未来からの降霊

ジャメヴ

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家に着くと直ぐにスーツに着替え、メイクもそこそこに家を飛び出した。時間ギリギリになりそうだけど、電車で待ち合わせ場所へ向かう。
  電車内で喫茶『山』を調べると、オーエンドイーから交差点3つも離れていた。オーエンドイーの最寄り駅から10分程歩かないといけないけど、12時の5分前には着くだろう。
  私は改札を出て早足で歩く。大通りの車の騒音と排気ガスを少し気にしながら歩道を進む。
  大通りから少し離れた日当たりの悪い場所に喫茶『山』の看板が見えた。気持ち急いでいた為か、5分ぐらいで着いた感覚だ。時計を見ると11時52分。実際は7分で着いたようだ。私は入り口近くの2台しか停められない駐車場を避けるように立って、オーエンドイーの人事担当者の山崎さんを待つ事にした。
  喫茶『山』は周りの建物がやや高めで日当たりが悪い上、駐車場も狭く、立地条件が良く無い。一見レトロな雰囲気を醸し出しているようにも見えるけど、オシャレ感は無く、ただ古いだけといった印象だ。店内の様子は一部分しか見えないけど、そのエリアに客はおらず、駐車場に車が1台しか停まっていない事や、外観から勝手に想像して、あまり流行っていないように感じられた。
  しばらくすると、サラリーマン風の、いかにも面接担当ですと言わんばかりの、背の高いスーツの中年男性がこっちに向かってきた。私はオーエンドイーの担当者だと思い、軽く会釈をする。スーツの男性も軽く会釈をしたけど、私を2度見した後、喫茶『山』に入っていった。私は、担当者じゃないのか、と少し落胆した感情と、この店に入ったよ、という驚きの感情でスーツの男性の後ろ姿を凝視した後、大通りからの道に目を戻した。
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