろしいほど正確にこっちを狙ってくる。だが、俺も黙ってやられるわけにはいかない。どう言う原理かは知らんが、今の俺はどうやら重力を操れるらしい。なら、押しつぶせばいい。切られる前に。向こうもかなり焦っている。しかし、それこそ隙となるのだった。
「これで終わりだ!」
岡田以蔵は討伐された。
「可愛い……」
長い銀髪、すらっとした体、全てが俺の好みだった。しかも彼女はこちらにやってくると、さらっととんでもないことを言ってのけたのだ。
「見つけた、私の運命の人」
それだけ言うと彼女はどこかへ去ってしまった。これは夢なのだろうか?いや、そうじゃない。今のが夢なら彼女のいたところにメダルなど落ちてはいまい。なら答えは一つ。これを彼女に届けるのみだ。いや、落とし物を届けるのは当然だからな?
彼女の行った方向を辿ると、そこには巨大な門があった。彼女はこの門の向こうだ。なぜか、そう思った。君はその時、そのメダルに門の絵とスイッチがあるのを見つけた。
「この絵の門、ここか?」
スイッチを押してみる。すると、足下に足跡が現れる。
「これを辿れってことか?」
指示に従って踊る。すると、扉が開いた。
「よかった、来てくれたんだね」
彼女のその笑顔を見るだけで、ここに来た甲斐があったと思った。
「私は桜史帆、歴史の守り人だよ」
「俺は原雷火、ダンサーだ」
…は?あっ、読者のみんなにはこの驚きは伝わらないか。
説明しよう。今は実は2500年なのだ。かなり前に第3次世界大戦が起こり、核が使われまくった影響でこの世の歴史は全て消えた上に、人間も最高齢で21歳ということになってしまったのだ。つまり、歴史なんてものは守ろうにももうないはずなのだ。
「ここはちょっと特殊な図書館でね、誰の目にも普通は見えないんだよ」
「じゃあ何で?」
「君が拾ったあのメダルがここに入る鍵になってたんだよ」
「じゃああれを落としたのは…」
「わざとだよ、ところで君ダンサーなんだよね、この本とか読んでみない?」
彼女に差し出されたのは『マイケルジャクソン』と書かれた本。
「アメリカのダンサーで、ムーンウォークって言う新しい踊りを作った人だよ」
彼女の話を尻目に、俺は夢中で読み進めていた。しばらくすると彼女は、
「その本、持ち帰ってもいいよ。通行証は渡しておくから」
彼女に礼を言うと、俺は家に帰り、その日のうちにその本を読破していた。
次の日、学校に行くと、チームメイトが声を掛けてくる。
「おはよー雷火」
「おはよー」
こいつらと雑談していると、情報通の秋風真由が気になることを言っていた。
「そういえば、最近この辺りに人斬りが出るらしーよ」
「なにそれ物騒だな~」
その響きに何か引っかかった俺は、放課後史帆のところにまた行った。いや、何も彼女に会う口実ができたとか思ってないからな?彼女に本を返しつつ聞いてみる。
「そういや、最近この辺に人斬りが出るらしいけどなんか知ってるか?」
彼女の顔が真剣になる。
「岡田以蔵が動いてるのか」
「誰それ?」
「1800年代にいた人斬りだよ」
「それが動いてるって?」
「今この世界で、一部の人間が超人化していると言ったら信じる?
「通称踊り者と呼ばれる彼らは偉人や罪人の力を引き出してくるの
「昨日君に渡した通行証と同じ方法で起動するからその名前がついたんだよ
「私は全部のメダルを集めようと思ってる」
「信じるよ、君が嘘をつくとも思えない」
その日、俺は何冊かの本を借りて帰途についた。
正面に誰かが立ったのはその時だ。
「誰だ」
俺は尋ねる。相手の手に持っているものから分かるのに。
「岡田以蔵、人斬りだ」
俺は手に持ったメダルを握りしめる。本に入っていた、マイケルジャクソンのものだ。スイッチを押す。足跡を辿る。何やら自分以外の者が入ってくる感覚。俺はそれに身を委ねる。
「It’s show time!」
俺は次の瞬間、とんでもない光景を目にする。なんと、敵も俺も浮いているのだ。格好がとかじゃなく、物理的にだぞ?にも関わらず、野郎は恐ろしいほど正確にこっちを狙ってくる。だが、俺も黙ってやられるわけにはいかない。どう言う原理かは知らんが、今の俺はどうやら重力を操れるらしい。なら、押しつぶせばいい。切られる前に。向こうもかなり焦っている。しかし、それこそ隙となるのだった。
「これで終わりだ!」
岡田以蔵は討伐された。
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