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刑事野々村
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「えっ?! そうですか?」
日吉は野々村の意外な指摘に驚きを隠せない。
「いかにも、21時に犯行してくれと言われたかのような時間じゃないか」
「確かに……」
「まあ、偶然かも知れない。続けてくれ」
小牧は説明を続ける。
「その後、21時10分22秒に三男信孝らしき人物から救急へ、その後、警察へ通報がありました」
「遅すぎるな」
「私もそう思いました。ただ、パニックになるだろうし、轢き逃げも考えたのでその時間になったのでは?」
「それにしても遅すぎる。位置関係を見ると遅くとも、21時5分には轢いている筈だ。この緊迫した状況で5分もボーッとしていたのか?」
「確かに、野次馬の何人かが9時過ぎに衝撃音を聞いたと証言しているそうです」
「因みにブレーキ痕はあるのか?」
「五木浩二を轢くまではありません」
「なるほど。続けてくれ」
「そして、21時20分45秒に三男信孝を逮捕しています。因みに、ジュエリー西川の『炎のティアラ』は無事でした。返却されて示談が成立した為、不起訴になっています」
「不起訴?!」
「はい。犯人が未成年である事と、まあ、こちらの方が重要だったんだと思いますが、今後の取引を視野に入れてのものだと思います」
「取引?」
「はい、犯人はコスモグループの御曹司です」
「は? 金持ちなのか? 窃盗をする意味が無いじゃないか」
「三男信孝は金遣いが荒く、最近では親兄弟もお金をあまり与えないようにしていたようです。親兄弟は当然金持ちですが、三男信孝はニートなので収入は殆どありません」
「そうか。じゃあ、六角の別荘の件に移ってくれ」
「はい」
小牧は続ける。
「六角家別荘の防犯カメラには、20時45分17秒に長男信忠と次男信雄が映っています。そして、
21時14分2秒に救急へ連絡、その後、警察へ通報しています」
「時間がピッタリ過ぎるな」
「ピッタリ?」
「ああ、五木を轢いて、別荘に着いたらピッタリその時間だ」
「!!」
「まず、共犯の線で間違い無いな」
小牧はさすが野々村さんだと感心したようだ。ただ、ここまでは小牧も日吉に推理済みで、ここからの展開が分からなかった。
「そもそも、五木を轢いたのが三男信孝って証拠はあるのか?」
「どういう意味ですか?」
「五木を轢いたのは次男信雄じゃないのか?」
「!!」
「そして、長男信忠を殺したのは三男信孝だろう。別荘の防犯カメラに2人揃って映るなんて怪しすぎる。この時間に別荘にいますよ~って白々しく言ってるようにしか思えない。この後、即、青山に向かえば犯行に間に合う。三男信孝は防犯カメラには映らないよう入り、絞め殺したんだろう。こいつの体格なら1人でじいさんぐらい殺して吊り上げられる」
「でも、待ってください。ジュエリー西川の防犯カメラに三男信孝が映っています。三男信孝が長男信忠を殺した後、青山に向かったら、犯行時間に間に合いません」
「ジュエリー西川の防犯カメラに映ってるのは、本当に三男信孝か?」
「えっ?! そのように見えますが……」
「そんな、白黒で荒い画像の後ろ姿だけじゃ何とも言えないな。俺には、そいつは五木にも見えるぞ」
「五木?! 確かに似ていますが……」
「問題は六角兄弟が何故、その時間に五木がその細い路地を通る事を知っていたのかって事だが……」
「と言う事は、野々村さんは意図的に轢き殺したと?」
小牧は、野々村の推理が自分と同じだった事にテンションが上がるのを抑えながら聞いた。
日吉は野々村の意外な指摘に驚きを隠せない。
「いかにも、21時に犯行してくれと言われたかのような時間じゃないか」
「確かに……」
「まあ、偶然かも知れない。続けてくれ」
小牧は説明を続ける。
「その後、21時10分22秒に三男信孝らしき人物から救急へ、その後、警察へ通報がありました」
「遅すぎるな」
「私もそう思いました。ただ、パニックになるだろうし、轢き逃げも考えたのでその時間になったのでは?」
「それにしても遅すぎる。位置関係を見ると遅くとも、21時5分には轢いている筈だ。この緊迫した状況で5分もボーッとしていたのか?」
「確かに、野次馬の何人かが9時過ぎに衝撃音を聞いたと証言しているそうです」
「因みにブレーキ痕はあるのか?」
「五木浩二を轢くまではありません」
「なるほど。続けてくれ」
「そして、21時20分45秒に三男信孝を逮捕しています。因みに、ジュエリー西川の『炎のティアラ』は無事でした。返却されて示談が成立した為、不起訴になっています」
「不起訴?!」
「はい。犯人が未成年である事と、まあ、こちらの方が重要だったんだと思いますが、今後の取引を視野に入れてのものだと思います」
「取引?」
「はい、犯人はコスモグループの御曹司です」
「は? 金持ちなのか? 窃盗をする意味が無いじゃないか」
「三男信孝は金遣いが荒く、最近では親兄弟もお金をあまり与えないようにしていたようです。親兄弟は当然金持ちですが、三男信孝はニートなので収入は殆どありません」
「そうか。じゃあ、六角の別荘の件に移ってくれ」
「はい」
小牧は続ける。
「六角家別荘の防犯カメラには、20時45分17秒に長男信忠と次男信雄が映っています。そして、
21時14分2秒に救急へ連絡、その後、警察へ通報しています」
「時間がピッタリ過ぎるな」
「ピッタリ?」
「ああ、五木を轢いて、別荘に着いたらピッタリその時間だ」
「!!」
「まず、共犯の線で間違い無いな」
小牧はさすが野々村さんだと感心したようだ。ただ、ここまでは小牧も日吉に推理済みで、ここからの展開が分からなかった。
「そもそも、五木を轢いたのが三男信孝って証拠はあるのか?」
「どういう意味ですか?」
「五木を轢いたのは次男信雄じゃないのか?」
「!!」
「そして、長男信忠を殺したのは三男信孝だろう。別荘の防犯カメラに2人揃って映るなんて怪しすぎる。この時間に別荘にいますよ~って白々しく言ってるようにしか思えない。この後、即、青山に向かえば犯行に間に合う。三男信孝は防犯カメラには映らないよう入り、絞め殺したんだろう。こいつの体格なら1人でじいさんぐらい殺して吊り上げられる」
「でも、待ってください。ジュエリー西川の防犯カメラに三男信孝が映っています。三男信孝が長男信忠を殺した後、青山に向かったら、犯行時間に間に合いません」
「ジュエリー西川の防犯カメラに映ってるのは、本当に三男信孝か?」
「えっ?! そのように見えますが……」
「そんな、白黒で荒い画像の後ろ姿だけじゃ何とも言えないな。俺には、そいつは五木にも見えるぞ」
「五木?! 確かに似ていますが……」
「問題は六角兄弟が何故、その時間に五木がその細い路地を通る事を知っていたのかって事だが……」
「と言う事は、野々村さんは意図的に轢き殺したと?」
小牧は、野々村の推理が自分と同じだった事にテンションが上がるのを抑えながら聞いた。
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