財政破綻

ジャメヴ

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  翌日から、為替レートを確認するようになった。特に時間は決めていないが、調べてはスマホにメモをする。株価なども一応目を通すが、あまりよく分からないし、小東さんの購入情報が入らない限り、当分買う事は無いだろう。職安で仕事を探しながら為替レートをメモする日々……。
  特に仕事も決まらず、1ヶ月が過ぎた。現在、1ドル210円。俺達の予想に反して円安が進んでいる。とは言え、10万円分ドルを買っていたとしても、手数料も取られるし、5,000円に届かない儲けだ。実は、FX というのは、あまり儲からないのか?  ただ、100万円分買っていたとすると5万円の儲けだし、資金と情報があれば間違い無く大勝出来る。
  そんな中、木下から電話が入った。小東情報が入ったのかと期待して電話に出る。
「もしもし?」 
「大山、情報が入ったぞ」
「ナイス!  それで?」
「どうも、小東さんは小銭を大量に集めているみたいなんだ」
「小銭?  日本の?」
「ああ」
「何の為に?」
「いや……それは分からないけど、とにかく大量の小銭を集めているって噂だ」
「それは、円高になる予兆なんだろうか?」
「分からない……」

  俺は電話を切った後、日本の小銭について調べた。すると、意外な事実を発見する。現在、日本ではキャッシュレス決済が9割以上となり、紙幣や硬貨の発行枚数が極端に減っているとの事だ。特に1円玉に至っては、消費税が20%となってから、発行枚数がゼロの年の方が多い。しかも、大半が銀行に眠ったままだと言う事。そうなると、直ぐに思い付くのは希少価値……。発行枚数が少ない年の硬貨は何倍もの価値が出るし、流通量が少ないなら尚更なおさらだ。ただ、労力の割には利益が少ないように思えるのだが……。

  ニュースでは評論家達が日本の今後を話し合っていた。やはり、1番は円安が進むという事。これは、経済がどうのこうのよりも、売らないと損をするという国民心理により、円売りが加速するとの話だ。ただ、日本政府もその辺は分かっているので、日銀が為替介入して全力で円を買いに動く。その為、円高になる日もあり、国民は下手に大金を動かせない。だが、日本の1京円借金問題は深刻で、財政破綻を免れない状況に陥っていた。
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