10番目の同級生

ジャメヴ

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アンケート

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四天王寺
「1番は九十九さんだと思います。性格的に人を殴るなんて考えられないですね。控え目だし、クラスで何をするにも10番目って感じで……。取り敢えず九十九さんに渡しておこうってなると思います。2番目は八重樫ですかね。単純なんで、その後にどうこうするとか無さそうですしね。まあ、女性にはだらしないですが、根は1番良い奴かもしれません。3番目は三橋さんかな。なんてったって元委員長ですから。私も委員長をしてる時期はありましたが、委員長と言えば三橋さんって。逆に、一ノ瀬には渡さないと思います。信頼はしてるが信用はしてないって感じかな。味方なら頼りになるけど、敵にしたら1番怖いですね」

七瀬
「1番は九十九さんです。あの子、虫も殺さないと思いますよ。ザ、女の子って感じ。仲も良いし、裏切られるとか想像できないですよ。2番目は三橋さんです。責任感も強いし、やっぱり女子の結束力ですね。3番目は八重樫君かな。天然なんで、難しいことは考えないかなって事で。凄く優しいし、女性を殴ったりはしないでしょ」

八重樫
「1番は九十九さんですね。文句なし!  俺が守ってやるってなりますね。2番目は三橋さんかな。責任感が強く、頭が良くて美人。三拍子揃ってますから。3番目は七瀬さん。クラス1の美女!  何だったら殴られたいもんね」

九十九
「1番は三橋さんです。仲良しだし、責任感が強いし、信頼できます。2番目は七瀬さんかな。やっぱり女性だと安心します。美人だし憧れていますから。3番目は四天王寺君かな。正義感が強いから悪い事しないと思います」

一ノ瀬の回答
①三橋  ②八重樫  ③四天王寺

三橋の回答
①九十九  ②一ノ瀬  ③八重樫

四天王寺の回答
①九十九  ②八重樫  ③三橋

七瀬の回答
①九十九  ②三橋  ③八重樫

八重樫の回答
①九十九  ②三橋  ③七瀬

九十九の回答
①三橋  ②七瀬  ③四天王寺

「今回の聞き込み調査では、犯人は九十九の可能性が低く、一ノ瀬や七瀬の可能性が高いって感じですか?」
日吉が推理した。
「野々村さんが最初に言っていたように、一ノ瀬が犯人というのが有力ですかね?」
小牧が尋ねる。
「真逆だよ」
「えっ!」「!?」
野々村の意外な返答に日吉も小牧も驚きを隠せない。
「どういう事ですか?  真逆って?」
「そのままとってもらえればいい。犯人は九十九の可能性が高く、一ノ瀬の可能性が低いって事だ」
「えええ?!」「!!」
「全く分からないんですが?  どう考えても九十九は殺人を犯さない感じの回答でしょう?」
日吉は全く納得いっていないという態度を示す。
「それは、普通の状況下での話だ」
「?」
更に疑問の表情を深めた日吉の顔を見て、野々村は説明を続ける。
「例えば、何か事件があって、この中に犯人がいるとした時に、犯人である確率が高いのは一ノ瀬で、低いのは九十九だ」
「ですよね?」
「だが、今回の目隠し殺人事件では真逆になる」
「……説明お願いします」
小牧は暫く考えた後、野々村に説明を続けるよう求めた。野々村は続ける。
「二岡と六角共犯説での話だが、六角は二岡を殺し、目隠しと手錠をして、皆の中に紛れ込もうとしたなら、誰かに鍵を渡さなければ成立しない」
「そうですね」
「因みに小牧、お前が六角の立場だったら一ノ瀬に鍵を渡すのか?」
「いや、もちろん渡さないでしょう。九十九に渡します。ん?  ……あっ!」
「そうだ、一ノ瀬が犯罪をする可能性が高いと思われているなら鍵を貰うことができない」
「そうですね」
「そこで、選ばれたのが九十九だったのだろう」
「なるほど……」
「六角は死んでしまってアンケートを取れないが、恐らく皆と同じような回答だと考えられる。九十九、八重樫って順番だろう。今回の犯行は性格がどうのこうのより、鍵を受け取る事が最難関だ。だから、犯人は九十九だと睨んでいる。そして、九十九は六角を殺した後、八重樫に鍵を渡したという事だ」
野々村の説明を聞いた日吉が尋ねる。
「ただ、可能性が高いってだけで証拠も無いんですよね?  だいたい、皆が九十九は犯罪をしないと思ってるのに、実際、九十九が殺人を犯すんですかね?」
「そこが問題だが、1人変な回答があった」
「えっ?  変な回答?」
日吉は不思議そうに回答を見直す。
「一ノ瀬ですね」
小牧が答えた。
「そうだ」
「私も変だとは思いましたが、そこから何か読み取れますか?」
「全員が九十九を1番にしているにも拘わらず、一ノ瀬だけは、3位までにも入れていない。これは、今回の件で九十九が犯人かも知れないという情報を握っているからではないか?!」
「!!」
「さらに、九十九も全員が名前を挙げている八重樫を外している。これは実際に、自分が八重樫に鍵を渡した事によるものかも知れない」
「本当ですね……」
「一ノ瀬は俺達が知り得ない九十九の動機や証拠の情報を、1つ2つ持っているかも知れないな」◆
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