嫉妬が憧憬に変わる時

ジャメヴ

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犯行予告

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♪♪♪♪~
  現在、午後11時50分、館の中は常に心地よいクラシックが流れている。その為、洋館の雰囲気の中、夜になっても怖い感じはあまり無い。
ガチャ
  ドアが開いて丸刈りの男が部屋から出てきたようだ。その音が聞こえたからなのか、色黒の男も少し後に部屋から出てくる。ロマンスグレーの髪の執事、背の低い男、茶髪の男と順番に出てきた。皆、時間にきっちりしているようだ。毎回、5分程度前に出て来ている。
  全員が集まったのを確認して、ロマンスグレーの髪の執事が話す。
「集合ありがとうございます。少し早いですが、全員での監視お願いします。特に何も起こらない事を祈ります」
そう言うと、ロマンスグレーの髪の執事は王の部屋の前へ行き、静かめにノックした。
コンコンコン
「失礼します」
ガチャ
  小声で挨拶をしてドアを開ける。王が恐らく寝ているからという配慮だろう。
バタン
  別に部屋に入らなくても良かったんじゃないか?  と俺が思った頃、0時になり、ちょうど日が変わった。
♪!♪!♪!♪!~
「!!」
やや大きめの音楽が流れた。クラシックの様だ。犯行予告時刻だったので、俺に限らず全員がビックリしたようだ。元々、館の中は心地よいクラシックが流れているんだけど、そんな音量では無い。

  どこからだろう?  王の部屋か?  いや、多分、執事さんの部屋だな。

ギギギギギ……

  何の音だろう?  クラシックが流れる中、微かに嫌な音が聞こえた。そういう音楽?  じゃ無いよな?

  脅迫状の犯行予告時刻なので、俺は少し過敏になっている。他の人達をチラ見すると、玄関を気にしている人が多いようだ。確かに1番警戒すべきは玄関かも知れないけど、犯行予告までして堂々と玄関からは入って来ないんじゃないだろうか?  となると1番怪しいのは2階の真ん中の部屋……。あの部屋がどうなっているのかが気になる。王の部屋の窓が全て防弾シャッターだとすると、あの部屋ぐらいしか侵入出来そうにない。
ガチャ
  全員が王の部屋を見る。
バタン
  ロマンスグレーの髪の執事が出て来て言う。
「何も起こりませんでしたね。やっぱりイタズラだったんでしょう。あっ!  音楽……。ビックリさせてすみませんでした。目覚まし代わりにセットしていた事を忘れていました」
ロマンスグレーの髪の執事は急いで自分の部屋に入り、音楽を止めた。 
「ありがとうございました。それでは2人監視に戻しましょう。もう1度、最初のペアから順番で同じ様にお願いします」
ガゴッ
  その時、わずかに物音がした。館の外だろうか?  何かがぶつかったような音だ。皆が気付いたのを感じとってか、ロマンスグレーの髪の執事は説明する。
「野生の猪だと思います。生ゴミの臭いで寄ってくるんですよ。ステンレス製のゴミ箱なので荒らされる心配はありません」
脅迫状の心配をしてるんだけど、と心の中で突っ込んだ。いつもの事みたいだし心配し過ぎかも知れない。
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