未来からの降霊

ジャメヴ

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「居ないわね。ホントに女の子呼んでない?」
「……だから言ってるだろう?  呼んでないって!」
「まだ、探してない場所あるんじゃない?」
「もう、全部探しただろ?」
「お風呂は?!」

ガラガラガラ

  間一髪……。私は、奥さんがベランダの窓を開ける可能性と、開けないにしても長時間待たされると判断して、ベランダを登って隣の家のベランダへ移っていた。私は高所恐怖症ではないので、3階程度なら全く恐怖は無い。初めて男っぽい性格で得したと思えた。だけど、そのせいで黒のワイドパンツは白く汚れ、ハンドバッグの中身はぐちゃぐちゃになってしまった。最悪だ。不倫とか勘弁して欲しい。浮気ならギリギリ許せた可能性もあるけど、不倫となると一気に感情が冷めた。もう2度と連絡を取らないと誓ったけど、今はそれより大事な問題がある。ここから帰らなくてはならない。ベランダから下まで降りられるとは思うけど、流石に危険なのと、誰かに見られたら通報されてしまう。
  私は部屋の住人に説明して玄関から帰らせてもらおうと部屋の中を見た。その直後、住人の男性と目が合った!
  申し訳なさそうな雰囲気に見せながら、ゆっくりと会釈をして、もう1度部屋の中を見ると、既にその男性は猛スピードで逃げ出している。ちょっと待ってと思いつつ、私はベランダの窓に手をかけた。

ガラガラガラ

  鍵は掛かっていなくて、すんなり開いた。顔だけを突っ込んで、スミマセンと叫ぼうと思った時、ガチャンという音の後、バタンと音がした。玄関のドアから逃げ出してしまったようだ。私は急いでパンプスを脱ぎ、それを持って玄関へ向かった。玄関でパンプスを履き、ドアを開けて周りを見渡したが男性は既に居なかった。
  警察を呼ばれてしまうかなと思いながらも、とにかく、奥さんと鉢合わせてはいけないと思い、その場を一旦離れた方が良いと考え、私は階段を降りて、近くのコンビニに入った。もし、パトカーが来たら一部始終を説明しようと、今日の出来事を整理しながら待っていたけど、パトカーが来る様子は無い。
  コンビニで時間を潰し、1時間近く経ったけど何も起こらなかったので、モヤモヤしながらも、まあいいかと彼への文句をブツブツ言いながら自宅へ帰った。
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