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義肢と義手と義眼

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片腕は、人間だった頃に無くしたものだった。毒を刺されて、変色し感覚がなくなっていくそれをどうにかするために左腕は自分で切断した。
もう片方の腕は、身体を弄られ、おかしくなってから、牢に閉じ込められて犯され、脅される毎日が嫌で、逃げ出そうとした。

鍵に手を伸ばした瞬間、切り落とされた。

そのあとは暴行され続けた。口も穴もずっと男を咥えていた。そうされながら、死なないギリギリまで苦痛を与えられる。縛られ、焼かれ、殴られる。何度も何事もなかったかのように治され、また同じようにされる。
終わらない責め苦だ。

今のご主人さまは、殴ることも縛ることも焼くこともしない。狭い檻に閉じ込めて同じ檻にいた何かに犯されるよう仕向けることもしない。見せ物にしない。


「セン、腕はどうだ?」
なくなった腕がある。元々あった腕と酷似してはいるが、傷の類はないので別物だ。
それに実感がわかない。右腕が動く、左腕が動く、指がきちんとある。

「ご主人さま、触らして…?」
「好きにしろ」

ご主人さまに触れるとちゃんと暖かい。

「僕、腕があると悪いことしちゃうから、鍵をあけて、逃げちゃうかも」
違う。そういうことを言いたいわけではなくて。
「鍵はかかってないが?」
「………そうだね、ご主人さまは、そんなことしないねぇ。うん」
ご主人さまの手を握り、頬に擦り寄せる。
「ありがとう。うれしい。だいすき」
コンコンと部屋の扉が叩かれた。
入ってきたのは、迫力のある美人に手を引かれた美少女、いやナナだった。
霞んでいた両眼は、ピンク色の目に変わり、目を見開いた。
ナナがご主人さまと僕に気付いたようで慌てて近づこうとしてすっ転ぶ。
ご主人さまが抱き止めた。
ナナは抱き止めてくれたお礼にとたくさんのキスをして、ご主人さまの目が虚ろになった。
そして見て見てと、黒いワンピースのスカートを持ち上げて脚を伸ばした。
すらりとした綺麗な脚だ。そして、随分セクシーな黒いレースの透けた下着をつけている。
ご主人さまは頭を抱えた。

「ナナちゃん、嬉しいのはわかったけど、今はそこまであげない方がいいと思うよ」
「おい、ベル。ナナで遊ぶな」
「あら、可愛いじゃない。似合うものを着せただけよ」

ナナは定位置の僕の膝に乗ってくるが、脚が邪魔なようだ。

「うーーーうーーー!!」

脚を引っ張って取ろうとした。
それにはご主人さまも呆れる。

「ナナは脚がとれるようにしておいた方が良かったか?」
「脚がないことに慣れてると邪魔なのかしらね。うまく歩けないみたいだし。どうしましょう」

僕はめくれたワンピースの裾を正して、ナナの脚を揃えて抱えると嬉しそうにし頬擦りしてきた。僕にある手に気づき遊び始める。

「慣れれば、ナナちゃんも気にいると思うよ。いまは、脚の使い方がいまいちわかってないだけ。慣らすよ。ナナちゃん、ちゃんとお礼言った?」

ナナはきょとんとして「あ、うー!」とわかってるのかわかっていないのか微妙な声をだした。


声は出る。喉も潰れているわけではない。聞こえてくる言葉も理解はしている。ただ、言葉を発することができないだけ。
診断はそう下された。物理的なものであれば治すことはできたが、精神的なものは下手に手をつければ壊れることがある。
「困ってはないからいいだろ」
ご主人さまは大したことないと言った。
言葉を発せなくても、喜怒哀楽が全面に出る。両眼が見えるようになってからは特に表情豊かだった。

脚も最初こそ取ろうとしたが、使い方がわかってからはお気に入りになったらしい。

「ナナ。いい加減離せ。……脚癖がわるい」

細い脚をご主人さまの背中でクロスさせて離したくないと意思表示する。
今までされるがままに突っ込まれていたのが、自分の意思で角度を変えたり体の向きが変えられるようになったりしたのが嬉しいらしい。
ご主人さまはため息を吐く。

「俺はこのために脚をやったわけではないが」
「それはそうだろうけど。僕ら、欲という欲が性欲に全振りされているからねぇ」

ナナの脚からご主人さまを逃して、交代する。ナナの中は熱くて溶けていて気持ち良い。ご主人さまが射精したものが僕のに絡み付いて興奮した。奥に擦りつけると、ナナが小さく喘ぐ。

「ぁ、ぁ、ぅ、あ」
「………俺は寝る」

傍でセックスしていても、気にせず寝れるだけの図太さがある。魔族にとって、僕らが頭おかしくなるほど犯しあってたとしても動物が仲良くしてるくらいの感覚しかないのだろうか。
ナナの中で一回イかせてもらったのに足りない。交代と、ナナに犯してもらった。
ご主人さまが眠れなかったのか起き上がり、僕のソレに手をかける。ぐりぐりと強めに弄られた。

「同時に、すると、よすぎて、ぁ、あ待って、イく、いくいく、ぁあっ、ん、まって連続、だめ、だめ、ご主人さまぁっ」

連続でイくと、力が入らなくなった。

「ほら、もう十分だろ?終わったなら早く寝ろ」

ナナが僕のそこを舌で綺麗にしてくれた。そしてナナと僕はご主人さまに擦り寄って眠る。

「あと、そのご主人さまってのやめろ。変態くさい。呼ぶならレヴィと呼べ」
「……はい、レヴィ様」

明日もこの幸せが続きますようにと願わずにはいられなかった。


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