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1円を笑う者は1円に泣く
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そして、遂に1ドルは220円となった。俺は痺れを切らして木下へ電話を掛ける。
「もしもし、どうなってるんだよ!」
「おお、大山。ちょうど掛けようと思っていたんだよ」
「ん? 小東情報入ったか?」
「ああ、小東さんが小銭を集めていた訳が分かったんだよ」
「そうなのか?」
「小東さんは1円玉を大量に集めていたんだ」
「何の為に? そもそも、1円玉を集めるって、銀行で両替したら手数料がバカにならないだろ?」
「よく知ってるじゃないか。じゃあ、寺社1円問題は知ってるか?」
「いや、知らない」
「賽銭箱に入れられる硬貨や紙幣が寺社の収入源の一部だというのは言うまでも無いが、1円玉ってのは何万枚あろうと両替の手数料で消えてしまうんだ。だから、賽銭箱に入った1円玉の処理に困る事になる。小東さんは、そこに目を付けて寺社を探し回り、1円玉を買い取ってたんだよ」
「なるほど……でも、それって発行枚数が少ない年のを探して高く売るのか?」
「そんな、みみっちい事するかよ! アルミだよア・ル・ミ」
「は?」
「大山はペットボトルの生産が中止になったのは知っているよな?」
「ああ、環境に悪いからだろ?」
「だから、アルミのボトルに変わるんだ。アルミはリサイクルしやすいからな。そうなると、アルミが大量に必要となる。今、アルミが高騰しているのは知っているか?」
「いや、知らない」
「1グラム20円だよ。去年は1グラム0.2円だったんだ。100倍に高騰している。しかも、もっと上がるって話だ。まあ、俺も最近聞いた話の受け売りなんだけどな。小東さんは1円玉で1億円以上かき集めたって話だ。20億円だよ、すげえな」
「1円玉1億枚って何処に置いてるんだよ?」
「小東さんは不動産もたくさん所有しているからな。文字通り、置く場所は山程あるんだよ」
「いや、待て待て! 1円玉を溶かしてアルミにしたら犯罪だろ?」
「……確かに……。ただ、集めたからには法律の抜け道からアルミに変えるんだろうな」
俺は電話を切り、どのように小東さんが犯罪ギリギリのラインを攻めるのかについて、非常に興味を持った。歯止めがきかずに、逮捕されて転落した過去の成功者達の二の舞を演じるのだろうか……。それとも、このままカリスマトレーダーとして駆け上がるのだろうか……。
「もしもし、どうなってるんだよ!」
「おお、大山。ちょうど掛けようと思っていたんだよ」
「ん? 小東情報入ったか?」
「ああ、小東さんが小銭を集めていた訳が分かったんだよ」
「そうなのか?」
「小東さんは1円玉を大量に集めていたんだ」
「何の為に? そもそも、1円玉を集めるって、銀行で両替したら手数料がバカにならないだろ?」
「よく知ってるじゃないか。じゃあ、寺社1円問題は知ってるか?」
「いや、知らない」
「賽銭箱に入れられる硬貨や紙幣が寺社の収入源の一部だというのは言うまでも無いが、1円玉ってのは何万枚あろうと両替の手数料で消えてしまうんだ。だから、賽銭箱に入った1円玉の処理に困る事になる。小東さんは、そこに目を付けて寺社を探し回り、1円玉を買い取ってたんだよ」
「なるほど……でも、それって発行枚数が少ない年のを探して高く売るのか?」
「そんな、みみっちい事するかよ! アルミだよア・ル・ミ」
「は?」
「大山はペットボトルの生産が中止になったのは知っているよな?」
「ああ、環境に悪いからだろ?」
「だから、アルミのボトルに変わるんだ。アルミはリサイクルしやすいからな。そうなると、アルミが大量に必要となる。今、アルミが高騰しているのは知っているか?」
「いや、知らない」
「1グラム20円だよ。去年は1グラム0.2円だったんだ。100倍に高騰している。しかも、もっと上がるって話だ。まあ、俺も最近聞いた話の受け売りなんだけどな。小東さんは1円玉で1億円以上かき集めたって話だ。20億円だよ、すげえな」
「1円玉1億枚って何処に置いてるんだよ?」
「小東さんは不動産もたくさん所有しているからな。文字通り、置く場所は山程あるんだよ」
「いや、待て待て! 1円玉を溶かしてアルミにしたら犯罪だろ?」
「……確かに……。ただ、集めたからには法律の抜け道からアルミに変えるんだろうな」
俺は電話を切り、どのように小東さんが犯罪ギリギリのラインを攻めるのかについて、非常に興味を持った。歯止めがきかずに、逮捕されて転落した過去の成功者達の二の舞を演じるのだろうか……。それとも、このままカリスマトレーダーとして駆け上がるのだろうか……。
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