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番外編 魔術師と魔物の巣
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生まれつき、それは俺の影に住んでいた。
子供の頃はなにも分からず、たまにでてくる黒い蝶を飛ばして遊んでいた。昔はその蝶は無害なものだったように思う。
思春期を過ぎた頃くらいから、それは活発になった。
黒い蝶が飛び去り、しばらくすると胎を大きくした人間やら動物が現れる。それを俺の影が食う。
俺の影の中で魔物が生まれる。
生まれた魔物は俺の言うことをよく聞いた。
……このために俺は魔術院に飼われていたということを知った。
それが嫌で、黒い蝶を何度か燃やしたことがある。
それは俺の一部らしい。蝶を燃やすと俺の何かが消えた。それは力であったり記憶であったり、俺を形成する何かで、蝶が消えると大事何かが消えて行く。
ぽっかりと空いてしまった何かは取り戻せない。
俺を飼っていたやつらはこの黒い蝶を消せば、俺が俺を失っていくのを知っていた。
……仲間たちと共に過ごした大切な日々の記憶はもうほとんど残っていない。
俺はただ魔物をあいつらの言うことを聞くように育てるだけの道具だった。
◆
影の中。魔物の巣と呼ばれるそこには多くの魔物が住んでいる。
魔物の巣は長くに渡り人間たちの戦いの道具としてひっそりと使われていた。
その呪がなくなった今、本来の機能を取り戻したように、その在り方を変える。
魔物の巣の持ち主である俺を巣の中に取り込み、生殖行為を強要してきた。
「お前が蝶と呼んでいるそれは他者に子を孕ませる寄生虫ではなく、女王に多くの子種を与えるための寄生虫だ」
お前は、働き蜂ではなく女王蜂。
甘い蜜を吸いながら、魔物を孕んで生めばいいだけの生き物だ。
寄生虫が運んできた雄と巣にいる雄に孕まされるだけの雌。
魔物の巣には女王のための王台があり、そこで脚を広げていれば魔物たちが食らいつく。
とくに幼児ほどの大きさのナメクジのような蟲が多くいて、寄生虫が連れてきた雄との相手が終わるとその蟲に犯され続けていた。
「あっあっそこは、ぁあっっ、まだ、だめ、だめっだっっあっあ」
寄生虫が連れてくる雄は、獣だったり、人のようなものだったりさまざまだが、無理矢理突っ込んで腰を揺さぶるだけの生殖行為が大半で、快いとは言い難かった。
そのかわり、蟲との行為は快いところしか責められない。中が傷ついた時はその粘液を擦り付けて治してくれているようで、癖になるほど気持ちが良い。
中を数匹のペニスで交互に、時には同時にピストンされるのと、ペニスの中を細い舌のようなもので弄られるのがたまらない。
なんで今までこんなに近くにいたのに、知らなかったのだろう。こんなに快いことを知っていればあんな辛いことに耐えなくてもよかった。
あんなこと?どんなことだったか、思い出せない。
子種を胎の中に溜めていると、腹部が膨らんだ。破裂しそうなほど膨らんでいるのに、痛みはなく、中で動く感触だけでイってしまった。こんなに快いなら、最初から自分が孕むべきだったのだ。他の子たちには可哀想なことをしてしまった。自分の身代わりに孕まされて死んでいった。
もう自分がいる。
だから他が犠牲になる必要がない。
「あ、でる」
王台の上で漏らすようにたくさんの卵を生み落とした。産道を通る感触が溜まらず、イってしまい卵に漏らした精子と潮がかかる。
魔物たちはそれを気にせず、卵を運び出す。
産後の余韻も冷めないうちに、蟲が再び生殖行為のためペニスを挿入してきた。
敏感なそこはペニスを締め付けて新たな快楽を貪り始めた。
頭がおかしくなっていた自覚はある。
おそらく期間としては1季節。その期間、ひたすらに交尾してひたすら卵を産んでいた。
今、俺は、交尾に耽っていた王台の端で体育座りをしている。
『あらら、自覚戻っちゃったかな』
『おつかれさま。たくさん生まれたからしばらくお休みね。よくがんばりました』
『ヨかったでしょ?』
『痛いところはない?身体は平気?』
話しかけてくる蟲供に微妙に慰められているのは気のせいか。
というかなぜ、魔物と意思疎通ができるようになっているのか。
『だって、ぼくら、人間たくさんたべたもんね』
『ずっと人間の影にいるからね』
だそうだ。言葉にしてないのに頭の中を読み取るのはやめてほしい。慣れない。
『人間って、生きづらそう』
なんかもう、いい。
頭はそれなりに動いてはいた。
大きなナメクジのような魔物と、人間やら動物やらに生ませていた魔物が、小さな魔物を世話しているようだった。小さな魔物はナメクジのようなものもいれば全く別の獣ようなものもいるし、人型のようなものもいた。
『みんな、キミの子供たちだよ』
「受け入れたくない」
『好きなように。どのみちキミは巣の主なので子供たちはキミのために働くよ。よかったね。ここではキミが一番だ。もう人間たちに脅されずにボクたちを自由に使える。どうする?戦争でもする?キミが望むなら喜んで戦うよ?』
「俺は、戦争には興味がない」
『知ってるよ。キミが生まれた時から、ずっと一緒にいたんだもん』
魔物はナメクジのような身体から細い触手を伸ばして、俺の口に入れる。舌に絡みついては解けて、絡みついては解けて、という行為を何度か繰り返される。
口の中を弄られるのは弱く、それだけの行為に身体が反応した。
魔物はなおも続ける。
『キミは、植物が好きで、虫が好きで、動物が好きで、難しい本を読むのが好き。人間が嫌い。好きなものに囲まれて穏やかに暮らしたかった、でしょ』
一匹が二匹になり三匹になる。
『ボクたちはキミの魔物だからね。キミがやりたいことを叶えてあげるよ。まずは交尾かな?』
脚をおずおずと広げれば、魔物が乗っかって、つるんとしたペニスが挿入される。それが中で好きなゴツゴツした形に変化した。
『繁殖期以外は、ボクたちは種付けできないから無駄ではあるんだけどね』
繁殖期が終わったから、今までほど狂ってないのか。でも身体が慣れてしまったから、こうなるのか。
我慢ができないのはどうにかならないのか。
『それは、どうにもならないから、あとで外から雄連れてくるね。子どもたちの餌も必要だからちょうど良かった』
どういうことなのかと疑問に思った。
黒い蝶は外の魔物に寄生する。寄生された魔物は雌を探す。雌は俺。やってきた魔物は俺に種付けして満足したところを、俺の魔物たちの餌になった。
なるほど寄生虫が連れてくる雄は、餌でもあるのか。
『繁殖期以外は交尾しなくてもいいよ。繁殖期以外は産卵出来ないから、身体に負担がかかるし。いやならボクたちが守ってあげる』
と言われたのに。
「す、る」
俺の口はそう答えていた。
胎に魔者の子を宿して産んでみたものの、産卵ほどの快感はなく、何度かやめようとも思ったが、俺を求めて来た魔物の子種を無駄にすることが出来なかった。
仕方がないので、雄を相手しながら、暇な時は魔物たちが持ってきた本を読んだり、外に出て森を歩いたり植物を観察したりしながら過ごすことにした。
今の俺は次の繁殖期を待ち侘びながら魔物の巣で暮らしている。
それは、今までの人生の中でもっとも穏やかな時間だった。
子供の頃はなにも分からず、たまにでてくる黒い蝶を飛ばして遊んでいた。昔はその蝶は無害なものだったように思う。
思春期を過ぎた頃くらいから、それは活発になった。
黒い蝶が飛び去り、しばらくすると胎を大きくした人間やら動物が現れる。それを俺の影が食う。
俺の影の中で魔物が生まれる。
生まれた魔物は俺の言うことをよく聞いた。
……このために俺は魔術院に飼われていたということを知った。
それが嫌で、黒い蝶を何度か燃やしたことがある。
それは俺の一部らしい。蝶を燃やすと俺の何かが消えた。それは力であったり記憶であったり、俺を形成する何かで、蝶が消えると大事何かが消えて行く。
ぽっかりと空いてしまった何かは取り戻せない。
俺を飼っていたやつらはこの黒い蝶を消せば、俺が俺を失っていくのを知っていた。
……仲間たちと共に過ごした大切な日々の記憶はもうほとんど残っていない。
俺はただ魔物をあいつらの言うことを聞くように育てるだけの道具だった。
◆
影の中。魔物の巣と呼ばれるそこには多くの魔物が住んでいる。
魔物の巣は長くに渡り人間たちの戦いの道具としてひっそりと使われていた。
その呪がなくなった今、本来の機能を取り戻したように、その在り方を変える。
魔物の巣の持ち主である俺を巣の中に取り込み、生殖行為を強要してきた。
「お前が蝶と呼んでいるそれは他者に子を孕ませる寄生虫ではなく、女王に多くの子種を与えるための寄生虫だ」
お前は、働き蜂ではなく女王蜂。
甘い蜜を吸いながら、魔物を孕んで生めばいいだけの生き物だ。
寄生虫が運んできた雄と巣にいる雄に孕まされるだけの雌。
魔物の巣には女王のための王台があり、そこで脚を広げていれば魔物たちが食らいつく。
とくに幼児ほどの大きさのナメクジのような蟲が多くいて、寄生虫が連れてきた雄との相手が終わるとその蟲に犯され続けていた。
「あっあっそこは、ぁあっっ、まだ、だめ、だめっだっっあっあ」
寄生虫が連れてくる雄は、獣だったり、人のようなものだったりさまざまだが、無理矢理突っ込んで腰を揺さぶるだけの生殖行為が大半で、快いとは言い難かった。
そのかわり、蟲との行為は快いところしか責められない。中が傷ついた時はその粘液を擦り付けて治してくれているようで、癖になるほど気持ちが良い。
中を数匹のペニスで交互に、時には同時にピストンされるのと、ペニスの中を細い舌のようなもので弄られるのがたまらない。
なんで今までこんなに近くにいたのに、知らなかったのだろう。こんなに快いことを知っていればあんな辛いことに耐えなくてもよかった。
あんなこと?どんなことだったか、思い出せない。
子種を胎の中に溜めていると、腹部が膨らんだ。破裂しそうなほど膨らんでいるのに、痛みはなく、中で動く感触だけでイってしまった。こんなに快いなら、最初から自分が孕むべきだったのだ。他の子たちには可哀想なことをしてしまった。自分の身代わりに孕まされて死んでいった。
もう自分がいる。
だから他が犠牲になる必要がない。
「あ、でる」
王台の上で漏らすようにたくさんの卵を生み落とした。産道を通る感触が溜まらず、イってしまい卵に漏らした精子と潮がかかる。
魔物たちはそれを気にせず、卵を運び出す。
産後の余韻も冷めないうちに、蟲が再び生殖行為のためペニスを挿入してきた。
敏感なそこはペニスを締め付けて新たな快楽を貪り始めた。
頭がおかしくなっていた自覚はある。
おそらく期間としては1季節。その期間、ひたすらに交尾してひたすら卵を産んでいた。
今、俺は、交尾に耽っていた王台の端で体育座りをしている。
『あらら、自覚戻っちゃったかな』
『おつかれさま。たくさん生まれたからしばらくお休みね。よくがんばりました』
『ヨかったでしょ?』
『痛いところはない?身体は平気?』
話しかけてくる蟲供に微妙に慰められているのは気のせいか。
というかなぜ、魔物と意思疎通ができるようになっているのか。
『だって、ぼくら、人間たくさんたべたもんね』
『ずっと人間の影にいるからね』
だそうだ。言葉にしてないのに頭の中を読み取るのはやめてほしい。慣れない。
『人間って、生きづらそう』
なんかもう、いい。
頭はそれなりに動いてはいた。
大きなナメクジのような魔物と、人間やら動物やらに生ませていた魔物が、小さな魔物を世話しているようだった。小さな魔物はナメクジのようなものもいれば全く別の獣ようなものもいるし、人型のようなものもいた。
『みんな、キミの子供たちだよ』
「受け入れたくない」
『好きなように。どのみちキミは巣の主なので子供たちはキミのために働くよ。よかったね。ここではキミが一番だ。もう人間たちに脅されずにボクたちを自由に使える。どうする?戦争でもする?キミが望むなら喜んで戦うよ?』
「俺は、戦争には興味がない」
『知ってるよ。キミが生まれた時から、ずっと一緒にいたんだもん』
魔物はナメクジのような身体から細い触手を伸ばして、俺の口に入れる。舌に絡みついては解けて、絡みついては解けて、という行為を何度か繰り返される。
口の中を弄られるのは弱く、それだけの行為に身体が反応した。
魔物はなおも続ける。
『キミは、植物が好きで、虫が好きで、動物が好きで、難しい本を読むのが好き。人間が嫌い。好きなものに囲まれて穏やかに暮らしたかった、でしょ』
一匹が二匹になり三匹になる。
『ボクたちはキミの魔物だからね。キミがやりたいことを叶えてあげるよ。まずは交尾かな?』
脚をおずおずと広げれば、魔物が乗っかって、つるんとしたペニスが挿入される。それが中で好きなゴツゴツした形に変化した。
『繁殖期以外は、ボクたちは種付けできないから無駄ではあるんだけどね』
繁殖期が終わったから、今までほど狂ってないのか。でも身体が慣れてしまったから、こうなるのか。
我慢ができないのはどうにかならないのか。
『それは、どうにもならないから、あとで外から雄連れてくるね。子どもたちの餌も必要だからちょうど良かった』
どういうことなのかと疑問に思った。
黒い蝶は外の魔物に寄生する。寄生された魔物は雌を探す。雌は俺。やってきた魔物は俺に種付けして満足したところを、俺の魔物たちの餌になった。
なるほど寄生虫が連れてくる雄は、餌でもあるのか。
『繁殖期以外は交尾しなくてもいいよ。繁殖期以外は産卵出来ないから、身体に負担がかかるし。いやならボクたちが守ってあげる』
と言われたのに。
「す、る」
俺の口はそう答えていた。
胎に魔者の子を宿して産んでみたものの、産卵ほどの快感はなく、何度かやめようとも思ったが、俺を求めて来た魔物の子種を無駄にすることが出来なかった。
仕方がないので、雄を相手しながら、暇な時は魔物たちが持ってきた本を読んだり、外に出て森を歩いたり植物を観察したりしながら過ごすことにした。
今の俺は次の繁殖期を待ち侘びながら魔物の巣で暮らしている。
それは、今までの人生の中でもっとも穏やかな時間だった。
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